第7話 断絶された物語
あの日から三日経過した。
ちなみにあの日とは、男子生徒が突然、なんの脈絡もなくいきなり持っていたナイフで首をかき切った事件が起きた日のことだ。
あの日から学校の校門前にはマスコミの連中が群がって来ている。
奴らは何か事件が起こると人の不幸は蜜の味とばかりに集まってくる。
仕事だからしょうがない、なんていう人間もいるだろうが、ちょっと考えてみて欲しい。
いくら仕事とはいえ、やりたくもないことを無理にする人間がいったいこの世の中にどれだけ存在するというのか?
本当にやりたくない事ならば、仕事を辞めればいいだけの話なのだ。
結局のところ連中は他人の不幸を追いかけるのが好きな悪趣味人間の集まりという訳だ。
そうでないなら、やりたくないことを仕事にすることを快感にしているマゾ趣味だ。
いずれにせよ、まともな人種でないことは確かだ。
まあ、私には関係ないけれど。
私は今日もここで張り込んでいる。
私を捨てた
来る保障のないひとをひたすら待つ私。
まるで、『ゴドーを待ちながら』みたいだ。
図書館でいろんな本を読んできた私だけど、あれがいまの私の状態を示すに一番あっている小説だと思う。
今日も収穫なしか、と諦めかけたそのときだった。
―――いた。
いたのだ。私の待ち人が。
やっぱり訂正しなければならない。
『ゴドーを待ちながら』とは違い、私の
口角が吊りあがるのを自覚。
―――さあ、行こう。あのひとに逢いに。
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