絶望少女のドールシアター8
いや死んでも町に戻るだけなんで問題は特に無いですけどね。後ケイは存在その物が消えていました。きっとチートでもしたんでしょうね。そういうことにしておきます。詳しく詮索するとすみれちゃんが怖いので。
「アレイスターってそんなに強いんですか?」
「特には」
ゲーム開始3ヶ月は強かったんですけどね。キャラの強さがインフレしすぎたので期間限定クエストの雑魚以下です。
そして使用キャラはリセマラランキング上位のキャロとシャハラ。負ける要素などありません。例え箒と本の物理特化でも。
「さすがに魔法職で物理は舐めプすぎましたね。次は魔法でボコボコにしましょう」
「なめぷ?」
「現実の私に聞いてください」
現実の私はもっと困るべきです。
秒殺でした。私たちが。
もう魔法も物理も関係無しです。戦闘開始直後にで6桁ダメージってどういうことですか?現状ライフが6桁あるキャラなんていませんよ!
「すみれちゃん帰りたくないからと言って変な事してませんよね!?」
「私は何もしてないよ」
すみれちゃんが嘘ついてると思いたくもないです。
となると、誰かが私たちをこの妄想世界から脱出させない為に極端にアレイスターを強くしていると考えるのが自然でしょう。
正攻法が駄目なら邪道にしてみましょう。
「メインクエストを無視してサイドエピソードクエストの攻略をしましょう?」
「エターナルマジック諦めるの?」
「えぇ、目標をアレイスターとの対話に変えましょう」
どうやらアレイスターの中身がゲームマスター様みたいですしね。
このゲームはストーリーを進めるメインクエスト、キャラクターとの仲を深めるサブクエスト、特別な報酬が貰える期間限定クエスト。
そして過去編のサイドエピソードクエスト。の四つがあります。
サイドエピソードクエストはエタマジの世界観やストーリーを気に入ってるプレーヤーにはかなり好評なクエストで、他のゲームとの差別化がもっとも激しい部分とも言われています。メインクエストが適当なデザインのクセして、サイドエピソードはエターナルマジックを巡った群像劇が繰り広げられます。
エターナルマジックが誕生秘話。
エターナルマジックを巡る兄弟戦争。
エターナルマジックの正体とそれを知りながらを破壊する少年。
エターナルマジックを復元しながらも真実を知ってしまったが為に守護者になったアレイスター。
おおよそメインエピソードの40倍以上の文章量で今現在は、暴走したエターナルマジックを止めるために七つの国の団結とその裏でエターナルマジックを奪い合う陰謀劇が繰り広げられております。
アニメ化したら最低で2年は必要と言われていますね。まぁ原作やってるとアニメとかドラマって見る気しなくなりますよね。シナリオすでに知ってるし、変に改変されると微妙な気持ちになりますから。
サイドエピソードは基本的にどの順番からやってもオーケーになっています。報酬はありますが特別なのはありません、難易度もメインクエストより若干高めになってる程度で、無課金だと若干厳しいですが、キャロとシャハラなら余裕でしょう。
と言うわけで酒場でサイドエピソードクエストを選択、なぜかep6冒険者の絶望編ep7七王国編がありませんでしたがどうしてでしょうね? とりあえずep4アレイスター編の アレイスターの花嫁を選択しました。
にしても酒場の依頼で過去に吹っ飛ばすこの店主は何者なんでしょうね? まぁソシャゲでその手の突っ込みを入れるの野暮でしょうけど。
アレイスターの花嫁は死んだアレイスターの恋人を蘇らせるためにエターナルマジックの復元を試みるアレイスターの悲劇が描かれています。
工房の中で引きこもりながら錬金術にいそしむアレイスターそんな時友人が尋ねてきます。
基本的には見ているだけでお話は勝手に進行するのですが……
「それじゃ私のお話が進行しません」
ストーリーが始まる前に速攻でアレイスターを箒でぶん殴り、スロータイムをアレイスターにかけた上で、マウントポジションを取って何時でもフローズンアローを打てるようにしました。
ゲームのお約束ごとなど知った事ではありません。
「貴方がこの世界を作った人ですね」
「みのりちゃんやりすぎだよ!」
「すみれちゃんは少し黙って見ていてください。私が解決して見せます」
そう言い終わった後、すみれちゃんは工房の後ろの方で私たちを眺めていました。
「そう言えばサイドエピソードにはアレイスターが主役の奴があったね。一度流し見でやっただけだから忘れてた」
アレイスターの声では無く、甲高い子供特有の声でした。
「結局君たちも他の子と同じだったのか……」
「他にも誰かこの世界に巻き込んだんですか?」
しかし失踪事件が起こった話を私は知りません。
「えぇ、気づいた時には私はこの妄想の世界の主になってた。エタマジ好きの人間をこの世界にくるように作り替えたんだよ。不思議と力の使い方はわかった」
「私もこの力は知っていますよ。イマジンと言います。妄想を現実世界に反映させる力で、強力になれば妄想の世界を作りあげてそこから現実世界へ引きずり混む事もできます。貴方の場合はエタマジが好きだったからエタマジの世界を作りあげてそこに引きこもってしまったんでしょうね」
「知らなかった」
まぁエタマジの世界を最初に作ってそこに引きこもり続けていたら知らないのも無理は無いでしょうね。現実世界では失踪扱いですからケイ達も気付かなかったのかも知れません。
「さっさとすみれちゃんを現実世界に戻してください」
「嫌だ!」
力強い言葉でした。
「私としてはこの場で貴方を殺しても良心は痛みませんけど? よろしいですか? これはお願いではありません。強迫です。貴方がエターナルマジックの世界を忠実に再現する以上この時代のアレイスターはエターナルマジックの加護を得ていない平凡な魔法使いでしかありません。どうやってキャロに勝つつもりですか?」
まず良心が欠片でもあれば良いんですけどね
「それでも嫌だ。もう一人は嫌だ……」
アレイスターに顔を背けられてしまいました。アレイスターは姿を変えていきます。
痩せすぎた少女の姿に。
少女は10才ぐらいで、腰まで髪を長く伸ばしていました。その髪はぼさぼさで全く手入れされていません。服装もパジャマでした。
生活感の無い美しさがありました。フィギュアなら可愛いでしょうけど現実ではごめんなさいですね。
「貴方がゲームマスターですね。私は大杉みのり。どこにでもいる高校生です」
イマジン持ちの時点でもうこの自己紹介大嘘ですよね。まぁ偽物の私なのでイマジン使えないから間違っては……偽物の時点で普通ではありませんね。まぁいいや、訂正するの面倒だし。
「青山もえ」
彼女は泣きながら答えました。
私はマウントポジションから外れて彼女を立ち上がらせる為に手を差し伸べました。
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