妄想遊戯のガールズスキャット13

 妄想は妄想の世界に戻り世界は常識を取り戻しました。まさか小学生ぐらいの幼女が高校生全員大虐殺なんてやるわけありません。ラノベかアニメの見過ぎです。


「天使をやっつけるみのりちゃん格好良かったです」


 しかしそう言ってもそれを信じない人がここに約一名。


「夢か何かと勘違いしていませんか?」

「夢じゃ無いですよ。学校中が死体だらけの中で、天使みたいなのと魔法少女になったみのりちゃんが一生懸命戦ってました。最期仲間を助けるために触手を生やして強引に手元に引き寄せてましたよね」


 なんか一部分抜け落ちている感じもしますが、本当に見ていたみたいです。

 これは世界と繋がった、イマジンなのでしょうか?

 私にはそう言う風には思えないのですが、私もイマジン成り立て一年生。ここは素直に先輩に聞くのが一番でしょう。


minori『私の友達にイマジンになった子がいるみたいですがどうしましょう』


 しかし返信どころか既読がありませんでした。


 ケイもわざわざ授業をサボって来てくれたのですから、忙しいのは当然なのでしょう。私は特に気にせずそのまま一日を過ごしました。


 アラームが今日も私をたたき起こします。カエルちゃんを倒す前に、お姉ちゃんと呼んで貰ったのを録音すべきだったと本当に後悔しています。


 むしろ録音の為に復活して貰いたいぐらいです。二回死ぬのも三回死ぬのもたぶんそんなに変わらないでしょう。


 私の発言をケイは未だに読んだ様子がありませんでした。

 あの後風邪とか、あるいは怪我でもしてしまったのでしょうか?

 人として色々欠落している私でもさすがに心配します。


 と思った所で私はケイの事を全然しりませんでした。

 どうしてイマジンになったのか、学校生活はどうなのか、兄弟はいるのかどうか、誕生日は? ちょっと聞いていてもおかしくないような情報を私は思いっきり聞きそびれていました。


 私とケイは友達だったのでしょうか?


 少なくとも私が今まで呼んでいた友達とは違うはずです。


 私はケイとエタマジで繋がっていました。エタマジは未だに好きではありません。でもケイとやるのは嫌いではありませんでしたし、ケイの事は素直に尊敬できました。


 だってケイのやっていることは誰かから褒めて貰いたいとか、そう言う欲求が無い。純粋な自己満足に思えたからです。


 自分が助けたいから助ける。例え世界がそれを認識していなくても。

 だから私もケイと一緒にいることが出来たんだと思います。もしもこれが人目につくような戦いだったとしたら私は逃げていたでしょう。クラゲは人目が嫌いなのです。


 私はケイを見習う事にしました。

 つまり学校をサボります。


 私だって意味も無くサボる訳ではありません。

 私はサボってケイの学校、計画高校に行くのです。

 ケイが通っている学校は地元では進学校で有名な学校で、生徒達も品行が良いことで地元でも評判です。

 それだけにケイの存在は学校は疎ましかったでしょうね。 


 堂々と侵入しても良かったのですが、さすがに他校の生徒が入るのは常識に良くないと思ったので、少々変心してから行くことにしました。イマジンを使って髪型を普段のストレートからベリショに変えて制服も計画高校の物に変えました。こういうときってイマジンってとっても便利です。


 私はテレポートを使って校門前にいました。ケイと直接会うためです。

 生徒がぞろぞろと登校してきますが、ケイは出てきません。ケイは不良ですからね。もしかしたら登校時間もかなり遅いのかもしれません。


「ケイは来ないよ」


 聞き覚えのある声が私に呼びかけました。

「美春さん? ケイは病気ですか? だったらお見舞いしたいのですが、ケイの住所を知りませんか」

「私はね。干渉しないって言ったでしょ」

「そ、そうでしたね」

「でもそれを今から止める。ケイは失敗したみたいだから、だから私と約束して欲しい。ケイを助ける為に協力して欲しいと」


 意味がよくわかりませんでした。


「良くわかりませんが、美春さんがケイの事を助けてくれるんですね? でしたらこれほど心強い事もありません」

「交渉成立ね」


 美春さんはわざとらしくメガネをくいっとやった後髪をかきあげました。


「ケイはもうすでに死んでいるのよ」


 私は美春さんに案内されながら計画高校の中を歩いて行きます。進学校と言えども校舎の中身まではあんまり変わりませんね


「ケイが死んでいるってどういうことですか?」

「前に三人で代行者を殺したって話をしたでしょ」

「あぁカエルちゃんの事ですね。この間また殺しましたよ」

「あぁ、ミカエルでカエルか、面白いニックネーム付けるね。あと復活怪人が弱いのはお約束よねぇ」

「本人はラスボスを気取っていたのに、死体蹴りするのは止めてあげてください」


 私としてもラスボスで幕を下ろして欲しかったんですから。異能力とかどうでも良いんで糞みたいな日常を返してください。


「その相打ちしたのがケイなんだよ」


 美春さんは本当に良くわからないことを言います。

「では私が会っていたケイは誰だって言うんですか?」

「だから言ったでしょ。三人で倒したって。もうひとりの名前は相原恵」


 そして美春がiphoneを見せてくれました。

 そこに映っているのはケイと美春と―――


「わたし?」

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