妄想遊戯のガールズスキャット8
友達と言えば放課後のお出かけと言う事ですみれちゃんと一緒にお出かけすることになりました。生き場所は駅前に出来たばかりのショッピングモール。まさに女子高生って感じです。
「まず本屋に行くんですね」
「はい」
すみれちゃんが真っ先に向かったのは本屋さんでした。ファッションとかなら解るんですが、本屋って基本売ってる物どこでも全部一緒ですよね?
私がその疑問をすみれちゃんにぶつけてみました。
「店員の書いてるポップとか配列でお店の売りたい商品の違いとか、表紙で本に惹かれたりとか全然違います!」
力説でした。私が若干引きます。
私はすみれちゃんの後ろを歩きながらすみれちゃんが本をぺらぺら眺めているのを眺めていました。活字とか苦手なので本とか読みたくないです。せめて漫画でお願いします。
ただそれでは友達ごっこにすらならないので私はすみれちゃんにちょっと疑問をぶつけてみることにしました。
「人間ってどうして生きてるんですか?」
「みのりちゃんは哲学が好きなんですか!」
いや、声大きいから、と言うかどうしてそんなに目を輝かせながら私を見るの。止めて、年金を貰う為に生きると答えた私にその眼差しは辛い。
「姪っ子に聞かれてね答えられなかったので、今度は答えるように宿題を出されてしまいました」
さすがに小学生に拉致されて殺して貰うように頼んだのに殺して貰えなかったと言うのは無理がありました。
そこで私は一つ疑問に思いました。
イマジン。世界と繋がっている。選ばれている。代行者である。それは友達として打ち明けるべきなのかと言う事。
ケイに聞いてから決めよう。クラゲは他人の選択肢に流される事を好みます
「だったらね」
すみれちゃんに手を引っ張られて別の本のコーナーに引っ張られる。すみれちゃんの手は冷たく感じました。
「この本が良いと思うよ」
ソフィーの世界と書かれたファンタジー小説でした。
「哲学の入門書にぴったりの本なの小さな子にも解るように哲学の事が書かれているし、お話も面白いよ」
私が呆然としているとすみれちゃんがハッとした表情をしました。私の言いたい事が伝わったみたいです。
「もしかしてもっと小学校低学年ぐらいのちっちゃい子?」
コミュニケーションは難しい。
「すみれちゃん生き生きしてるなぁって」
「うん。本の話って中々することできないから」
エタマジの話を毎日付き合わされてる身としては、それが楽しい行為には思えませんでした。毎日新しいクエストの攻略を事前に覚えておいて、最適な行動を繰り返す。
すみれちゃんは友達が居ないといってましたし、そう言う行動が楽しいのかもしれません。
「ちっちゃい子なら星の王子さまの方が良いかな? でもどうして生きているの? の答えとも違うけど、そういうことを考えるような子ならきっと喜んでくれると思うよ」
「じゃあこっちにしてみましょう。その子が聞きたいのは私の答えですから。私が自分で探さないといけません。その後に星の王子さまをその子に貸せばきっと納得してくれるでしょう」
本音はこっちの方が安かったからです。
無理の無い課金勢は無理のある生活を強いられますので。
その後も友達ごっこを続けていきました。服見て、小物見て、適当に買って、私が友達には絶対に吐かない心ない言葉を吐いても、すみれちゃんは怒りませんでした。
心が穏やかになれた気がしました。
今日はエタマジの新クエスト配信の日です。それはつまりケイから一緒にエタマジをしようとお誘いが来ると言う事でした。
私はすみれちゃんと別れた後、マックでケイと待ち合わせしました。傍目から見たら私はリア充なのでしょうね。さっさと爆発したい。
「ケイは学校の友達とエタマジやらないの?」
私はシェイクをちゅーちゅー吸いながらケイに聞きます。私はこのクエストを学校の友達達とすでに一回クリアしてクリア報酬を貰っています。まぁ何個あっても困らないタイプのアイテムなので何回クリアしても良いのですが……
「私不良ちゃんだからね。だーれも相手してくんないのさ。それに前にも言ったけどわざわざ殺す馬鹿がいたからね。そいつの相手をしてたら学校なんざ行く暇がねー」
「親が聞いたら泣きそうですね。進学校なのに」
「まぁ適当に就職するさ。最悪イマジンでどうにかする」
私とケイとフレンドのキャラを借りながら新クエストを攻略していきます。強力なキャラを取りそろえているのでクエスト事態はさくさく進行していきます。
「そう言えば会いましたよ。世界の代行者ミカエルちゃんに」
ケイのスマホを触る手が止まりました
「嘘だろ?」
「嘘も何も私のクラスメイト一人をこの世から存在ごと抹消して、よく解らない世界に巻き込んできて挨拶してくれました」
そりゃもう奇麗さっぱりでした。クラス名簿とかにも名前が載っていませんし、机も何もありません。いじめだとしてもやりすぎレベル。
「よく生きて帰れたな……」
「挨拶だけみたいでしたから」
わざわざ挨拶しにくる理由も謎ですけどね。さっさとケイを殺して事情を知らない私を殺した方が好き勝手できるでしょうに。
「その状況はレベル3の状況だ。妄想と現実が逆転している。妄想の世界に取り込まれているって言えばいいのかな。現実の常識は全く通用しない」
「はい。カエルちゃんがいきなりベンチをティーテーブルに変えたりして楽しかったです」
「カエルちゃんって何それ」
真剣そうに話していたケイがいきなり笑い始めました。
「代行者とかソイツとかだと可愛そうだと思った所に、自分の名前はミカエルって言っていたのでカエルちゃんと呼ぶことにしました」
「私もカエルちゃんって言って煽ってやろう。明日から特訓を本格的にやるよ。カエルちゃんがどうして復活したのか解らないけど。復活してきた以上もう一度殺す。何回でも何千回でも殺す」
「解りました。おつきあいします」
エタマジのクエストは無事に終了クエスト報酬を貰い終わると今日は解散となりました。
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