またざっくり英雄伝・アルゴー船の遠征

王になりたけりゃまずは無茶振り

 トロイア戦争に代表されるギリシャ中の英雄が集まるイベントは、他にもあります。その一つがアルゴー船の遠征。イオルコスという地の王子、イアソンを中心にした物語です。


 イアソンは家庭の事情から、ケンタウロス一の賢者・ケイローンの元で育てられます。

 ケイローンの元で立派な青年となったイアソンは、師から故郷に戻るよう言われます。もう教えることがなかったそうなので。王子なんで父の国を継ぎなさい、と先生の元から離れます。


 さて母国に戻ったイアソンですが、ここで問題が起こります。というか、起こっていました。


 時間を少し戻して、イアソンが子供のころ。イアソンの父が亡くなってしまいます。後継者は息子のイアソンなわけですが、子供ということで彼の伯父が王位につきました。

 しかしこの伯父、実はイアソンの父を殺したという話も。

 伯父のもとでは満足な教育を受けることが出来ないと考えたイアソン母。ならばと、ケイローンのところに預けることになったわけです。


 さて話を戻して、成長して母国に戻ったイアソン。伯父に王位の返却を要求します。

 しかしこの伯父も意地の悪い人で、イアソンを警戒していました。彼はどうしても王位を手放したくないそう。

 そこでこの伯父は、イアソンにある条件を出します。黒海の果てにある国・コルキスにある金羊毛を取ってこい、というのです。


 ギリシャから黒海の果てですので、距離はざっと2000キロ。王位を譲る気はまったくないわけですね。


 困ったイアソンは、さっそく仲間を集めます。イアソンはかなり人望があったようで、50名ほどの英雄が集まりました。その中にはケイローン先生のもとで一緒に学んだ仲間たちも。あのヘラクレスだっていました。

 大抵の難事はどうにかなりそうな、ギリシャ英雄オールスター、ってわけですね。


 この彼らが乗る船こそ、アルゴー船。そして集まった仲間達のことを、アルゴナウタイ、と呼びます。


 こうして準備が整い、いざ出港。コルキスの金羊毛を手に入れる、長い航海が始まります。

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