第34話 2087年12月21日 青森県八戸港沖 雷撃潜水艇ジミー・カーター

遥か太平洋の日本国境線ぎりぎりの全米海軍西太平洋艦隊からの打電で、八戸港沖の水面の下、一気に緊迫化する125m長の雷撃潜水艇ジミー・カーターを含む四艇からなるアジア特殊船底艦隊

長身の壮年の男、雷撃潜水艇ジミー・カーター内に響き渡る警報の中、廊下の先を擦り抜ける様に進み操縦室へと


長身の壮年の男、操縦室に入るなり

「ご苦労様、現在の位置を教えてくれ、」

モニターだらけの操縦室の前面には4人の日本人及び日系人、副長を含むマニピュレーターが切に対応中

「田所特務艦長、起きれましたか、」

田所特務艦長、手に持った制帽を被っては

「バイソン一等准尉、三時間あれば結構だ、モーリー二等准尉、宮本副長、バイソン一等准尉、安賀多名誉少尉、搔い摘んで報告頼む、」

「はい、田所特務艦長、全米海軍西太平洋艦隊司令部より緊急打電、領海内でオペレーション14直ちに遂行、例の八戸の拠点の内陸に進めとの事です、」

「現在、日本国排他的経済水域内、八戸新港より150km沖、最大船速45ノットで潜航中です、」

「短信音依然無し、当艦雷撃潜水艇ジミー・カーター、並びに無人ミサイル潜水艇モントリオール、並びに無人ミサイル潜水艇ハドソン、並びに無人ネットワーク潜水艇オハイオ、以上のアジア特殊船底艦隊密集ダイヤモンド配列のまま遅滞無く追従中です、」

「オペレーション14のシークエンスは、緊急マニュアル通りつつがなく遂行、全スタッフ配置についています、」

「田所特務艦長、デフコン4ままなら、そのまま眠っても、最後尾の無人ネットワーク潜水艇オハイオのAIが判断しますよ、」

「安賀多、課長はそこまで呑気じゃないって、」

田所特務艦長、特務艦長席の270度に展開するモニター右後方入口より滑り込み座っては

「そういう演習も何れはだが、そうはいかない、オペレーションは艦長有りきだ、それに海賊討伐も迫ってるなら、青森の最終防衛ライン死守を迅速に済ませる、」肘掛けのキーロックに、胸から下げた硬化ガラスの基板の入ったシークレットキーを差し込むと、見る見る海中を写す270度モニターが360度マルチモニターへ展開終了、次々インジケーター展開

マニピュレーター達の前面モニターもオペレーション仕様に一斉に代わる

「ヴァーチャル演習から、まさかの本番ですか、」

「びびるのか、モーリー、まあ模範的常識人は良い事だ、」

「安賀多名誉少尉、茶化すのは止めて貰いたい、」

「言うね、バイソン一等准尉、この面子で規律がどうしたって、」

「安賀多名誉少尉作戦中です、集中して下さい、ここで田所特務艦長に進言します、未だ船底艦隊は実用試験期間では無いのですか、この船底艦隊が発見されたら全米海軍に大打撃です、」

「固いな、バイソン一等准尉、実用試験期間なればこその、日本領海内の八戸港沖だよ、このC9I上では周囲に機影は見当たらない、オペレーション14は何としても成功させよう、何事もチャレンジだよ、」

田所特務艦長、マルチモニターを次々タッチしては呼び出し、船底艦隊全てのゲイン確認

「宮本副長の言う通り、船上艦隊からの指示は追ってこちらのモニターに送ってくれ、くれぐれも言っておく、これは演習ではない、オペレーション14の発動である、」

「本当に田所課長しか、使いこなせないものですか、」

「安賀多名誉少尉、私語は慎しみましょう、田所特務艦長は民間出向でも、課長ではなくは名誉大尉です、」

「進言します、オペレーション14に支障が有っては困ります、この際通名でも結構かと思います、田所名誉大尉宮本名誉中尉安賀多名誉少尉のお三方始め艦内は民間からの出向者が1/3を占めます、ここは官民一体になりましょう、」

「いいねモーリー、田所課長に敢えて進言します、課長しかオペレーション出来ないのも、うちの神戸製鋼インターナショナルの納品はどうなのかですよ、」

「まあな安賀多、そこも難しいところだが、このオペレーション14が済んだら、二番艦三番艦四番艦の購入依頼があるかもしれません、レクチャーが難しいですよ、どうします課長、」

「恐れながら宮本副長、課長では有りません、田所特務艦長です、音声ログも拾いますから、C9Iシステムを安定させて下さい、」

「本当固いねバイソン、ど真ん中の軍人さんは、安賀多じゃなくても突っ込んじゃうよ、」

「恐れながら宮本副長、固いのは、自艦雷撃潜水艇ジミー・カーターへは海軍特務隊より栄えある応援故です、オペレーション14、いや船底艦隊に配属されたのは身に余る光栄です、」

「つうかバイソン、一々が固いんだろの、とにかく進行しよう、モニターチェック漏れ無くな、」

田所特務艦長、次々モニタータッチしては、頬笑み

「微笑ましい限りだが、その課長課長代理係長も今更だろ、まあ、俺にしかKOシステムを操れないのは視野の適正故だ、これからの神戸製鋼インターナショナルの納品にあたってはそれなりにカリキュラムに腐心したから、直に若い将校が上がってくるだろう、慣れて貰おう、」

「そこは神戸製鋼本社の開発部に大本気でフィードバックしてますよ、それがこれですよ、パラメーター多過ぎて、うんざりですよ、普通の潜水艦の七倍になりましたよね、」

田所特務艦長、くすりと

「安賀多係長、それは今更だ、宇宙船開発再開したら、天井が無いぞ、」

「そうなんですよ、そこの配属希望していたのに、延々海中ですよ、」

「安賀多名誉少尉、オペレーション14進行中です、集中しましょう、」

田所特務艦長、モニターに上がる、各セクション音声解析テキストログの流れを眺めながら

「いや、進行は順調だ、ながら話は大いに結構、音声ログがどれだけ聞き分けるかも、自己修練プログラムの一環になる、」

「私がこの場で言うのも何ですが、課長は甘いですな、」

田所特務艦長、右モニターに映る併走するイルカの群れを観ながら

「宮本課長代理、それを含めたシンギュラリティシステムだよ、人類が再びそれを越えてこその、宇宙開発で在るべきと思うがね、」

「課長、宇宙開発のそれがどうなって、船底艦隊に行き着くのです、運用の仕様が無い無人ミサイル潜水艇と無人ネットワーク潜水艇を連携に取り込むなんて、本当芸が細か過ぎますよ、全米海軍調達課部が無駄遣いじゃないって大喜びですよ、課長は本当によくも先が見えるものですよ、」

「田所特務艦長、無人ネットワーク潜水艇オハイオ、五次トレース完了、正確な座標位置はどうしてもぶれます、」

「田所特務艦長、船上艦隊へ無人哨戒ヘリを要請承認願います、」

田所特務艦長、凛と

「バイソン一等准尉、今は有事だ、各自の端末から船上に要請して結構だ、」

「C9Iの命令系統が揺らぎます、特務艦長承認願います、」

「バイソン、今更無人哨戒ヘリなんて、無駄だって、射出シークエンスに入ってる、」



不意に、緊迫が走る操縦室


田所特務艦長、朗らかにも

「焦れるな、実戦で固まってどうする、演習で射出はしているだろう、射出シークエンスに入っているなら無人哨戒ヘリは一旦置いておこう、何より、我らの自艦は雷撃潜水艇仕様だ、一気に捻り上げてこその戦果になる、」

「搭乗機スタンバイokです、搭乗者はそのまま待機、計器チェックを欠かすな、」

「地上で巨大ソナー音停止確認、尚も沈黙中、偵察衛星に重ねて最終位置を、全員のモニターに出します、」

田所特務艦長始め全員の正面モニターに地形トレース線の乗った写真地図が映し出される


田所特務艦長、凛と

「山中か、好都合だ、低空ぎりぎりなら、広範囲航空レーダーに捕まらないな、」

「課長、船底作戦のいつかの演習に有りましたね、シークエンスに問題は有りません、」

「敵機、波形タイプ判明、全員のモニターに送ります、蹂躙兵器ハンマーキュービックver5.1の戦中タイプに近似、察しますと三沢共同練兵所倉庫の流出兵器かと思われます、ですが、倉庫にこんなの有りましたか、」

「モーリー、私見は控えろ、米軍のそれだとしたら大問題だ、」

田所特務艦長、画像を検証プログラムに送り込み解析しては、皆のモニターに送る

「モーリー二等准尉、モニターのハンマーキュービックver5.1とC9Iで共有された現地解析機影のトレースをよく見るんだ、二回り小さく、仮に米軍が今も保持するハンマーキュービックとは言い難い、そしてロストから2時間、階上嘉織がここまで手こずるとは、かなり改造されているという事だ、慎重に行こう、」

「田所特務艦長確認します、ハンマーキュービックver5.1は破壊でしょうか、」

田所特務艦長、オペレーション14の進行状況確認しては

「バイソン一等准尉、呉々も言っておこう、船上艦隊からは完全停止命令だ、従来の全米の兵器と思わない事だ、抜かるぞ、」

「田所特務艦長、了解しました、要救助者を救いましょう、」

田所特務艦長、はきと

「結構だ、船底艦隊全艦、直ちに洋上まで緊急浮上、」徐に手前のマイクを招きよせ「艦内全員に次ぐ、オペレーション14遂行に付き、船底艦隊は洋上へ緊急浮上する、演習通り体を固定の事、」

「雷撃潜水艇ジミー・カータージミーカーター、洋上浮上」

「無人ミサイル潜水艇モントリオール、洋上浮上」

「無人ミサイル潜水艇ハドソン、洋上浮上」

「無人ネットワーク潜水艇オハイオ、洋上浮上」


船底艦隊、バラストを一斉に放出しては直上へと浮上中


「しかし課長、階上嘉織ですか、資料の限りのハンマーキュービック以上になどと、しかも改造機ですか、二次報告の改造車両一台で良く持ちこたえますね、」

田所特務艦長、タグを引き寄せては衛星写真ファイルを開くと、見上げ澄ました階上嘉織の笑顔

「ジャミングも外れ、直上の偵察衛星から車体番号のログも拾えた、持ち主は階上嘉織の認識番号に間違いない、階上嘉織、名実共に名立たるネゴシエーターだよ、」

「あいつ、ぼさぼさの女性ですよね、階上幸或旅館のテトリスやってると、絶対対戦も入ってきて、散々ぶーたれて去って行くんですよね、」

「まあ、安賀多名誉少尉に勝てるのは、フリープログラマーの真島さんだけですからね、」

田所特務艦長、深度計伺いながら、くすりと

「真島か、KOシステムのバグの手直し以来だな、久し振りに定期メンテナンスに来てもらうか、」

「課長、それはどうですかね、結構な報酬持って行きましたよね、まあその時はその時で、また上海の対戦付き合いますけどね、」

「安賀多、渋い話はそこまでにしよう、皆、良いか、階上嘉織に関しては見たまま言うな、あれでも気にするタイプだ、分かるな、」

「Yes,Sir! 嘉織、You are the most beautiful woman in the end world.」

「おいおい、バイソン、いつから飼いならされてるんだよ、」

「階上幸或旅館は総じて至福の里であります、」

「そこはバイソンに同意しよう、つくづく良い温泉だよ、こりこりが一発だからな、」

「ああ、早く交代来ないですかね、」

田所特務艦長、忽ち補給リストを開き、在庫確認を高速スクロール

「悪いが、そこの私語は慎んでもらえるか、水を差す様だが上陸はまだ先だ、緊急のハイブリッドの最適化メンテナンスしたばかりで、次の補給は三週間先になる、」

「もう、何で、このタイミングで攻めるかな、」

「モーリー、報告に上がってる限り、攻め手は極道だ、クリスマスなんて無いんだよ、」

田所特務艦長、再びマイクと招き寄せ

「艦内全員に告げる、オペレーション14の目的は階上嘉織一同を何としても救助する事である、ここは艦員全員の健闘に掛かっている、繰り返す、階上嘉織と言う世界の財産を失う訳にはいかない、一層の奮闘を期待する、」マイクを再び定位置へと

「あれが世界の財産ですか、」

「安賀多、それを言うな、神戸製鋼神戸本社前で売国奴呼ばわりの暴徒を鎮めた仮にも御仁なんだって、」

「ああ、三日も家に帰れなかった、あの事件、本当なんですかね、」

「もうだな、人の囲みが凄まじく帰れるものじゃない、そうのこうので、本社の食料もあっという間に尽きるし、真夜中も延々シュプレヒコールで眠れなかったよ、」

田所特務艦長、溜息も深く

「ああ、係長はドックに詰めていたから分からないだろうが、神戸製鋼神戸本社と全米海軍の提携発表が何故か事前に漏れて、その有様だよ、」

「まさか、その暴徒をどうにかしちゃうんですか、階上嘉織が、」

「ああ、非常地下道辿って来た階上嘉織が、発表を漏らした容疑者全員を、怒り猛っては本社前の暴徒に放り出しては嬲り殺し寸前だったな、そうだよ、あいつらあれ以来会ってないな、まあ生きていたら退職金位は手切れ金として渡したかな、日本国のこの現状で神戸製鋼も情け深いものだね、」

「あの、良いですか、この後に及んでですけど、日本国からの要請が出ていませんが、オペレーション14は続行でしょうか、」

田所特務艦長、左モニター二面に渡るメール一覧を眺めては

「モーリー、それなんだが、回線回復後の発令後直ちに、船上艦隊が日本国に発令書メールを送ったが、日本国の関係閣僚官吏は真夜中で誰も見ていない様だ、ここは強行させて貰おう、」

「課長、関係閣僚官吏って、首相も入っていますよね、」

田所特務艦長、正にこの瞬間のメール一覧の返信チェックが点灯しモニターをタッチし、素早くスクロール

「宮本課長代理は鋭いね、まさかの君塚首相の発令書メールは確かに透かさず開封された、そして今、返信メールが届いて了承しますの丁寧な文言に、君塚首相のサインの入った緊急揚陸許可書も添付されている、」

「何か、あの君塚首相見透かされてますね、女性の勘って凄いですね、まあ結局全米頼りなのがやや残念ですけど、」

田所特務艦長、とくとくと

「そう言うな安賀多係長、限られた日本国の国家予算では、派手な事が出来ない、現在の日本国の平和を保つには、昭和から引き継いだ憲法第九条の原理がもっとも妥当なんだよ、」不意に深度計を眺めては「さて、水深50m、そろそろか、」


操縦室は、洋上展開しようとするモニターに、ただ固唾を飲む


「上がります、海抜0m、雷撃潜水艇ジミーカーター、浮上視認、」

「無人ミサイル潜水艇モントリオール、浮上視認、」

「無人ミサイル潜水艇ハドソン、浮上視認、」

「無人ネットワーク潜水艇オハイオ、浮上視認、」


田所特務艦長、モニター八面に四艦の動作上下展開図確認

「各艇姿勢制御最大確保、並びに全天確認開始、」マイクを招き寄せ「雷撃潜水艇ジミーカーター艦員に次ぐ、発射シークエンス展開、直ちに作業に入れ、」

「報告します、全艦レーダー範囲半径150km及び、雷撃潜水艇ジミーカーターでの目視異常なし、」

「このまま、シークエンス続行だ、」

「収納庫展開、射出電動カタパルト延伸、確認頼む、」

「収納庫全開、射出電動カタパルト延伸200m確保、宜しい、」

田所特務艦長、背後の統合武器管制画面をフリックしては、自身の前面モニターに滑り込ませ

「電磁掃討機銃のガンコントロールは私が行う、シークエンスを続けてくれ、」

「収納庫内、兵器換装確認、Fー16SUB1号艇はBタイプ換装、Fー16SUB2号艇はCタイプ換装、宜しいか、」

密着無線から返答の音声が

「Fー16SUB1号艇、オールクリア、」

「Fー16SUB2号艇、オールクリア、」

「了解した、Fー16SUB1号艇を電動カタパルトに上げろ、」

「いや、ちょっと待って下さい、田所特務艦長に上申します、完全停止命令では無いのですか、何故Fー16SUB1号艇のBタイプ換装なのですか、」

田所特務艦長、Fー16SUB二機の動作保証画面を手前のモニターに招き寄せながら

「バイソン、上申もっともだ、完全停止命令即ち粉砕では無い、良いかな、見た目そのまま戦中のアメリカ自立殺戮兵器が、ローマに歯牙を向けたとなると、事態の把握がどうしても必要だ、その含みがあればこその完全停止命の建前だよ、」

「バイソン一等准尉、返事はどうした、」

「田所特務艦長宮本副長、了解しました、発射シーケンス続けます、」

「お話終りましたね、Fー16SUB1号艇Fー16SUB2号艇、兵装確認信号チェック、確認オールクリア、」

「Fー16SUB1号艇、射出電動カタパルトに搭載、準備ok、2号艇はそのまま下部収納庫で待機、」

田所特務艦長、マイクを招き寄せ

「艦内全員に告げる、本艦雷撃潜水艇ジミー・カーターは状況確認の為、10分間浮上へ、繰り返す、艦内全員に告げる、10分間浮上、持ち場を離れない様に、」

密着無線から返答の音声が

「Fー16SUB1号艇、了解」

「Fー16SUB2号艇、進言します、Dタイプ戦術爆散ミサイルへの換装使用許可願います、」

田所特務艦長、側面モニターのマイク送出ボタンをFー16SUB二機に切替え

「2号艇に返信、その判断は1号艇の活躍次第だ、以降2号艇からの指示並びに無断射出は禁ずる、」

密着無線から尚も

「敵は、巨大殺戮兵器です、僚友機の射出願います、」

田所特務艦長、はきと

「焦るな、階上嘉織がかなり追い込んだみたいだが、ハンマーキュービック改造機は全方面地上兵器だ、Fー16SUBの撃墜も考慮するんだ、それに飛び出したもの階上嘉織の目の前でいきなり爆散したら、上陸した際に延々ミス階上にどやされるぞ、しかも一生だろうな、」


忽ち操縦室内、大爆笑


密着無線から力無くも

「Yes, sir.」

「さて、行こうかな、射出電動カタパルト角度35度にリフトアップ、艦内全電力の32%を使用、同じく二射目に備えて32%を維持、25%は潜航の為のバラスト緊急給水の為に使用、艦長何とか3%で対空射撃に備えて下さい、」

田所特務艦長、凛と

「安賀多名誉少尉、その進行で結構だ、万が一の応援爆撃機来襲には、無人ミサイル潜水艇ハドソンの対空ミサイルで対処する、」

「田所特務艦長了解しました、射出電動カタパルト急速充填32%、オールクリア、Fー16SUB1号艇射出シークエンス、カウントダウン、10、9.8、7、6、5、4、3、2、1、GO、」


テイクオフその時、灰色のFー16SUB1号艇は、雷撃潜水艇ジミーカーターより電送ケーブルが繋がれたままに、羽根の様に広がった後部の複合エンジンノズルラダーは、パルスが溢れ甲高い音が唸っては補助電磁バーナーが俄然点火中

Fー16SUB1号艇、いよいよ雷撃潜水艇ジミー・カーターの射出電動カタパルトより電送ケーブルを勢いそのままにロック解除し激しく射出、その傾斜角度35度を瞬息で射出されるFー16SUB1号艇、補助電磁バーナー最大に相まって高速アフターバーナー瞬間点火し推力最大、到達点の上空50mで折り畳まれた両翼が瞬時に宙で伸び、姿勢を低空飛行のままに爆撃地点へと滑空する

名の知れぬ轟音が深夜の八戸港沖に響き渡る

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