第24話

温泉を出、出入り口に向かって歩いているディエゴの背中を見た。

 見た瞬間恐ろしいものをみたような恐怖に包まれたさらに危険な匂いに吸い込まれてしまいそうな気さえした。

 

 薄暗い荒野で髑髏の死神と一人の少年が描かれてあった。髑髏の死神は大きな鎌を少年に対し振りかぶっている。少年は小さい短剣でその鎌を受け止めよとしている。まるで一種の絵画のように思えた。

 

 背中にある刺青は本人が忘れたくない過去や想い、志があるんだ。ミハイルは背中の刺青を入れたとき団長であるジャン・カドナスは言ったのを思い出した。

 見とれてしまいそうなのを払いのけミハイルはディエゴを呼び止めた。

「オレも王都に連れてけ」

 

 ディエゴは少しの間立ち止まり振り返った。

「いいでしょう。しかしあと二日ほどゆっくりしたらどうです。私の腕傷以上にあなたの全身の傷と火傷は重症だ。二日休んだらきっと身体のほうは良くなりますよ」

「ダメだ! 今すぐだ!」

 

 ミハイルもディエゴを追いかけるように温泉を出ようとした。するとディエゴは一回大きくため息をついた。

「仕方ないですね。じゃあ三時間ほどたったら村はずれまできて下さい」

 言い残し脱衣所のほうへ消えていった。

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