第21話

しかし団長を殺したのもカルサス、あいつだろうか。


少なくとも団長を殺れるほどの実力はない。どちらかといえば頭でのし上がってきたタイプだ。あいつが団長を暗殺してどのくらい得をするのだろうか。ミハイルは空をぼんやりと眺めながら考えていた。


「考えているところ申し訳ありませんが、私の話を聞いてもらえますか」

「ああ……。勝手に話してくれれば耳が勝手に反応する」

「私が属している亡国の聖戦に不穏な空気が流れていると感じたのは、一週間ほど前でした。そのときは不確実で何ともいえなかったので何も手を打ちませんでした。しかしそれが後の祭り。本当はあなたがこの村に来た初日に来たかったんですが、その原因の究明と処理に時間を割かなければならなかったのです。すぐ後にあなたが暁の稲妻、団長の殺害との話が広まったからです。もちろんあなたが暗殺し たとは考えていません。おかしいと思いませんか。事実上この国の傭兵の八割以上を占めている組織同士の幹部が同士が同時に危機的な目に合う。偶然とは思えないんですよ」

ディエゴはまくしててるように言った。


「どんな危険な目に合ったんだ?」

 ディエゴは一回咳払いをし「私は場をわきまえて冗談を言うつもりなんです。それを踏まえておいてください。今は世の中的によろしい仕事をしてはいませんですが、幼い頃は憧れたものです。伝説の勇者がこの地を支配する悪い竜を倒すっていうおとぎ話に」

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