第2話

 数時間前、暁の稲妻の幹部カルサス・テキーラから暁の稲妻本部を出る間際に仕事を頼まれた。三時間後に会談をすることになっているということだった。会談相手はルイス・マックスウエル。団長であるロバルト・シャーン直々の仕事だったが緊急の用で行けなくなったらしい。


 仕事内容は書類を受け取るだけでいいとのことだった。ミハイルは断ったがバロッテリがあまりに懇願してくるのでしぶしぶ承諾せざるをえなかった。カルサス・テキーラは礼を言って逃げるようにミハイルの側から立ち去っていった。仕方なく渡された数枚の資料に目を通した。

 

 ルイス・マックスウエル。王立軍事大学で軍人として活躍。しかし怪我で退役後、政治家を志す。急進的な考えを持ち、

その年の選挙で当選し、軍部からの指示でその年の選挙に当選する。

 

 それでもどこか訝しげに思ったミハイルは暁の稲妻、団長のロバルト・シャーンにカルサス・テキーラに頼まれた仕事について確認しようと思った。しかしロバルト・シャーンは不在だった。どうやらカルサス・テキーラと話している最中に出かけてしまったらしい。仕方なく待ち合わせの場所に向かった。

 

 やがて密林を抜けると焼け爛れてしまうような太陽とすでに見る影もないアジェンダー神殿が現れた。数千年前は色鮮やかな色彩の装飾が神殿のあちこちに使われ、立派だったと聞いたことがあった。乾燥した地面の上に何者かの足跡が残っていた。依頼者はもう来ているのであろう。

 

 神殿に一歩踏み入れると、崩れた神殿の残骸が散らばっていた。ミハイルは出来る限り乗っても崩れなさそうな残骸の上を歩いた。

 

 神殿を支えているのであろう大黒柱の役割をしている四隅の石柱はいつ崩れてもおかしくないほどに朽ちていた。

神殿を抜けると待ち合わせ先である祭壇が見えた。

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