『落ちない汚れ』

 どうしても落ちない汚れがある。数年前からにできた我が家のシミ。掃除機、雑巾、水洗い。どんな方法を使っても汚れが落ちない。昔はあんな汚れ、なかったのに。


 綺麗好きな私はそのことを夫に相談した。すると夫は重々しく口を開き、


「……業者に、相談するか」


 と言った。なるほど、その手があったか。


 翌日、専門業者がウチにやってきた。流石プロフェッショナル、見事な仕事で汚れを除去し、黒いバンに乗って帰って行った。


 彼らが帰った後、汚れがあった部屋に来てみる。すると汚れとは別に、ゴミ屋敷のような大量のゴミが見つかった。呆れて私は、久しぶりに掃除用具を取り出す。やれやれ、立つゴミは跡を濁さずとはいかないらしい。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る