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 さて、僕の話をしよう。


 魔法が使えない僕は、小学校、中学校まであきら君と同じ学校だったけど、成績が天と地ほども違うので高校から別れた。


 僕の方はまぁ適当に美術部入って。テスト前にはそこそこ頑張って。バイトで稼いだお金でゲーム買って。適当に彼女作って別れて卒業した。


 大学では経済を専攻して、適当に友達付き合いをしながら単位を取った。休日にはやることがなくて一日中寝て、朝が来るとバイトに行った。お金だけが貯まった。ゲームを買う。


 僕は時々魔法少年のあきら君と連絡を取っていた。僕はあきら君が羨ましかった。魔法が使えるから。彼の世界はとてもシンプルだ。魔法を使えばなんでもできる。使えないなら努力をすればいいし、どんな方法でも魔法だってことにしてやってのけてしまう。


 そしてあきら君は禁術をも使える魔法少年になった。


 僕は地元の小さな会社の経理に就職口を見つけた。そこで毎日働いて、夜になると少しお酒を飲んで眠る。貯まったお金の使い道は見当たらない。結婚するには足りない。

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