第7話

「バラバラになっちゃったみたいね」


杏は体育館にポツリ一人で立っていた。するとパッと映像が流れる


「あら、涙の奇跡…懐かしいわね」


それは昔流行った映画だ。懐かしむ杏の背後から何かが近寄ってきた

しかし、それを恐れず素手でギリギリと首の辺りを絞めた


「うっぐ!カハッ!」

「あら、苦しいの?すぐ楽に差上げますわよ?」

「うっ」

「あら、気絶した?」


それはヌチャっと水になって消えた


「あら、死んだ?」


映画に再び目を移すと携帯が鳴った。ディスプレイには いばら の文字が出ていた


「もしもし?元気かしら?」

「の、にどうちゅう!」

「え?なに?」


声は聞こえるもののノイズが一緒に混じって上手く聞き取れないようだ


「だい、の、じちょう、」

「もう一回言って」


だいにこしゃ りじ、しつ


「第二校舎の理事長室ね、了解したわ」


杏が体育館を出ようとドアを開けようとしたが開かない


「出さないつもりね」

「クッククク、娘よその魂喰わせろ」


怒りの刃の風よ邪気を祓いたまえ烏天狗!

烏天狗が杏を喰らう


「祓い師だったか娘よ」

「あまり時間がないわ、さっさと殺らせて頂きます」


ブワッと鎌鼬が影を切り刻む

切り刻む度に血だろうか杏にべっとりと付く


「ふ、ふはは!笑わせるな娘!」

「!?」


影は杏の肩に噛み付いた

肩から血が流れ出す


「貴様、やったな」

「あ?」


杏がクスっと笑うと風が怒り狂ったかのように影を包んだ


「さよなら、悪霊さん…」


何が起こったのか分からず影は圧縮され消えた


「意外に弱かったわね」


そう杏が言うとパタンと倒れた


「血がたりな…い、わ」


意識を失う直前に足が見え「大丈夫か!?おい!?」と聞こえてきた


「なかま、が」

「!?」

「…」


この人を急いで運べ!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「居ない…どうしよう」

「そうね」


でも匂いは見つけたわ


「本当!?」

「さっきまで此処にいたみたいよ」


あっちよ 雪猫は真っ直ぐ走った。その後をネハルはついていく


暫く走ると後ろから攻撃され足を痛めた


「ネハル!」

「大丈夫!」


カツンカツン靴の音がしたのでネハルは目を凝らすと軍服らしい服を着た男が現れた


「本部の制服?」

「おや?死ななかったですか」

「本部の人がどうして」

「君さえ居なければ響さん、いばらさん、杏さんのグループに居たはずなんですよ、君を殺したい程憎い」


ネハルは青ざめていた

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