第3話

クスクス、あの子受験に失敗したらしいわよ?


違う、受けたくもない学校の受験なんてしたくなかった…嫌だった…だから


恭子ちゃんどういう事なの?試験白紙だったって!どうしてなの?どうして!!


だまれだまれだまれ!何もかも消えて無くなればいいんだ!


恭子…お前はやりたい事をしなさい


死んだお父さんの声……


「…ここはどこ?」


ここはお前の死に場所だ恭子


後ろを振り向くと真っ黒い影があった


「一つになって心の底から憎い奴らを消してやろうぜ…ヒヒヒヒ」

「や…こ、こないで」


消すんだろ?母親を


「違う!」


笑った奴らを


「違う!」


消したい訳じゃない!


「消したい訳じゃ……ないだと?」


フザケルナァァァ


「いやぁぁぁぁ!」


真っ黒い影は恭子を飲み込んだ


「遅かったか!」

「ボリボリボリ」


恭子を噛み砕く音が

いばらの耳に入ってきた


「喰らったのか!くそ!」

「くっくっくっ…若い女の肉は柔らかいなぁ」


お狐様お狐様

姿を現したまえ


「呼ぶのが遅いぞよ、いばらよ」

「悪かったな!魂だけは何とかするよ玖(きゅう)」

「御意よ」


恭子を喰らった黒い影は大きくなりはじめた


「これまで何人もの人間を喰らってきたが、この娘は中々のものだった」

「巨大化かよ」


すると いばらは札をだし

ブツブツと呪文を唱えると玖が いばらを飲み込んだ


「なんだこの光は!く、くるしい!」

「我は玖…貴様を打ち砕く」

「狐が人間を喰らった!?」


目の前には人間の姿をした獣耳の玖の姿があった

玖がいばらを喰らう事により

一時的ではあるが祓う能力が人間の状態で祓うより優れる

しかし、体力を消耗しやすく人によっては

気絶や嘔吐することもあるのだ


「貴様は何故この娘に憑く」

「イジメや母親の期待で疲れていたからな、入り込みやすいと思ったら、案の定簡単に操ることができた…おまけに美味かった」


ふははは!


笑いながら玖に攻撃してきた

玖は交わしつつ少しずつ攻撃を加える


「見た目は強そうだが攻撃は弱っちいなぁ」

「そう見えるのなら、貴様の目は腐っておるぞ憑き物よ」

「なんだと?」

「我にはあまり時間が無い…だからよく見てみるがよい」


憑き物の腕や足をよくみると文字がかいてあった


「それは封じの文字ぞよ」

「くそぉぉ!」

「さて、最後の仕上げぞよ娘」




チリンチリンと優しい鈴の音


「恭子」

「おと…うさん?」


恭子の前には亡くなった父親の姿があった


「お父さん!」

「恭子…大丈夫だ」

「え?」

「もう苦しまなくていい…さぁ一緒に行こう」


手を引かれ向かうはその先の真っ暗闇


「やだ…やだよ!お父さん!」

「どうしてだい?恭子が望んだ事じゃないか」

「違う!こんなの望んでない!」


私まだ生きていたい

本当に行きたい学校行って

大学いって…それでピアニストになりたい!


「それで、大好きな」


大好きなお父さんに聞かせてあげるのが私の夢なの!


「だから…だから!死ねない!」


憑き物の体から光が漏れた


「ぐっああああ!」

「闇よ…光になれ!滅!」


憑き物が光に包まれると

光に守られた恭子の姿があった


「お前が守ったのか」

「はい、大事な娘ですから」

「…」


父親が優しく頭を撫でると

恭子はフンワリと笑顔になった


「己ぇぇ」

「1部が残っていたか」


真っ黒い影が腕に噛み付いた

しかし風船が割れるようにパンっと消えた


「杏殿のお守りが守ってくれたのか」


ポワン


「おえーっ」

「大丈夫かいばらよ」

「大丈夫じゃない…」


玖はいばらから抜け出すと

いばらは嘔吐していた


「噛まれた場所消毒しておくとよい」

「めんどくさい」

「杏殿にしてもらうとよいだろう?」


さ、帰るぞ

いばらは再び恭子を担いでBARへと戻った

夕方になると、母親が様子を見に来ると

元気な恭子を見て泣きながら抱きついた、後日お礼の手紙に話し合いをし恭子の行きたい学校を受験することとなったと書いてあった


「よかったね!」

「そうね」

「んで、響さん次はどんな街ですか?」

「どこだろうなぁ」

「っていうか本当にあの店手放して良かったんですか?」

「あぁ、元々一ヶ月だけの契約だったしな!」


それに、儲けさせてもらったしな!

ふははは!

響が運転しながらそういった


はーっはははは!


「……」


3人は話を流すように車から外をみた

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