第2話

いばらが娘と思われる少女を担いで帰ってきた


「恭子!」


母親が駆け寄った


「大丈夫です…気絶してるだけですので」

「よかった…恭子」

「ご苦労だったな」

「いえ、仕事ですから」

「ネットでここを知って来る途中だったんです…そしたらリュックから包丁を取り出して……それで」

「どうにもできず駆け込んできたんですね」


杏は少女の動きが出来ないように祓い獣の黎(くろ)を体に巻き付けた


「杏殿、こやつ厄介な憑き物ですぞ我の体もいつまで持つか」

「ワンちゃん頑張って」

「御意!」


体が痛い

お母さん


「っ」


母親は娘から目を逸らし


「娘を…お願いします」

「まかせてください」


響が答え部屋を後にした

トボトボと歩く母親の後ろ姿を3人は見つめていた


ー学校ー


「であるから…」


あぁ…数学わかんなーい

…そういえば朝の子どうなったんだろう

この時間帯なら祓う時間もあるだろうから

終わってるだろうな


「んじゃ、岸和田答えろ」

「…xの答えなんか知るか!」


ぺチンと消しゴムを床に投げつけると

跳ねて禿げた数学の教師の頭に当たった


「うわ、やば」

「………きーしぃわだぁぁぁ!呼ばれた事気づかなかっただろ!」

「ひぃ!」


すみませぇぇん!


昼休み担任に説教され

この事は保護者代わりである響に連絡するらしい


「絶対に響さんに怒られるー」

「当たり前だよ、だって先生を怒らせたんだから」


雪猫にも言われた


「ぐっ」

「ガキ」

「なんだと!?」

「ニャー」


雪猫は消えた


「もー」


するとチャイムがなった


「授業始まる」


空を見上げると

うっすら月が出ていた


ーBARー


「お待たせしました…美しいお姉さん」

「ありがとう」


ちょうど昼どきで

店内は女性やサラリーマンでごった返しだった


昼はCafe

夜はBARでやっているこの店

ランチが大人気で雑誌やテレビで紹介され有名店になった


「はい、料理完成」

「えっと…5番ね」


杏がテーブル番号を確認し

運ぼうとしていたとき

ドゴンと音がした


「なんだ今の」

「まさか」


杏と響が奥の部屋を見ると天井に穴が空いており、黎は気絶していた


「…憑き物め………天井壊しやがって!」

「そっちなの?」


杏の何気ないツッコミが入る


「狛犬ちゃん達…憑き物を追いかけなさい」


2匹の狛犬が憑き物を追って天井から出ていった


「くそっ!」

「黎も気絶するほどってどれだけなのよ…これは非常事態ね」

「俺が行きます」

「すまねーな、いばら」

「いいですよこんくらい」

「いばらまって…」


杏が自分のブレスレットをいばらにつけてあげた


「相手は強力だから、御守り」

「ありがと…」


いばらは外に出て狛犬達の後を追いかけた


ー学校ー


ゾワッ


「!?」


外を見ると少し風景が歪んでいた



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