9-4 王者への挑戦

 シーフィールドから離れた場所に設置された選手控え室。

 試合開始十分前になり、ユウキは既に鎧を纏い準備を万端に整えている。リミッターが外されている感覚が身体の中を流れる魔力の流れで伝わってくる。充実した魔力と頼もしい相棒の覇気だ。

―――負ける気がしない!

 自信をもって今なら宣言出来る。

『ユウキ、準備はいい?』

『アイギスこそ』

『愚問よ』

 アイギスが甲冑を纏った姿が瞼の裏に浮かぶ。アイギスも既に万難を排し充実した気構えでいる。

『この決勝戦まで来れた事、俺はアイギスに感謝してる』

 ユウキは控え室から出ると、そのままシーフィールドへと足を運ぶ。

『俺一人じゃここまで来られなかった。アイギスがいたから俺は此処まで来られたって、今になって思い知らされてる。アイギスが俺の傍に居てくれて、本当に良かった。本当にありがとう』

————不意打ちだ。こんな土壇場でこんな事を云うなんて・・

 アイギスは頬を紅く染める。気を取り直すように、アイギスは咳払いをすると、

『そういう事はこの試合に勝って、私が目覚めたら、直接私の目を見て云って』

『・・分かった、そうする』

 ユウキは小さく頷く。

『私達なら必ず勝てる。私は信じてるから』

『俺も信じてる。俺とアイギスなら絶対勝てるって』

 二人には迷いも憂いもない。

 ただ目の前に浮かぶ勝利を掴むため、最後の地へと向かった。

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