第2話 お願いします、お姉さま。

「とにかく、ここはグラマーなお姉さまに任せなさい」

「グラマーなお姉さまなんてどこに……」

俺は真っ平なスク水の胸を見たがそれはそれは見事な断崖絶壁で、間違っても二つのメロンが実りそうにない。

「いいからそのこそばゆいメールを終われ!『プロフ見てピンと来ました』だの『近所なんですね!○○で会いませんか』だの!」


え?まずいの?基本でしょ?

「お前のことがさっぱりわかんないのにホイホイついてくるやつ等小学生にもいないわ!アホンダラ!」

小学生に言われてしまった、子供の言うこととはいえ、腹立つなぁ。


「まずお前駄目だ、わたしがせっかく出てきたっていうのにもてなしもせず無礼なことばかりほざくとは」

「お前じゃなくって中道 進なんだけど、まぁとにかくじゃあ……牛乳でも飲むか?」

こんなお子様には牛乳で十分。

「何を言う!わたしは高貴な魔族だぞ、そうさな……人間のモノもいいが、お前を今喰っては後々つまらん、動物の肝、血、体液なんかで手を打とうではないか」

「じゃあ牛乳だな、乳も体液だし」

「人の話を聞け!」

あぁ、もう、うるせぇガキだ。とっとと追い出そう。


「そうさな、お前、まずは誰でもいいから付き合いたいとか思ってないか?」

しっかり飲むのな、つうか、うわぁ、痛いとこを……。

「あぁ」

「連絡先を聞いたのか?」

「なんとか……でも繋がらない」


「そうか、ならば『また聞き直せ』、それで駄目だったら、お前いよいよ振られたってことになるな」

「は?しつこいと嫌われるんじゃ……」

「誰でもよかった、のではないかと思われるぞ」

リリムの言うことにも一理ある気がした。

「わかった、明日な」

  

               ★

 

 次の日、二度目に連絡先を聞いたのに、雅さんからは「え?知らない」「ちょっと用があるから……」と全く暖簾に腕押し。

 とぼとぼと帰宅した、こうなったらなんでかまだ俺の部屋にいるリリムになんか言ってやんなきゃ収まらねぇ。

「こらぁ!リリム!」


 俺の部屋にいたのは、黒い蠱惑的なビキニを着たムチムチ豊満ナイスバディなお姉さま。

 一応羽根と牙があってこの世のモノじゃないってことぐらいわかるけど……。

 ……こんなお姉さまになら食べられても本望。

「あ、あのすいません」

慌てて自分の部屋だというのにドアを閉めようとする。

「うん?そうか進、お前また振られたか」

お姉さまは俺に親し気に話しかけ、いい子いい子してくれる、すげえ嬉しいけど……。誰?


「?なんだ?わたしだ、リリムだ」

「な!?」

俺はひっくり返った

「幼い子供の方が『今風』で『萌え萌え』なんだろう?魔力の関係で時々この姿にも戻るがな、そんなこんなで、よろしくな」


 お願い致します。おデビさま。






 

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