第6話 真、クジラを捕まえる

今日も、俺たちは漁に出た。明日には底引き網漁用の網が届く。だが、今日の量はいつもとは違っていた。

「艦長、こいつどうします…?」

「ああ、どうしようか…」

俺たちは巨大クジラを捕獲してしまった。

「こんなの、とてもじゃないけど甲板に揚げれませんよ」

クジラ自体は売れる。…売れるのだが、持ち帰れない。クジラを〆て、尻尾に紐をつけて、港まで引きずるという案も出たが、恐らくスクリューに巻き込まれてダメになるだろうということで没になった。

「しっかし、これ、どうするかなぁ」

すると知樹が、

「救命ボートを縄で結び、その上にクジラを乗せよう」

こう提案してきた。確かに大量の救命ボートがある。だが、それもスクリューに巻き込まれないだろうか。そんなときに、レーダーに船の反応があった。このサイズからして恐らく駆逐艦か護衛艦だろう。このチャンスを逃すわけがない

「操縦室の者、近くにいる船にクジラ引き上げの協力要請を出せ!!」

「了解!!」

偶然にもその船は明日から底引き網漁を一緒にする予定の船だった。そして俺は、

「作戦はこうだ!まず、クジラを〆る。そのあと船に常備されている縄でクジラの頭部、そして尾びれを縛る。そのまま、縄の一方ずつを各船の真ん中に結び付ける。そのまま、間隔を取ったまま、港に帰る。」

要するに、クジラを船と船に縛り付け、そのまま港に持って帰るということだ。普通の漁師には無理かもしれないが、普段から訓練で間隔を取ることに慣れている俺たちには造作もないことだ。

「作戦開始!!」

「「「「「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」」」」」

俺を除く十四人の威勢の良い返事が響く。

         五時間後

「任務は成功である!お疲れさま!!」

任務は成功した。クジラの値段は予想以上に高かった。何でもクジラ漁師が不足して

いるらしい。これだけで底引き網漁の網の値段が払えるほどであった。

明日はいよいよ底引き網漁初日だ。


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