第5話 真、プレゼンテーションをする

「で、その案とは?」

俺は知樹に聞き返す。

「こんなに大きな船なんだ!底引き網漁をやってみよう!!」

底引き網漁とは…船に網を付けて海底に網をたらし、そのまま海底にいる魚などを捕まえる漁法である。

「いいですね!!」

何人からか賛成の声が上がる。だが俺は聞く、

「今回の網でも500万円かかったんだぞ、底引き網漁の網だったら、何万円かかるかわからない。その資金はどうやって用意するんだ?」

というのも、政府からの支給額は、最初に500万円、それからの月は50万円に一気に減額される。しかも、残り3ヶ月しかもらえない。

「それに、だ。底引き網漁は、二隻の船でやるものだ。大体の船は漁法を確立している。すぐにやる…というのは無理だ。」

隊員たちが一気に押し黙る。すると知樹が、

「皆、聞いてくれ、お前たちも別の船に知り合いの一人や二人くらいいるだろ?そいつらに交渉するんだよ。」

すると、一人の隊員がつぶやいた

「あ、あの、僕、隣の船の艦長と兄弟なんですけど……」

まじか!

俺は知樹と一緒に隣の船に案内してもらった。

        事情説明中

「……つまり私たちの船と一緒に、底引き網漁がしたい、と?」

「そうです!せっかく大きい船なんだからこっちのほうが効率がいいんです!」

俺は熱く語る

「いくら艦長という立場でも、隊員に相談しないことにはなぁ」

「分かりました!!では、明日僕が貴方の船の隊員にプレゼンテーションをします。」

かくして俺は明日、隣の船の隊員にプレゼンテーションをすることになった。

              翌日

「はい、今回底引き網漁の提案をさせていただく、おおせとの艦長の渡辺 真

です。」

さて、プレゼンテーションを始めるか!

「主なメリットとしては、赤むつ、アンコウ、アナゴなどの高級魚が取れることです。デメリットは網の値段が高いことです。」

早速手が上がった

「網の値段っていくらくらいですか?」

俺は、

「800万円ぐらいします。ですが我が艦で7割、560万円を負担させていただきます!!」

隊員たちは給料から引くことを快く了承してくれた。そして隣にいたこの船の艦長はこう言った

「異議がある者?」

すると少ない隊員は

「「「「「異議なしッ」」」」

これで、底引き網漁ができる。利益は山分けすることになっている。いい漁法が見つからなかった隣の船にとってこの提案は願ってもなかったものらしい。こうして、俺は網を発注した。

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