第3話 真、網を得る
俺たちは、どの魚を取るか目星をつけていた。そこで、何を捕るかで大論争が起こっていた
「やっぱり俺は、鰺とか鰯とか、群れてるやつを確実に捕る沖合漁業がいいと思うんです!!」
「いや、遠洋漁業にしよう。せっかく500万円もかけて強くて大きい網を買うんだ。遠洋漁業が妥当だ。」
……つい先日まで自衛隊だったとは思えないほど漁法について熱く口論している。
「あぁ、もういい。お前には沖合漁業の良さが伝わらないみたいだ。艦長に決めてもらう」
「こっちのセリフだ!艦長、やっぱり遠洋漁業がいいですよね?」
……俺に言われても。すると知樹が、
「まぁ、今回は初めてだから沖合漁業にしておこう」
という。沖合漁業は二~三日かけて日本近海で魚の群れを捕まえたり、小規模な鰹、マグロの漁を行うものである。ちなみに、政府が船の甲板部分に大きな釣竿を設置したので一本釣りができる。そして俺は、
「今回は沖合漁業にしよう。せっかく大きな釣竿があるんだ。一本釣りもできるし、近場で済むのならリスクも少ない。異議があるものは手を上げろ!」
若干名手を上げたものの賛成多数で沖合漁業にきまった。
俺は部屋に戻り、知樹と話をしていた。
「皆やる気だなぁ、俺、ついていけないかも」
「おいおい、真がそんなこと言ってどうするんだよ」
そう励ましてくれるのは俺の少ない友人の知樹だ。こいつはなんだかんだで頼りになる。
一週間後
「なんじゃこりゃぁ!?!!?」
俺は思わず叫んだ。網が到着したのだが、その網が、なんだかよくわからないがすごいのだ。まるでブラックダイヤモンドのような色をし、水晶のような透明度を持つ網のひもはぐにゃぐにゃとしなっていた。
「ああ、新しく発明されたプラスチックですね?何でも、とてつもない圧力にも難なく耐えるっていう」
知樹が網の販売者に聞く。
「ええ、そうです」
販売者が答える
説明を受け、ますます驚いた。その網は半径500メートルもある巨大なものだが、重さはなんと1.5キログラムしかないそうだ。さらに、サメがかじった程度ではもろともしない強度を誇っている。
「これならいけるぞ」
そう小さく呟いた。
明日はいよいよ漁に出発だ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます