第5話〜混沌と化す委員会〜中編
はぁ…困ったぞ…どうしよう…
僕は悩んでいる。生徒会もだが委員会運営然りである。
そこにふと、か細い声が聞こえてきた。
「なにか…お悩みですか…」
その声は貸出カウンターからだった。カウンターに居たのは同学年の"文学少女"で有名な
そう 彼女に出会ったのは、ほんの数週間前の出来事である。そう、確かその日は綺麗な青空が広がってる日で、全校生徒が昼で帰宅する中、定例会準備の為、図書室に一人で残っている時であった。この時、彼女は入口付近のテーブルに居たと思う。この日残って仕事をしていた理由は、担当業務の振り分けだった。
この委員会は、仕事は多くないクセに一つ一つの仕事が重要だったりする なのでどの仕事が欠けても支障がある。だがこの委員会は何度言っても、問題が発生してしまう。それに最後の最後で…何度こいつに悩まされたか…そうならない為に、僕がこうやって空腹を我慢し、機嫌が悪くなりながら振り分けをしている。最悪の事態も考えながら…
そんな僕を救ってくれた天使が彼女である。存在は知っているが、話した事はない。その日までは、だ。
振り分け人数が足りない そう司書さんに話すと「文香を入れればいいんじゃない?」そう言い放ったのである。
彼女は文学少女としても有名だが、病弱さでも有名であった。当然、体育の授業は見学。体育祭も然りである。風の噂では「生まれつき貧血で、運動をするとすぐに倒れてしまう…」とかとか…様々な噂が流れている。そのお陰と言うかそのせいで年中彼女は雪の様に白い美しい肌をしていて体型も素晴らしいとか…なので彼女は少しだけクラスで浮いてしまってこの図書室に入り浸っている いや、住んでいる と表現した方がいいだろう。学力も優秀で推薦で有名国公立の比較文学科に進む と聞いている。
僕はそんな病弱な彼女を心配して振り分け人数に入れていない。「1度本人と話してみます。かなりの日程を入れるので」こう司書さんに言い残し、少し緊張しながら入口付近のテーブルに向かった。
「あの 赤羽さん。少しいいかな?」
この一言かけるだけなのに、心臓の鼓動が早くなっているのが分かる…落ち着け…俺はただ、仕事を入れていいか?と言うのを聞くだけだ。
「はい…なんでしょうか…?」
柔らかい…声が 匂いが 柔らかい…何だか飲み込まれそうだ…
「ごめんね、急に。僕は、この委員会の委員長をやってる高柳 ちょっと委員会の事で話したくて」
「はぁ…私に 出来ることであるなら…」
ダメだ…本当に油断したら…飲まれる…
「今ね、今月分の定例会に向けて仕事の割り振りをしてるの。そこにね、赤羽さんを入れてもいいのか?って言うお話。」
赤羽さんは静かに、僕の心を探るように聞いている。ダメだ…読まれる…と思いながら話を続けた。
「ほら…あの、赤羽さんって余り体が弱いって聞いて今まで入れてなかったんだけど、今回もしも、入れていい と言うならかなりの仕事になるから…一応、補佐で俺は居るけど…倒れたりしたら困るから…」
赤羽さんは静かに本を閉じ、僕の方を見た。綺麗な髪、引き込まれそうな美しい瞳。
「今まで…仕事が無かったのは…そんな気遣いをしてくれてたからなんですね。ふふっ」
僕は、初めて彼女が笑ったのを見た。可愛い。ただその一言のみだった。僕は、こんなにも美しく、可愛い女性を見たのは、初めてかもしれない。彼女はこう続けた。
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