第4話〜混沌と化す委員会〜 前編

 さて、僕自身のリーダーとしての問題も山積みだが、問題が山積みになっているのは委員会の方も同じだ。

「ちょっとー委員長これ、どこの本棚に入れるの?」「データページへの本の登録方法がわかんないんだけど…」 「この本のPOP 変えた方がいいんじゃない?」 「委員長、この本の束を書庫の棚に仕舞っといて。」

……僕は千手観音でもないし聖徳太子でもない。猫の手でも借りたいレベルである。

 まあ、僕も高校に入って、初めて図書委員に入ったので頼りたい気持ちは分かる。

だがしかし…流石に慣れてもいい頃じゃないのか?

実際、そんな事口が裂けても言えないが…

「また今日も残業かな…はぁ…」

その通り。僕は、ここ数週間程、放課後四時間程残って委員会業務をしている。授業の合間にもやっているのだが、どうにも横槍が入って終わらない。定例会までに全委員の仕事の割り振りを発表したいのだが、残り二週間。果たして終わるのか…

「さぁて、残業やるか…」今日も生徒は誰も居ない図書室での残業が始まる。

「あんたも頑張るねぇ…無理したら、ダメだよ」

そう声をかけてお茶を差し出してくれたのは、この図書室の司書さん。この委員会の責任者兼担当者と言っても過言では無い。

「ありがとうございます。とにかく、今週で半分は仕上げないと…定例会に間に合わないので…」

「あんた、目が死んでるね。ちゃんと寝てる?」

本音をいえば、寝れてない。いや、寝てない。と言った方が正確だろう。でもさらっと目が死んでると言うのはどうであろうか…でも、自分でも目が死んでるかもとは思っていたが、まさかそんなに酷いとは思わなかった。最近の僕の生活は、五時起床 七時に学校 学校終了後すぐ塾 十一時頃帰宅し泥のように寝る。休日も一日中休ませること無く勉強漬け。

と言う高校二年生ながら受験生のセンター前の様なスケジュールであった。両親も止めることなく

「貴方の将来の為だから頑張って」

僕がどんなに辛い顔をして起床 帰宅してもこの一言のみである。

本当に僕の為を思ってるのなら、何故休ませようとしないのか。こんな生活してたら、授業中も寝るに決まってる。不幸なことに僕は、最前列である。勿論、怒られるに決まってる。一度だけ学年主任とのカウンセリングもやった。理解はしてくれたが、それ以上は無かった。やっぱり、大人は信用出来ない。

定例会まで残り二週間絶対終わんない。奇跡でも起きない限り。

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