第3話〜みんなのリーダーって?〜 後編

乗り換え駅のホームにゆっくりと電車が入ってきた。乗っている人はまばらで車内は車掌さんのアナウンスが聞こえるだけであった。そんな電車で彼女はまた話し始めた。「私、さっき高校に入る前に決めてたって言ったじゃん...あれね中学校の恩師に誓ってたんだ。でもね...美織にあって一年間一緒に活動してきて、やっぱり私はダメなんだなぁ...って思っちゃって。」僕は今年から生徒会に入ったので去年のことは彼女達から聞き出すしかないが、やはり話はやんわり去年の先輩から聞いてはいたが、複雑な関係だったことがこの話を聞くだけで分かる。そして僕の反応を伺うようにこちらの顔を覗き込むように話を続けた。「でもね いざ生徒会に入ってみるとね、全てが違ったの。私も違いがあるってことは想定してたの、でもその違いをはるかに超えてた。本当に忙しすぎて目が回るような日々だったの。私たち生徒会はこの学校の生徒720人弱を動かして学校を変えたり、行事をしなくちゃいけないんだよ。それもが楽しいんじゃダメ。みんなの思い出に残るような行事にならないようにしなくちゃいけないの。」僕もそれは思っていた。

この学校はスクールカーストがかなり激しい。そして逆転なんてありえない 不可能と言った方が的確かもしれない。それは、僕も強く感じていた。友人か行動力があればこの学校は楽しいかもしれない。でもそのどちらにも欠如している場合はどうなるかというと...もう語らずとも分かるであろう。簡単に言えばだ。それも永遠にの状態だ。

そこで僕はふと、こんな言葉を言ってしまった。

「そんなの...無理に決まってるじゃん...無理だよ...弱い奴は強い奴の下にいるか、黙って犠牲になるしかなんだよ。鈴原さんのその考えは必要だと思う。でもそれによって犠牲になる人も出てくる人もいる。そのことだけは知って欲しい。」......まさか自分がこんなことを言ってしまうなんて思わなかった。車内にいるのは僕と鈴原さんだけだった。それ以降は、二人とも黙り込んでしまった。鈴原さんは僕の降りる駅の二駅前で降りた。別れの挨拶はしたが、気まずい雰囲気があった。

僕は乗り換え先の電車で、鈴原さんの発言が頭の中をぐるぐると回ってた。

が楽しいんじゃダメ。)(みんなの思い出に残る行事にしないと)何度考えてもあの時、反論した自分が恨めしい...

本当に...リーダーってどんな姿であることが理想なのだろう。自分を省みずに他人の思い出や快楽を優先させるのか?一部の人間を待遇して効率よく行事を進めるのか?

どちらを重視しても、一部の人間からの批判、反対は絶対ある。

まだ、僕は未熟者みたいだ。これから、まだ学習していかなければならないみたいだ。しかし、この後僕に降りかかる災難、苦悩があるなんて、この時の僕は思いもしないだろう...

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