新たな仲間?
第19話
タクティスとの戦いに勝利を記念に四人で遊園地に行くことにした。
自転車で三十分くらいの所にある遊園地で夏(なつ)美(み)とは何十回と来ている思い出の場所だ。
「もお太陽(たいよう)遅いよ。早くしないと乗り物乗れなくなるんだからね」
前かがみで人差し指を立てながら言う。
今回はどのアニメの影響だよ。
今時ありがちすぎて何か言葉が詰まる。
けど何て言うか生で見ると良いものだ。
しかし、寝坊して待ったのだから頭が上がらずツッコミもろくに出来ない。
「あれ?モコと桜(さくら)はどこ行ったんだ」
あたりを見渡しても二人の姿が見えない。
俺より遅いじゃん。
なんて思っていたのだが・・・・
「え、二人。先に行くって言ってたじゃん」
あれ?予想していたのと違う答えがかえってきた。
こういうのって遅れてるのとか知らないとか言って後ろから脅かすとかするのかと思ったんだが。先に行ってしまったとは・・・。
あ、でもモコとは一緒に住んでるし仮説は間違っていたな。
「先に行ったのか。こういうのって現場に行くまでの・・・・」
「太陽が遅いのがいけないんでしょ。反省しながらほら行くよ」
はーい。とあくびをしながら言ったが夏美は無反応だった。
いつもの夏美ならはい。は伸ばさない。とか言うんだが、今日はそんな威勢がない。
どうしたのだろうか顔も赤いし風邪でも引いたのかと思い夏美の額に触れた。
すると
「ヒャン」
と、すごい声をだした。そして額に触れている腕を持った。
夏美はしばらく動かずにやにやしていた。
熱を出したときとかお互いがやっているからあまり珍しいことではないのだが・・・・・。
なんか今日の夏美は変だと思う。
「この前のデートのときは大丈夫だったのに・・・・・」
夏美は小声で大丈夫。大丈夫。と自分に暗示をかけながら二人で遊園地へと向かった。
モコたちを待たせるわけにはいかないので二人は全速力で自転車のペダルをこいだ。
すると三十分くらい掛かる距離を十五分で着いてしまった。
二人は汗でビチョビチョになっている。
「二人とも来るの遅いよ。チケット四人分かっといたから早くいこうよ。あ、タイちゃんお金はあとで四人分もらうからね♡」
寝坊した罰と思えば軽いかもしれないな。
「それじゃあ何から乗る?」
「「「ジェットコースター」」です」
満場一致でジェットコースターに乗ることになった。
しかし、俺はジェットコースターが苦手だ。
まず高いところが嫌いだ。
そして、落ちるときに背中がふわっとするのがものすごく嫌いだ。
いつもなら夏美に断っているのだが、今日は断れないな。
夏美はそこに付け込んだのか。
「太陽と初めてのジェットコースターだ。楽しみだね」
夏美はまんべんの笑みを浮かべている。
これを見たら後には引けないな。
俺は三人にしぶしぶついて行くことにした。
ジェットコースターは丁度待ち時間なくすんなりと乗ることが出来た。
「C'est la première fois que je monte dans les montagnes russes japonaises et est excité beaucoup」
「モコ何て言ったんだ。」
桜はとても難しい顔をしていた。いや、桜だけじゃなく当然夏美と俺もだ。
「日本のジェットコースターに乗るのは初めてでとてもワクワクするです。って言ったよです」
「「ジェットコースターってワクワクドキドキだよね」」
夏美も桜も俺には言っている意味が分からない。
なぜこんなものを発明したんだ。と言いたいぐらいだ。
まだまだ根っこのある歯を抜かれるくらい俺の顔は青ざめている。
「それでは皆さんお気をつけて行ってらっしゃいませ」
アナウンスが流れてしまった。
さぁ地獄のTIMEの始まりだ。
コースターはどんどん上へと上がっていく。
「夏美怖くないか」
唾をごくりと飲みながら聞いてみたが夏美は景色を楽しんでいる。
前に座っている二人も楽しそうだ。
「あれあれ太陽さん。もしかして怖いのですか。引き返すことなどできませんよ」
夏美め、なんかムカつく。
今度じっくりとお返しをしなくてはだな。
覚えておけよ。
その時だった。
ガタン。
急にコースターは止まった。
てっぺんまで上ったのだろう。
「なっちゃん、タイちゃん見てみてあれって・・・・・ウヒャ~イ」
コースターはどんどんスピードを上げながら下りて行っている。
俺は必死に目をつむり前の座席に手をついている。
声は少しとも出ない。
しかし、三人は楽しそうに笑っている。
「太陽さん一回転しますよです」
「タイちゃん次は上るよ」
また上るのかよ。
ごめんなさい。おろしてください。もう僕は限界です。
ジェットコースターは早かった。
それしか言えない。
恐怖のあまり思考も停止しているのだろう。
「はい。太陽下りるよ」
「○*¥☆$#×」
「太陽大丈夫?」
ジェットコースターを下りた時には泡を吹いていた。
絶叫マシーンなど何年も乗りたくない。
と、思っていたのだが・・・・
俺たちはヒューと上りストーンと下りる乗り物に乗っている。
またもや高いところの苦手な俺が恐怖を感じる乗り物では・・・・・。
乗ったことはないが多分背中もふわっとするのだろう。
「「楽しみ♪。楽しみ♬」」
ご機嫌な夏美と桜。そ
して少し怖いのかモコはこわばった表情をしている。
「モコ。大丈夫か?」
聞いても無反応だ。
とても怖いのだろう。
実際俺もほかの人に気を配れるほど余裕がない。
「それでは発進します」
とうとうこの時間がやってきてしまった。
鼓動が良く聞こえてくる。
ミシンのように早い。
それ以上にヒューと乗り物は天に向かって上っていった。
てっぺんまでとたどり着いたのだろう。
止まり景色を楽しませてくれているらしい。
での俺は景色など楽しめる余裕もない。
「Haut Haut(たかい、たかいです。). C'est angoissant à(これはジェット) la différence(コースター) des montagnes russes(よりも怖いです。).」
何て言ってのかは分からないが、この高さにモコも怖がっているのだろう。それに比べて夏美たち二人は足をぶらぶらさせて楽しんでいる。
「タイちゃん・・・が見えるよ」
風のせいでよく聞こえない。
風のせいではないがこの通り俺は応答できない・・・・・・・・・・・・・って
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」
ストーンと猛スピードで落ちていく。
夏美たちは手を上にあげて足をぶらぶらさせながら落ちるのを楽しんでいる。
モコは声も出ないほどシートベルトをぎゅっと握っている。
半分の所まで来たときにいきなり止まってしまった。故障したのであろうか。などと考えているとヒューとまた上って行った。
そしてすぐにストーン落ちていった。
何度かそれが繰り返された。
体にあるものが全てぐちゃぐちゃになりそうだ。
乗り物から降りた後俺は気持ち悪くなりトイレに行かせてもらった。
その間三人には園内にあるカフェでお茶を楽しんでもらっていた。
「いや~楽しかったね。なちゃんも怖くなかったんだね」
「うん。何度か太陽とここに遊びに来てつけど太陽こういう乗り物苦手でさ。乗らせてくれなかったんだよね。初体験楽しゅうございました」
「でも今日は二つも乗ったねです」
「本当に今日はすごいよ。あ、それでね・・・・・・・」
そんな他愛ない会話が続く中、太陽は一人の少女と会っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます