第14話

そのころ二人は、道に迷っていた。

「どこだろうここ?物知りのモコならわかるよね?」

モコは暗いところが苦手である。

そのため今は思考停止状態にある。

ずっと桜の腕をぎゅっとつかみながら頑張っているがこれが精一杯なのだろう。

「モコ?」

お化け屋敷などが苦手な桜は一人であったら立てていないだろう。

勇者としてモコを守らなくてはという使命感で動けている。

しかし、桜も心細くなっていた。

こんな時に太陽がいればとずっと考えていた。

すると何か固いものに当たった。

「ひぃや」

懐中電灯を持っていたことに気づきモコが抱き着いている方の手で前方を照らすと鹿の姿があった。

桜は怖くなりモコに水を持たせ、鹿が襲ってこないうちにモコをお姫様抱っこして逃げて行った。

どのくらい逃げたのだろうか。

鹿が襲ってくる気配がないので後ろを振り返った。

すると、人の姿があった。

悲鳴も上げられないくらい怖かった。

しかし、その人をよく見ると太陽だった。

「もぉ~驚かせないでよ」

「いや、こっちのセリフだよ。一時間も帰ってこないし来たと思ったら通り過ぎちゃうし」

「本当?」

「本当」

「もう大丈夫だよモコ」

するとモコはつぶっていた瞳を開けた。

そして太陽を見た。

すると赤ちゃんのように泣き始めたのだ。

桜も緊張がほぐれたのか涙腺るいせんから熱く光るものが見えたので太陽は二人を抱きしめた。

今日は色んなことがあり疲れたのだろう。

二人はテントの中に入るとすぐに寝てしまった。

仕方がないので二人を寝袋の中に入れてから太陽も寝た。


次の日の朝太陽が起きると手に何か柔らかい感触があった。

暖かくて揉んでいると気持ちの良さそうなものだ。

何だろうと何度か揉んでいるとぎゃああああと悲鳴を上げ桜は太陽頬にビンタをした。

太陽は思う。

それでけで済んで良かったと。

そして不可抗力だと主張したい。


朝食も終え、修行を行うことにした。

まずは、何からやるんだろう?

桜はメニューを考えてきたのだろうかと心配になっているとき、

「今回は私が指揮をとるですです。私について来てくださいですです」

あまりにも意外だったので声すらも出なかった。

モコの指揮だったらうまくいくだろう。

「だめですかです」

「そうじゃないんだよ。あまりにも意外だったもんで。ヨロシクなモコ」

「ありがとうございます。それでは改めてスタートです」

「「おぉ」」

「ではまず、今二人が使える技を見せてほしいです。初めは桜さんお願いしますです」

「合点承知よ」

桜はマグマのような赤くどろっとしたものに包まれた。

そして赤い髪など桜の至る所が赤くなっていた。

「マントルからいでし炎よ今こそ我に力を。FLAME GRACE」

巨大なマグマからできている巨大な球が出てきた。

丘が一瞬で焼き尽くされそうになりそうなくらいの力がありそうだ。

これを食らうと思うと桜には歯向かえないと思う。

今朝の事もビンタで済んで良かったと改めて思った。

「打たないでいいですです。打ってしまうとこの町が危なくなる可能性もありますですです」

俺が思っていた以上に計り知れないパワーを持っていたらしい。

「続いては忍者です」

「アーカイブの記録を頼り忍者よ我に力を!」

桜は木の葉に包まれた。

そして緑色の髪など桜の服の至る所が緑色になっていた。

「忍者の里よ封印を解き放て。TREASURE OF THE VILLAGE」

ギガントスたちを倒したときに出てきた大きな手裏剣が出てきた。

あれはもう絶対に受けたくない。

打ち所が悪かったら絶対に死んでいたと思う。

「ここまでは異常なしですねです。ここからは使用したことのない魔法を使うです。注意して使わないと大惨事を起こしかねないです。気を付けてくださいです」

「了解です」

モコと俺は緊張して手が震えているが桜はもう慣れているからと言わんばかりに冷静さを保っている。

戦士である以上冷静さは必要だよね。

「まずは氷河の力ですです。この能力はマグマの逆だと考えてくださいですです」

「マグマの逆?」

「私の知っている情報だとやりすぎるとマグマはあたり一面を火の海にしてしまいますですです。氷河はあたり一面を南極大陸のようにしてしまうのですです」

モコはこれまでにないほどまじめに話す。

「要するに使いすぎ注意ってことだね。んじゃやるね。アーカイブの記録を頼り氷河よ我に力を!」

桜は氷の膜に包まれ、とても寒そうだ。

そして水色の髪など桜の服の至る所が水色になっていた。

「よし!行くよ!マンモスなど眠りを覚ましちゃってごめんね♡ETERNAL BLIZZARD」

マグマ同様大きな氷からできている巨大な球が出てきた。

モコが言う大惨事が目に浮かぶほど大きな球だ。

「大惨事になる前に片付けてくださいです」

なんて恐ろしいものを見たか。

「残りの時を一時的に止める力ANGEL TIMEは確認することが出来ないのでこれで終わりです。次は太陽さんです」

「ANGEL TIMEね。メモメモと。何て言って使おうかなぁ」

桜は俺とは真逆で名前を考えるのが好きみたいだ。

「次は太陽さんお願いしますですです」

「了解。アーカイブの記録を頼り風の精霊よ我に力を解き放て!緑龍サイクロンドラゴンよ我とともに戦え!」

太陽は緑色の光に包まれ変身した。

「それではお願いします」

「アーカイブの記録を頼り風の精霊よ我に力を解き放て!STRONG CYCLONE」

剣に大きな竜巻を宿した。

「タイちゃんのってホント地味だよね。なんかもっとかっこよく必殺技を出せないの?」

まだ怒っているのだろう。

言葉にトゲを感じる。

とはいえはっきり言って俺の必殺技の出し方や、必殺技は桜と違って地味だ。

竜巻が宿りその剣で相手を切る。

それだけだ。

非常につまらないが、つまらないからこそ強いらしい。

「仕方ないだろう。どうだモコ?」

「異常なしです。更なるパワーアップを期待しています」

「んじゃ、水もやってみるか。アーカイブの記録を頼り水の精霊よ我に力を解き放て。水龍アクアドラゴンよ我とともに戦え!」

太陽は水色の光に包まれ変身した。

太陽は新しい衣装を獲得した。

全身青で鉢巻もある。

右胸には《水》と大きく書いてあり、水を纏った姿だ。

右の腰あたりには水龍アクアドラゴンの顔があったりと炎、風とそして水。

めちゃくちゃカッコよすぎだよ。

ってあれ剣の形が変わっている。

「それって弓じゃない?」

「そうなんです。この地区はアクアになると剣が弓になるんです」

地味と言われたばっかりだったせいか武器が変わってとてもうれしい。

「他のはなるのか?」

「アクア以外は剣のままです」

ちょっぴり残念だ。

「しょうがないな。こればかりは。必殺技行っきまーす。アーカイブの記録を頼り水の精霊よ我に力を解き放て。AQUARCHERY」

大きな矢が頭上に現れた。

やったー。

地味じゃないのきた。

「いま地味じゃないの来た。とか思ったでしょ?」

その通りでございます。

「太陽さん。絶対に弓を引いちゃだめです」

モコは涙目になっていた。

「分かった。だから泣きそうな顔はやめろ」

なぜ泣く?

後でなぜ泣いたか聞いてみるとAQUARCHERYの飛沫が顔に直撃しただけのようだった。

「最後は炎ですね」

太陽が赤い石を剣に入れようとしたときヒビから炎が舞い上がってきた。

炎から暖かさが感じられず持っていることが出来た。

炎が石からすべて出てきた後赤い龍が出てきた。

「あ、あれは・・・・・」

「あれってもしかして」

「先代が封印したタクティスなのか?」

その時桜は少し寂しそうな顔をしていた。

「我名はソルシオンなり。何年かぶりに眠りから覚めたなり」

ソルシオンはそのまま丘の奥底へと行ってしまった。

桜はその時あるものに気づいた。

「追いかけないとです」

太陽はアクアに、桜は氷河になり後を追った。

「ソルシオンは眠りから覚めたばっかりでまだあまり動けないと思うです。封印するなら今のうちです。封印するときはまず瀕死状態にさせるです。石をソルシオンのおでこに当てるです。そこで封印魔法をかけます」

「それじゃあ桜の役目だな」

「いえいえ、太陽さんにも出来ますよ」

桜はうそでしょと言うような顔をした。

「マジで。どうやるんだ?」

「《アーカイブの記録を頼り我に力を。封印されよ○○。そして我とともに戦へ。長き眠りにつけ!》というんです。一つの石は一回限りなので失敗しないでです。あ、長き眠りにつけの部分は優しくいってくださいねです」

と言って新しい赤い石をくれた。

そして俺たちは力を取り戻すために丘の奥底へと行ったのだった。

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