修行へ行ってきまーす。
第13話
体を休めると言うことがただ一日ぼーっとしていることが一番いいのだと思っていたが桜やモコがいざと言うときに体が動かなくなるから動かせと言われたので考えを変え動こうと思ったのだが・・・・。
今僕はどこにいるでしょうか?
僕は丘へ来ています。
なぜいきなり丘なんかにと思っている人が多いいでしょう。
僕にもわかりません。
行く原因となったのは・・・・・
夏美に酷い言葉をかけた次の日。
「ひまだし、今後のために山に行って修行よ。今日の夕方十八時に三日分の荷物を持って駅前に集合ね。タイちゃんは特別キャンプ用品も持ってくるように。モコにも言っといてね。来ないとかダメなんだからね」
いきなり早口で山に行こうと言われたってな。
「おい。修行って何するんだよ。計画立ててるのか?ってか明日からじゃ・・・・。ってあれ」
桜は俺の言葉も聞かずに電話を切ってしまっていた。
俺も暇だし、行ってやるか。
うちはキャンプによく行く家だからキャンプ用品は一応あるが・・・・・俺が何でも屋だと思うなよ。
キャンプ用品がある家なんて少ないんだし、山小屋とかないのかよ。
以前は夏美とよく行っていたことなんて何年も前の話だよな。
あ、モコにも言っとかないとな。
夕方十七時五十五分となり駅前に到着したが一向に桜の姿は現れない。
桜には五分前行動という言葉は辞書にないのだろうか?
十八時になっても来る気配はない。
桜が到着したのは十分遅れの十八時十分だった。
「ゴメン。服を選んでいたりしたら遅れちゃった」
いや〜気合入りすぎなの?ある意味。
なぜ山へ行って修行なのにフリフリのミニスカートなの?
冬ですよ?
デートですかこれ?
そんな感じの服装なのだ。
モコが何かに気づいたようだ。
「桜さん。タイツは履かないのですかです。」
「ん?タイツ?あ、忘れてた。だから寒かったのね」
いやいや、気づけよ。
とツッコミたいところだが今は気持ちを抑えた。
桜はカバンの中を漁り始めた。
「あ、持って来るのも忘れてた」
本当に何しに来たんだ。
「何時からの電車に乗るんだ?」
「十八時四十五分の電車だよ」
時間にはまだまだ余裕がある。
「それじゃぁタイツ買いに行こうです」
女子の買い物って長くて退屈だから行きたくないよな。
「行ってらっしゃい。俺はあそこのベンチで待って―――――」
「タイちゃんも行くに決まってんじゃん」
寒いし体力を考えてもここで待っていたほうが良いと思うのだが。
お断りしないといけないと思っていたのだが・・・・・
「え。冗談はかお・・・・・」
「なんか言った?」
とてつもなく睨まれた。
断る以前に怒らせてしまったらしい。
ここは従うしか・・・・・ないな。
「わかったよ。着いてくよ」
「分かればよろしい」
俺は新しい知識を手に入れた。
女は怖いという知識をだ。
「プププ」
モコがいきなり笑い始めた。
「どうしたモコ。何か面白かったか?」
「二人がお似合いだなあって思っただけですです」
桜は赤面しながら
「そ、そんな事ないよ。タイちゃんが私となんて・・・・・」
そこまでは俺も聞き取れたがそのあとはモゴモゴ喋っていたので聞き取れなかった。
あえて聞くことではなさそうなので流しておいた。
しかし、少しからかいたかったので、
「お。じゃあ付き合っちゃう?」
と言ってみた。
バーカとか返ってくるのかと思ったが以外にも赤面して逃げていくようにタイツを買いに行った。
その光景をみてモコはまた笑っている。
「モコ早く~。電車に乗れないぞ~」
照れ隠しなのかただただ寒いのか分からないが、スカートの裾を抑えながら叫んでいる。
「はーい。今行くです」
その時俺はとてつもない視線を感じて後ろを振り向いた。
しかし誰も俺たちを見ていない。
勘違いかもしれないと思いモコの後を追いかけた。
タイツは無事に買えて時刻は十八時四十分。
電車にはぎりぎり間に合いそうだ。
「焦った。焦った。タイツ買うのにこんなにも時間がかかるとは」
なぜ一つの買い物でこんなにも時間がかかるのか俺には不思議でたまらない。
「女の子なんだからしょうがないでしょ。モコも何とか言ってよね」
モコは俺に耳打ちをしてきた。
「ごにょごにょごにょ」
少し赤面してしまったが、何とか理性を保つことが出来そうだ。
「ね~。何て言ったの?」
としつこく聞いて来るのでモコは桜に耳打ちした。
「うんにゅ~」
どっからそんな声が出てるんだ。
桜も赤面した。
ただの赤面ではないのだろう。
桜は噴火しているくらい赤くなった。
「そういえばどこの山に行くんだ?」
「あれ?言ってなかったっけ?行けばわかるよ」
真っ赤な顔のままだが心は落ち着かせられたようだ。
とうとうお待ちかねの電車が来た。
わけのわからない山に登るのは素足で虫を潰してしまうくらい嫌だ。
しかし、桜が言うのを楽しみにしているので我慢して聞かないことにした。
電車の旅は意外と短く二時間で目的地付近までやってきた。
ここから目的地まではバスで移動らしい。
ただいまの時刻は二十一時にもうそろそろなるところだ。
バスから降りたらそこは田舎だった。
田舎なので街頭も少ない。
暗くて少し不気味だ。
こんな時間から山登りをするのはおかしいことだと今更だが思ってしまった。
しかし、ここでテントを組み立てることは常識的にいけないのでしぶしぶ歩くことにした。
「まだつかないのかよ」
「あともう少しだから」
「頑張るです」
初めはこんな会話が何回もあったが次第に口数が減っていった。
かれこれ三十分は経っているのだろう。
そのときだった。
「あぢぃぃぃぃぃいいいい」
「どうしたです?」
「うるさいわね。近所迷惑よ」
モコからもらって持っている赤い石が燃え上がった。
そして、石にヒビが入ってしまった。
「え?どういう事なの?」
誰もが疑問に思った。
モコでさえ知らない出来事らしい。
すぐに炎は消え、ヒビも浅いヒビが数か所あるぐらいだ。
いきなり燃え上がりヒビが入っただけで終わってよかった。
もしも、割れてしまっていたら大変なことになっていただろう。
そうならないためにもとモコが慎重に赤い石を調べてくれている。
「モコ。石はどうだ?」
「今のところは問題なさそうです」
「良かった」
「よーし。そうとわかれば出発よ」
歩いて五分。
現在の時刻は二十二時近い時刻です。
やっと目的地の山に着いた。
「目的地はここだよ。桜山だよ」
「「おぉ~?」」
桜はドヤ顔しながら紹介したのだが・・・・
「ここは山ではなくて丘ですよです」
桜は道を間違えたのかとスマートフォンで調べているが間違っていないらしい。
間違っていたのは桜のほうだった。
というか、こんな丘のふもとでインターネットが使えるなんて最近の技術をなめたらあかんと改めて実感したのだった。
「あ、あれ?本当だ。ごめん。山じゃなくて丘だった」
事前にきちんと調べとけ。
「改めまして桜丘です」
「また何でこんな遠い場所に?」
「私が桜だからだよ」
「はいはい」
あきれてしまった。
丘なら家の近くにいっぱいあるだろう。
こんな遠い所に来なくたって。
「え、なにその反応は」
桜を無視し準備を始めようとする。
「よし。今日の所は遅いしテントをあそこで作って寝るか」
あそことは晴れていたら見通しのよさそうな場所だ。
しかも近くには川も流れている。
「いい場所ですです。私ここ気に入ったですです」
「私も。私も」
その言葉だけ残して二人は川へ水汲みに行ってしまった。
要するに《一人でテントよろしくね》と言っているのだろう。
アストロドーム型のテントだから立てやすいが少しくらいは手伝ってくれとも・・・・・。
弱音を吐いている時間があるならやっていたほうが身のためだと感じた。
始めて十五分ようやく完成した。
「ほかのものは明日出すとして二人が来たら寝るかな」
神は思い通りにはしてくれなかった。
五分、十分と待っても全く二人が帰ってこないのだ。
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