第11話

現れた場所は市内にある海水浴場だ。

この冬の時期には誰もいない。

寂しい砂浜に二体の姿が見えた。

「弱虫なお前らなら来ないのかと思っていたわ」

「来たことを褒めてやろう。しかし、ここがお前の墓場だ」

お互い今日で決着をつけようと考えていた。

「俺らには守らなくてはならないものがある」

「それを守りきるまでは私たちは何度も立ち上がる」

「「そして勝つ」」

正義のヒーローみたいに言ってみた。

桜が乗ってくれたのはびっくりした。

しかし、カッコよく決まったので良かった。

「何度やってもこの水の場で結果は変わらん」

その通りかもしれない。

しかし、俺らがここでくじけたら、この世の中は俺らのせいで終わってしまう。

そんなのは嫌だ。

だからこそ戦うんだ。

「やって見なきゃ未来は分からない。行くぞ桜」

「アーカイブの記録を頼り風の精霊よ我に力を解き放て! 緑龍サイクロンドラゴン よ我とともに戦え!」

「アーカイブの記録を頼り風の精霊よ我に力を解き放て!忍者よ我に力を」

今まで以上に緑色の光が輝いて見える。

今までとの魂の込め方が違うからなのか?

ギガントスは一瞬で桜の背後に回った。

新幹線よりも、インターネットよりも早く動いたのだろう。

断然、前回の教室で戦った時の桜よりも早かった。

マラソンの成果がスタミナだけではなくここでも出たんだね。

移動は早かったのだが攻撃へ移るのは坂道をブレーキなしで下る自転車よりも遅かった。

ギガントスはポケットに閉まっていた右手を取り出し桜の頭上で振り下ろそうとした。

太陽は必死にその手を切断した。

「無駄なことを。こちらも行くぞ」

手を上にあげ水の球を天に向かって打つ。

そして、手を下ろし水の球が俺たちに降ってくる。

ギガントスは右手を切られたため球の量は以前よりか少ない。

しかし、避けるには避けきれない量であることには違いがない。

だが、俺たちは桜の魔法など今回はつかわなかった。

魔法などは使いすぎると後で使えなくなるし、倒れても何度でも立ち上がると決めたから。

太陽は敵に向かって走り出す。

桜は水の球がまだまだ降ってくるので手裏剣を使って太陽を援護する。

その隙に太陽は敵のもとにたどり着いた。

しかし、砂浜だったのでブレーキが利かず太陽は転んでしまった。

そして踏まれた。

「ふん。無様な。あんなに威勢の良かった奴が今じゃ俺たちの下で踏まれているなんて」

少しムカつく。

はたから見れば不良に絡まれている少年のような感じで二体から踏まれている。

しかしこれは・・・・・

「なんじゃこれは」

太陽は忍者の桜から借りたまきびしをまくためにばれないように転んだのと、

「ハハハハハ。馬鹿だなお前ら。今だ桜。これが俺らの考えて考え抜いた作戦だ」

これは作戦なのだから。

俺は今にも泣きそうに痛いのだが・・・・・。

太陽が敵に踏まれている間、桜は一つの手裏剣をどんどん大きくさせていた。

今では教室一つ分くらいの大きさまで来ている。

桜は脇腹を抑えながら大きくしている。

何かあったのだろうか。

「忍者の里よ封印を解き放て。“ TREASURE OF THE VILLAGE」

手裏剣はもう一段階大きくなっていた。

「うりゃー」

桜は巨大な手裏剣を投げた。

その反動でなのか足場が悪かったからなのか桜は砂浜に埋まってしまった。

そして、太陽は・・・・・。

敵と一緒に攻撃を受けてしまった。

ギガンレスは倒され際に

「初めて会った時の傷が痛むのか。ふん。バカめが」

と言っていたのが気になる。

ギガントスとギガンレス、そして太陽はかるい瀕死状態となった。

今なら封印をして新たな力を手に入れることが出来る。

しかし、桜は頭まで埋まっているし、太陽は瀕死状態。

誰も封印出来ない。

封印をしなくてはまたどこかで暴れてしまう。

しかし、今二体は封印されていった。

それは夏美をおいて二人を追いかけてきたモコだった。

「私に出来るのはこのくらいです」

モコは封印した石を太陽の手の中に入れた。

そして、桜を掘り起こして夏美のもとへと走り去って行ってしまった。


二人がゴールしたのは下校時刻ギリギリで先生方にこっぴどく怒られてしまった。

しかし、二人は清々しい気分であった。

太陽の手の中には青く光る新たな石。

あの二体を倒せたのだと知り、有頂天となっていた。

職員室からの帰り道

「あの二体を俺たちは倒したんだよな」

「そうだね。勝ったんだね。でも、多分まだまだ終わらないよ」

「早く平和な世にするためにも頑張ろうな」

「うん」

二人は改めて決意したのであった。

「あ、あとさあ。俺がギカントス戦っているときにさ、友達と遊んでたって言ったじゃん」

「うん。言ったよ」

「あれって嘘だろ?」

「嘘じゃないよ」

桜は平然としていた。

そのせいで太陽は少し自信を無くしていた。

「本当はギガンレスと戦ってたんだろ?それでギガンレスを倒したと思って、他に反応があった学校へと向かったら俺らがいて、同じ敵と戦っていたっていうのがオチだろ?」

桜はすべてばれたと目を丸くして答えた。

「あれ?わかっちゃった?正解。いとも簡単にあてられると困るなぁ~。ギガンレスと戦って勝ったと思ったのにタイちゃんと戦ってるし、私が戦ってる前より反応があったから私は勘違いかしてたのかなって思ったの。二体いたのを確認して違かったんだって気づいたんだけどね」

太陽は自分の推理が当たっていてニコニコしている。

「気づいたなら言ってくれれば良かったのに」

「絶対信じないでしょ?」

「信じるよ。あの場面ならなおさらね。桜は絶対に嘘つかないでしょ?」

「女の武器として使うかもね♡」

小悪魔め。

ウインクをしながらギュっと握った手を頭の上にのせ「てへ☆」って。

太陽はドキッとしてしまっていた。


教室へと入るとモコと夏美が待っていてくれた。

ん?待っていたのか?

「おつかれ~」

「サンキューなのか?」

「なんか違う気もするよね」

「ってか、二人も怒られてたんだな」

「そ、そんなことないよねー」

夏美は動揺を隠せていない。

「私は怒られないよです」

嘘だとすぐに見破れた。

なぜなら

「二人とも口のまわりに 餡子あんこが付いているぞ。それは何かなあ?」

「「!!」」

「女の子なんだからもっと上品に食べなさい」

ごもっともであるが突っ込むところはそこなのかとツッコミたい。

二人は寄り道をしてそのことがばれたんだな多分。

「てか二人とも。食べるなら私にも言いなさいよ〜」

地団駄を踏みながら言う。

俺も桜に一言お前が上品にとか言うなと言いたい。

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