第8話
そして今はプールから遠い校舎裏まで走ってきた。
「大丈夫か桜?」
「大丈夫。大丈夫。心配しすぎ。寝不足なだけだから」
昨日の戦い?と教室での戦いのダメージ大きかったのだろう。
しかし、昨日桜は戦ってないはずなのだが。
「教室での戦いで力いっぱい出してたもんな。大変だよな。一緒にいてやるからゆっくり休め」
桜は太陽に甘えて太陽の膝の上で深い眠りへと着いた。
実際太陽も睡魔に襲われていたが桜のためにもとたえて桜か起きるのをまった。
二人が逃げてしまい勝ち誇った二体は満足気にどこかへとかえってしまった。
太陽はレーダーでそのことを知りほっとため息をついた。
太陽は男だ。
そして今女の子が自分の膝の上で寝ている状況だ。
思春期の男ならこの状況で誰もが思うだろう。
襲ってみたいと。
「太陽? どこー?」
「桜さーん。どこですかです?」
二人が探しに来てくれたらしい。
太陽は少し複雑な気持であった。
しかし、襲っていたら後で痛い目に合っていたと思い感謝もしている。
夏美たちは俺たちの背後まで来ていた。
「あ、いたいた。あれ、二人でなにやって・・・・・んグググ」
太陽は夏美の口を手で隠した。
すると夏美は赤面したが桜の事を見つけすぐに冷静さを取り戻した。
「寝不足で倒れそうだったから寝かしてるんだから静かにしろ」
モコはニコニコ笑っているが夏美は少しムッとした顔をしていた。
地震発生後何かパニックが起こるかと思っていたが地震が止まってから十分もたたずに地震発生前のように楽しい文化祭が続いていた。
桜はあれからまもなくして起きた。
「おはよう。桜」
桜は眠気で重い
瞼を開けながら太陽がいることを確認し、そのまま太陽に抱きついた。
夏美とモコは慌てて太陽から剥がそうと頑張るがあまりの桜の強さに力およばずであった。
それから直ぐに桜は太陽から離れ残りの文化祭を楽しんだ。
ほっとくは食べられなかったもののみんなが食べたいという世界一辛いとカレーや世界一塩辛い塩焼きそばなどを食べた。
なぜみんな世界一辛いとなのるものを食べたくなるのか辛いものが苦手な俺にはわからなかったが頑張って全てたいらげた。
自分たちのクラスのお化け屋敷にも入った。
仕掛けは知っているもの桜は本気で怖がっていた。
桜はお化け屋敷から出ると失神しかけていた。
その後このお化け屋敷は女の子が絶叫し、失神するくらい怖いのかと噂が広がりたちまちお化け屋敷に行列ができた。
今では三十分待ってでも入ってよかったと言ってくれたお客さんもいた。
三十分待ちとはどの位の行列なのかとまたクラスに戻ってみた。
すると俺たち以外のクラスメイトはみんな休憩時間なのにもかかわらず仕事をしていた。
俺たちも慌てて仕事を探し働いた。
お化け屋敷には三ケタ後半いや、四ケタくらいのお客さんが来てくれた。
県立いのり中学校の文化祭は全て有料だ。
文化祭で我がクラスは一回五十円なので、五万円近く稼いだ。
そのお金は半分学校に持っていかれるが、半分(二万五千円)は生徒のものになる。
だから、ざっと・・・・・
「た、タイちゃん。ぶ、文化祭でこんなに稼いだよ」
「太陽さん。この金額は普通なのですかです」
「いやいや、モコこの金額は中学生の文化祭では異常だから。だよね?太陽」
みんな驚いてしまっている。
うちのクラスは三十人クラスだから、三十で割ってとしても・・・・・えっ?
中学生の文化祭で千六百六十六円近くもらえるのは異常なのだ。
「高校生の文化祭だと、一回百円くらいなのかぁ?」
「だとしたら、同じ計算をすると・・・・・」
「うん万円は超えるよね・・・・・」
みんなの目がお金の形になってきた気がする。
しかし、装飾に凝ってしまったうちのクラスは予算オーバーした値段を引かれて一人一人の手元に来た金額は八百円になった。
それでも中学生が文化祭でもらえる額にしてはもらいすぎだと思う。
陽のあたる時間の文化祭は終わり、月の光が照らす後夜祭が始まった。
他の中学、高校はグランドに集まり文化祭で出た廃棄物などを燃やしてその火の周りを踊るなどする学校もあるらしいがいのり中は違う。
いのり中の後夜祭は全校生徒体育館に集まって行う。
体育館に集まり、文化祭中に生徒会の皆さんが撮った写真をその日のうちにスライドショーみたいなビデオに仕上げそれを全員で見るというものだ。
昨年は最後の方は桜のパラパラ写真のような終わり方で大半の女子生徒から批判をくらっていたのを覚えている。
今年はどのようになっているか楽しみなのと、俺たちの変身した姿が写ってないか心配である。
「あれってうちのクラスのお化け屋敷だよね?あんなに人が並んでたんだね」
「あれ智乃ちゃんじゃない?」
「あれわたし達だね」
などと色々な声が聞こえる。
みんな楽しそうだ。
俺はこういう雰囲気が好きだ。
みんなで同じ事で盛り上がれる行事は本当に好きだ。
来年もずっとこういう雰囲気があっていけばいいと思う。
その時だった。
一枚の写真の右上の方に水の球が写っていた。
「桜、モコ。今の写真見たよな?」
「うん」
「見たです」
俺と桜とモコは焦った。
俺たちだけではなく他の生徒まで水の球に気づいてしまった。
そのせいで文化祭楽しかったねのざわめきから何あの水の球と他のざわめきが生まれてしまった。
このままスライドショーが続き他の写真にも水の球、あるいは変身した姿の俺たちが移っていたら学校中・・・いや、市内中・・・県内中、国際的問題にならないか心配だ。
国際的問題と言えば国際的な問題なのだが・・・・・。
ことが大きくなり被害がこれ以上増えてしまうかと思うと俺たちだけで何とかした方が良いと思ってしまう。
しかし、いのり中は近くに海があるため海で何かをしていたのだろうという声が体育館の至る所で聞こえてきた。
「ひとまず安心だね」
「海で何もなかったなんてことが知れたらどうなっちまうか心配だけどな」
「でも、今ここでわーわー騒がれるよりかは良いですよです」
しかし、三人の冷や汗は止まらなかった。
他にも他の写真にも水の球、あるいは変身した姿の俺たちが移っていないか心配だからである。
そんなことを知らない夏美はクラスメイトと楽しく談話をしていた。
太陽たちはこの会話についてこられなくて一人寂しくうずくまってしまったのかと思っていた。
まあ後で何か聞かれるかもしれないがその時はその時だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます