第15話

そしてついにダンスをクラスのダンスを踊る友達に教える日がやってきた。

前日にひーちゃんに見てもらって二人とも一発合格をもらった。

今私たちはみんなに練習の成果を披露している。

演技が終わると拍手がもらえた。

とっても気持ちが良くてどんな人でも教えるぞ。

なんて意気込んだのだが・・・・。

運動神経がみんなよく、Aメロの振り付けは簡単におぼえてしまった。

しいて言うならもうちょっとふわふわと柔らかく踊れれば文句なくキレイなダンスになると思う。

二人は今、教えるのを心から楽しんでいる。

教える楽しさを学んだ二人は将来教師になるのかもしれないと春翔はるともひーちゃんもその時は思っていた。

そんなことも知らない緑色のヴェアハノンは刻々と小学校に近づいてきていた。


次の日の放課後。

今日はダンスの練習も休みなので久しぶりに放課後の宮殿に行こうと言っていたのだが・・・・・・

どこかのクラスからはまた「らめ~」などといかがわしい声がした。

声がした場所に向かうとそこには何やら変な人にペロペロ舐められている女子生徒がいた。

多分下級生なのだろう。

その横には緑色でショートヘアの髪型で帽子をかぶり、まだ春先なのに半袖半ズボンの少女が立っていた。

「自分からやってくるとはお馬鹿な奴だす」

下級生の女の子を逃がし私たちを、睨んだ。

「あなたは誰なんですか」

少女は帽子を右手で取り左手を後ろにやりそのまま一礼をした。

少女の頭には十五センチメートルくらいの長い角があった。

「申し遅れてすみません。私はあなた方から出る体液を吸い尽くす美少女ナンバーワンの久野一くのいちです。またの名を・・・・・・」

そういうと久野一はヴェアハノンに変身した。

「この前のやつじゃん」

「私たちも行くよ!」

「アーカイブの記録を頼りマグマよ我に力を」

「アーカイブの記録を頼り槍よ我に力を」

「アーカイブの記録を頼り銃よ我に力を」

三人は変身し、さくらはヴェアハノンに突撃した。

「え、あ、ちょっと待つだす。な、名をまだ言ってないだすって、うわぁぁぁ!!」

そのままヴェアハノンは名も名乗らず、煙玉を使いどこかへ消えてしまった。

「あれ?逃げちゃったね」

三人は学校中を探したがどこにもいなかった。


《 放課後の宮殿。 ⅬⅤ.2 》


ヴェアハノンが私たちから逃げた日から数日がたった。

その後も毎日学校の他に町内の見回りをしたがどこにも現れなかった。

そして今日は雲一つない綺麗な青空。

少し冷たい風が吹いているが運動した後には気持ちの良い風になっているだろう。

運動会にはぴったりの天気だ。


昨日、学校帰りに放課後の宮殿には行かず三人で近くのカフェに行き二つの作戦会議をした。

一つは今後の緑色のヴェアハノンについて。

もう一つは今日の運動会についてだ。

みんなダンスについては完ぺきだと思う。

後はお父さんやお母さんたちの前で緊張しすぎて固くならないかが心配なだけだ。

もしも固くなってしまった時はハルくんがみんなの前で一発芸をしてくれるみたいだ。

問題はハルくんが出場する大玉転がしだ。

運が悪く学年の中で毎回上位を争うほど早い四人と当たってしまった。

昨年もその四人とあたってとてもハルくんは遅く見えてしまっていた。

どうにかしてハルくんに一位を取ってもらいたくて作戦会議を開いた。

本当なら放課後の宮殿で作戦会議を私はしたかったがカプチーノやココアなどを飲みながら作戦会議をしたいとサクちゃんが珍しく意見を主張したのでカフェで作戦会議をすることにした。

「僕のためにありがと」

「どういたしまして。困っている人を助けるのが勇者の役割であって友達として当たり前でしょ」

「ありがとう」

二人の会話が耳にも届かないくらい私は店員さんに見とれていた。

高校生くらいの店員さん二人と中学生くらいの店員さんがいて私の方を見て手を振ってくれた。

その瞬間私の心にはハルくんがいるにもかかわらず私の心は打ち抜かれた。

そして高校生くらいの店員さんは「ご注文はお決まりですか?」と聞きに来てくれた。

私は慌ててカプチーノを頼んだ。ハルくんはキリマンジャロを、サクちゃんはココアを頼んだ。

運んできてくれた明るく朗らかな店員さんは「私の妹と弟たちよ。どうぞ」と言って渡してくれたがここは姉カフェなのだろうか。

その店員さんも他の店員さんもお客さんが来るまで私たちの作戦会議に参加してくれた。

「要するに大玉転がしで一位になるにはどうすればいいのかってことだな?」

「はい。そうなんです」

春翔は申し訳なさそうにキリマンジャロを飲む。

「悩む気持ちはわかります。私も身長が伸びないか悩んでいますし。そんなときにはこの人に聞くと良いかもしれません」

中学生くらいの店員は先ほどから私たちの事を妹と呼ぶクリーム色の髪の店員さんを指した。

「え、本当。頼りにしてくれてありがとう。もしかして私って頼られるお姉さんなのかなぁ」

小春たち三人は本当にこの人に聞いて間違いがないのかと思ってしまった。

「とりあえずみんなで一個ずつ案を出し合いましょう」

サクちゃんの提案にみんな賛成した。

なら私から行くぞともう一人の高校生くらいの店員が案を出してくれた。

「私なら他の四人に人には見えないひもを結び付けて・・・・・・」

もう一人の高校生くらいの店員さんが本気で言っているかと思うと怖い。

「反則行為はハルくんに似合わないです」

さくらの意見に小春もうなずく。

「もう大玉に細工しちゃうとか」

「さくらちゃんも反則行為だよ」

自分で反則行為はハルくんに似合わないですと言っていたのにとその場にいた誰もが思ってだろう。

その時中学生くらいの店員さんの近くから「矛盾してるのぉ」と甲高い声がした。

腹話術とか言っているがあまりよくわからない。

小春も太陽も中学生くらいの店員さんも案を出したが実施できそうなものは一つもなかった。

しかし、最後に高校生くらいで私たちの事を妹と呼ぶクリーム色の髪で明るく朗らかな店員さんが言った言葉で六人は納得し作戦会議は終わった。

その後、中学生くらいの店員さんにコーヒーの占いを春翔がしてもらい明日は良いことがあると言われた。


今年の運動会のプログラムで私たちが出るのは午前のプログラでハルくんの大玉転があり、、午後のプログラムでダンスと組体操が入っている。

「君たちが小春ちゃんと春翔くんとさくらちゃん?」

突然知らない二人の高校生くらいのお姉さんに話しかけられた。

「はい。そうですけど・・・・・・。どちら様ですか?」

知らない人に話しかけられて警戒心が強くなる春翔とかわいいお姉さんたちだと何されても心を許してしまいそうな二人。

「良かったぁ。違かったらどうしようかと思ったよ」

「ほら私の言った通りでしょ」

高校生くらいのお姉さんはドヤ顔をしながら同じく高校生くらいなのだか少し大人っぽいお姉さんを見ている。

「あ、あの。どちら様で僕たちに何の用ですか?」

「ゴメンね。昨日この近くのカフェに行ったでしょ? そこの店員さんのお友達です」

「高校生くらいで俺たちの事を妹や弟と呼ぶクリーム色の髪で明るく朗らかな店員さんのお友達ですか?」

あ、わかる気がする。と思ったのだろうかお姉さんたちは笑っている。

「うん。そのお姉さんから春翔くんが元気なさそうだったら元気づけてあげてって頼まれてきました。多分そのお姉さんももうそろそろ・・・・・・来ると思うよ」

あの高校生くらいで俺たちの事を妹や弟と呼ぶクリーム色の髪で明るく朗らかな店員さんはそこまでしてくれたんだ。

後でお礼をしに行かなきゃ。

「わざわざ来てくれてありがとうございます。もお大丈夫です。お姉さんたちが来てくれたから頑張れます」


《リアルと妄想》

 

 「終わり?」

 はい。終わりです。と、答えると不満な顔をしながら|美梨(みり)さんは感想を言ってくれる。

 「さっきの卓球部の物語よりかは断然面白いし私は個人的に好きな作品です。売れるかは先生が書く原稿次第ですが、先生が書いてくださったこの三つの作品はどれもキャラ立ちがしてないです。小説家なんですか? 本当はラノベが好きな中高生が趣味程度に書いた作品なんじゃないんですか? って、言いたくなるほどのキャラしかいません。多分次もその次も同じだとは思いますが次回までに放課後の宮殿。とⅬⅤ.2は立たせてあげてください。本当に出来ないのであれば何度も言いますが引退してください」

 美梨さんが今まで担当していた作家さんはこの毒舌が嫌で担当を変えてと上に頼んだらしいが僕は逆にこの毒舌があるからこそ頑張れていると思う。

 別に僕がMなんかじゃないし本当ならそういうのは好きじゃない。

 でも、もお言われたくないから次頑張れるみたいな感じだ。

 こんな話をしてもしょうがないですよね・・・・・・。すみません。

 心の中で一人芝居をしながら優は次の作品である『異世界からの救いの手』を探す。

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