ある小説家のいいわけ日誌。

こっち見んじゃねーよ

鏡の前でメンチ切ったその顔は寝起きそのもの。

なんともいえない顔と３分間にらめっこ。

笑ったら負けとかいうルールが確かあった気がするけれど、

大概は互いに飽きて試合放棄。

で、試合終了。

相変わらずひどい顔をしている。

＊

なんなら、新しい顔がほしい。

バタバタ走る人が、新しい顔よ！つって無償提供してくれるなら、

正義の味方のバイトでも、なんでもやるのに。

丁度わたし、あんぱん好きだし。

カラダの半分はあんぱんで出来てるってくらい、あんぱん好きだし。

てか、何気にイケメンだよね、あの世界の住人。

ジェイムスおじさんの整形（成型？）技術がプロなんだよね、きっと。

わたしも整形手術依頼しようかしら。

顔といえば、

あの犬って似てませんか？

かびのやつに。

顔似てるし、しゃべれないし。

よく考えると発酵しているんですよね、あの犬。

まさか、裏切り者？

あるいは、あの顔立ちは発酵ヅラってことなのかしら？

あと、

個人的には切り身じゃない食パンの人の姿が気にかかっている。

金太郎飴みたいになっているのか、はたまた馬面の前長バージョンなのか。

だれか、回答求む。

あーあ、

あの世界の住人になれたらなあ。

整形どころか、あのカバを差し置いてあんぱん食べ放題なのに！

あれ？

もしかして、

あの世界って、働く必要なくね？

べ、別に、わたしが働きたくないとか、そういうことじゃなくてだね！

働く必然性の問題といいますか、社会構造の仕組みといいますか、（しどろもどろ）

わたし、気になります！

ってだけです、すみません。

冗談は置いといて。

それでも働くんですよね、あの世界の住人は。

（食べ物とかも働いているけれど）

なぜ、ジェイムスおじさんは馬車馬のように働いているんだろうね。

正義の味方も、以下同文。

悪が存在しているから？

ふむ、一理ある。

まさか、

彼彼女らが絶対悪であり続けることで、

正義の味方、引いてはジェイムスおじさんが潤っている？

実は裏で奴らは繋がっている？

社会構造の闇？

正義の味方も馬鹿じゃないから、パンチ食らわすその手にファブリーズくらいの除菌加工は施しているかもしれないけれど、相手がばい菌がだからといってオートクレーブやUV照射で容赦なく完全滅菌したりしないのは、そういうことかもしれない。

社会を動かすってそういうことなのかもしれないね。

あ、でも、

少し語弊があるとするならば、

それは社会の闇ではないのかもしれない。

むしろ、自然の摂理かも。

世界はバランスで出来ている。

一方がジェノサイドしても、パンデミックな反動受けるかもしれないし。

ほんとうの正義の味方は、丁度いい正義を知っているのかもしれないね。

あと、あの正義の味方は、悪への世直しだけじゃなくだけじゃなく、社会制度のしくみからうまれてくる貧困問題にも着手しているな。

やっぱりデキる男は違うね。

やっぱりバイトの分際じゃ、正義の味方になれないか。

バターの人に履歴書出すのは、やっぱりやめとこ。

職歴なし、だし。

書くとしても、自称小説家、だし。

＊

なんて考えてたら、にらめっこ、どっちも負けになった。

なんだ、結局、今日も引き分けじゃないか。

鏡のなかの自分を見て、この顔も悪くないような気がした。