#002 目覚めたら森の中

草木と土の匂いがして、目が覚めたら森の中だった。


「えー、あー、んー?」


前世の記憶はほぼないけれど、僕の地元はコンクリートジャングルだったはずだ。


そして思い出したのは、車に跳ねられ、神様が現れ、異世界転生のテンプレートなコンビネーションに僕が嵌ったという事実。


前世の年齢はわからないけれど、今は14歳。


成人まで、あと一年ということで、幼女神が設定した年齢だ。



『ピコン』


「メニュー」




神様は言っていた。


「たまーにメッセ送るから。メニューから見るんじゃぞ」


この言い方。


神様の見た目が幼女じゃなかったら、かなりムカついたと思う。




【メッセージ】■□■□■□■□■□■□■□


無事着いたかの。


まぁさっきも言ったが、前世よりはラクに生きれるから、がんばるのじゃ。


森は危険がいっぱいなので、さっさと平原に向かうのじゃ。


平原は北じゃ。


ではの。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




いやいや。


危ないならそこに落とすなと言いたい。


「とにかく北へ。北……へ……」


北がどっちかわからなかった。



『ピコン』




【メッセージ】■□■□■□■□■□■□■□


インベントリにマップ機能付けるの忘れとったのじゃ。


うん、まぁ苦しゅうない。



PS

迷子になったときはなるべくその場から動かん方がいいのじゃ。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




そりゃ、お前は苦しゅうないだろう。


苦しいのは僕だよ。



『ピコン』



【メッセージ】■□■□■□■□■□■□■□


そんなお主に朗報じゃ。


神から武器を授けるパターンは、容量の都合でちょっと厳しかった。


そこで、ワシは機転を効かせたのじゃ。


足元を見てみよ。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




すごい。


僕は感動し、その瞬間に幼女神を見直した。


確かに最初から神様から武器を授かるパターンだと、いきなり無双しちゃうもんな。


最初は店売りの数打物で地味に戦って、稼げるようになったら少しずついい武器になっていく。


そういう展開もロマンだよな。


僕は足元を探す。


んー?何にもないけど


しいて言えば、ちょっといい感じの木の棒が……



『ピコン』




【メッセージ】■□■□■□■□■□■□■□


それじゃよ、それ。


なんかいい感じの棒が落ちとるじゃろ。


ずっと目をつけておっての!


それがあったんで、お主を森の中に落としたんじゃよ。


いやーようやく気になってたのが解消されたわ。


杖によし、つっかえ棒によしの優れモノじゃ。


あ、でもそれで魔物倒すとか無理じゃから。


ポッキリいっちゃうからの(笑)


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「(怒)」


ボキぃぃぃ!


なんかちょっといい感じの棒はポッキリいった。


武器は無くなった。


いや、最初から無かったんだ。


方角も現在地もわからない。


僕は途方に暮れる。




「おい、そこのお前。なにしてる?」


振り向いた先に居たのはひげのおっさんだった。

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