circle

@tzone324

第1話

 大学の講義は自主的な出席となる。

 自己責任、この一言で済んでしまうのが大学というものだ。そんな事を考えながら僕は図書館で先輩の本を返しに来ていた。

 (あぁ~、この後どうしようかなぁ……他の部員たちは真面目に講義に出てるだろうし、かといってもう始まってるから出席する気も起きない)

 図書館の返却口にスッと本を入れ、返却自体は終えたのだがこのまま帰ってはただの暇人になるので後50分ほどは少なくとも時間を潰す手段を考えなければならない。

 いくら考えても代替案が浮かばないので、仕方なく図書館で何か本を借りるかと考えながら歩いていると二人の男女がいた。まぁ、普通の光景だろうとそのまま行こうとしたら不意に女性の強く拒絶する声が聞こえた。


「……てください!!」


 語彙は強く、おそらく何かされているのだろう。何かを考える前に、僕は歩を進めていた。


「ごめんね、待ってた?さぁ、行こうか」

「えっ……あ、は、はい……」


 その勢いのまま、彼女を一階にある出口から連れ出し、そのまま構内のカフェに連れ出して席をとる。


「何か飲む?」


 そう聞くと、彼女はアイスコーヒーと言ってきたのでそのまま注文をして持ってきた。そのまま持ってくると、彼女は砂糖もと言ってくるので砂糖も道すがらに拾う。


「……で?なんであんな所にいたの?」


 目の前に座る彼女を改めてまじまじと見やる。ふわふわとさせた黒髪を短く整え、可愛さと活発さを兼ね備えた感じの少女だった。その彼女は渋々といった様子で教授から指定の本を読むように薦められたのと呟く。


「なるほど、で、あんな奴に捕まったと……」


 そういうこと、と彼女は頷くとちょこんとコーヒーのカップに口をつける。小動物のようで可愛らしい様子ではあった。


「ちなみに、僕はそんな感じの人ではないのでご安心を」


 ホントに…?と胡散臭いなにかを見るような目で僕を見やる。いわゆる、ジト目というヤツだろう。


「ホントホント、なんなら名乗ってもいいくらい」


 (あぁ、いい時間のつぶし方になるかもな)

 そんな事を考えながら、彼女へと自身を紹介した。

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