第二部 今日の綺想曲

前書き

 美奈皇帝の政治については、彼女が現に政治権力を行使していた時代からその特異性が着目され、神陽国内外を問わず数多くの研究がなされてきた。その内実は独裁政治から自由民主主義への途を切り開いたという進歩的要素と、強力な君主権力により「上からの改革」を行った保守的要素が錯綜していたといえよう。美奈帝政を「自己矛盾を常に孕んだ政権」と論評する学者がいたが、私は美奈皇帝本人の中にあった自己矛盾が大きく作用していたように思われる。


 「美奈皇帝栄光の時代」は彼女の理想が具現化された時代である。彼女が見た理想郷とは一体なんだったのであろうか――。

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