【う】梅

 梅はバラ科 サクラ属の植物で、500種以上の品種があるとされています。そんなに多かったんですね。

 別名を『好文木こうぶんぼく』『春告草はるつげぐさ』『匂草においぐさ』などといいます。

 奈良時代以前は『花』といえば梅を指すことが多かったそうですが、のちに桜にとってかわられましたね。

 ちなみに、台湾では梅が国花なのだそうです。


 梅といえば真っ先に思い出すのは『東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな』という短歌です。出典は拾遺集。詠んだのは菅原道真でした。


 菅原道真は身分が低いながらも学問に秀でていたため、右大臣まで出世しましたが、それを左大臣の藤原時平に妬まれ、あらぬ罪で大宰府に左遷させられます。

そのときに京都の自宅である紅梅殿の梅を思い、詠んだそうです。

 

 この梅は主を慕って太宰府へ飛んでいったという『飛び梅』伝説も残っています。そのせいでしょうか、梅の花言葉には『忠実』『忠義』『忍耐』『約束を守る』というものがあります。『気品』『上品』『美と長寿』あたりは梅の美しさを考えれば、さすがというべきでしょうか。


 学生時代、京都に1週間ほど滞在したことがあるのですが、桜の時期を逃して残念がっていました。

 ところが北野天満宮を訪れたとき、梅苑の美しさに感動しました。このとき初めて、私は梅の魅力を知ったのです。少し丸みを帯びたシルエットがなんともいえず愛らしいものでした。

 まるで梅を愛した道真が「桜もいいけれど梅も素晴らしいでしょう」と教えてくれたようでしたね。

 当時、私は梅と桃の花の違いもすぐにはわからないほど植物に疎い学生でしたから、もしかしたら道真はそんな私をなんとかしようとしてくれたのかもしれませんね。


 一概にすべてがそうとはいえませんが、梅の花びらは丸みを帯びていて、桃は少し先端が尖っているんですって。それに、梅の花が咲いているときは葉がないんだそうです。枝先から花芽と葉が一緒に出ていたら桃だそうです。


 今度は花言葉を胸にじっくり梅を鑑賞してみたいものですね。食いしん坊の飲んべえなので、手には梅酒か、銘菓『のし梅』でもあればなお嬉しいです。ちなみに『のし梅』とは、梅をすり潰し、寒天に練りこんだものを薄くのして乾燥し竹皮で挟んだ山形県村山地方の代表的な銘菓です。美味しいんですよ。

 『梅に鶯』などという言葉もありますから、耳にウグイスの鳴き声があるともっといいですね。


 梅は1/1、1/3、1/5、1/6、1/7、2/1、2/2、2/7、2/25、10/24、12/27の誕生花だそうです。



 梅の花言葉一覧:『気品』『上品』『上品な美しさ』『高潔』『高潔な心』『潔白』『忠実』『忠義』『澄んだ心』『独立』『喜び』『忍耐』『厳しい美しさ』『艶やかさ』『約束を守る』『美と長寿』


 白い梅の花言葉一覧:『厳しい美しさ』『清香』『気品』『忍耐』『澄んだ心』


 紅赤の梅の花言葉一覧:『忠実』『優美』


 黄色の梅の花言葉一覧:『控えめな美』

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