人生ゲーム

 もうここまで来てしまったか。私の人生ももう直ぐ終わる。良き妻に出会い、二人の子供にも恵まれた。様々なトラップが途中途中に置かれていたがなんとか乗り越え、たどり着いた先は老い。間もなく人生のゴールテープを切る。その途端に待っているのは結局のところ死でしかない。私は一抹の寂しさを感じていた。

「あなたの番よ」

 妻が言う。そうか、あと何回あるか知れない、運命のサイコロを振る。

「6」

 早すぎる。これがラストかもしれない。自分という駒を六つ進める。そこに書かれていた言葉は、

「振り出しに戻る」

だった。

「ああ」

 妻は愕然とした。

「まだ続けるのこのゲーム」

 と文句を言ってくる。

 でも私は喜んだ。あの若き日々をもう一度、体験できるのだ。

「人生は何度でもやり直せる!」

 私は喜びいさんで人生のスタートラインに戻った。

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