第8話 サバイバルバトルロイヤル(前編)

「閻魔コウキに命ずる、Gエリアを展開せよ。キャリア値はDS及びDQの並列およびMHをさらに複合運用せよ。」


「女神テラ様了解しました。固定値はLOLベースで設定値はLN全般でよろしいですか。」

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やばい!女神テラがコウキが悪だくみ・・・というわけでもなく、亜空間で専門用語で話してやがる。娘のイースちゃんは大丈夫なの?って突っ込みを入れたくなっちゃうよ。


とんだハネムーンになりそうだ。でも、妻のイリヤもサキも亜空間からの観戦を楽しんでいるようだ。


どうしてこうなっちゃうんだろう。女という生き物は血を見るのが好きなのかな~なんて思っていると。サキとイリヤが俺の肩を大きくゆすりながら、指をさした。


「あのボロボロの布きれを纏って、物陰から杖を振りかざしている魔法少女にイースが憑依しているみたいよ。」


「ちがうわよ、闘技場の真ん中でドラゴンニートの少年の上で胡坐をかいている脳筋少女が女神イース様ですわ。」


「ハハハ。どうやら助けに行かなくても大丈夫そうだね。」


俺は胸をなでおろしながら、から笑いをしていた。なぜならば、俺の代わりに神蔵魔法バックのシュレと閻魔コウキが、女神テラにこき使われていたからである。


なんとなく観戦を楽しもうとしていたとき、女神テラから声がかかってしまった。

「楽しんでいますかアマミコ。そちらのお嬢さんたちもワクワクしてますか。勝手にコウキさんとシュレちゃんを使っちゃってごめんなさいね。」


「いいえ、テラ様。私たちこんなの初めてで。かなり興奮して楽しんでます。」

「そうですわ、テラ様。何なら私たちも憑依したいぐらいですわ。」


「そんなに興奮しなくても、はしたない。何ならアマミコを使ったら。奥様からの初めてのお使いってことでね。」


やはりこう来るかテラ様。やられたぜ。暗黙の了解で娘神イースを助けろってことだろ。でも、妻たちにカッコいいとこ見せるかな。


「わかりました。テラ様。それにイリヤとサキ。行ってくるよ。って、言いたいところですが、召喚されたわけでもないですから、いきなり入っていったらまずいでしょう。」


「案ずるな、すでに悪魔から、この星のバトルエリアをチョコっと拝借したのでどうとでもなるぞ。」


「その裏技的な対処みたいのは・・・聞かない方がいいですよね・・・」


「女には秘密があるのよ。っていうか、幾久数百という、このような、悪魔のお遊戯が開催されてきたとおもうの。それに、今まで何で神々が黙っていたと思うのかわかる。まーそれでも、悪魔は悪魔。やることは死にゆく星の住人に対する、最後の楽しみはこれなのよね。同じ、同じなのよね。対処はいくらでもあるのよ。」


女神テラは不気味に笑った。俺は相変わらず逆らいたいという意思は、全くなかった。それより、いつか、俺の妻たちもこうなるのではないかと思うと、恐怖を覚える。くわばらくわばら。


そうおもっている矢先に、イリヤとサキは目を輝かせながらテラへ質問する。


「テラ様、この人たちに仕掛けた戦いってどうなるんですか。みんな助かるの?」

「神々はこれ以上、手を貸さないのですか。」


「住んでた星が滅んだのよ。最後の一人となってね。神々の庇護もなく、どうして一人だけになったのかしらね。考えてみればわかるはずよ。」


イリヤもサキも少し暗い顔になった。それもそのはず、ある程度、考えられるからである。そして薄々、気づいきはじめたのであろう。この12人の戦士のうち、男が2人であとの10人は女だってことに・・・・


星の生命がなくなるとき、つまり、争いや厄災があったときに星は滅ぶ。男と女を比べたとき、単純に女の方が生き残る確率が高い。例えば、戦争が起これば、力の強い男が兵士に最初に駆り出される。


それだけで、滅びゆく世界での男女比率が変わる。


もし、病原菌や災害があっても、生命力でも痛みに強い、女が生き残る確率が高い。


だから、まず、滅びゆく星の最後の住民たる一人は女性が高い。しかし、それが男性ならば、あえて生かされたのか、まれに、強者として生き残ったとしか考えられない程である。


「未来を切り開く男と未来を託された男ならいいけど・・・狂喜と破壊を目的にした復讐者だったら厄介なのよね。悪魔の化身に成り果てたものかもしれないのよ。まあ、男と限らないけどね。悪魔が開いた、今回みたいなケースは特にね。でもね、アマミコ、はい、行ってらっしゃい。」


えーっとか、そんなー、うそー、なんていう前に、俺はフィールドに飛ばされ女神イースに腰かけられた男に憑依していた。


死んでいた男が目を覚ます。


「あのー。女神イース様。どいていただけませんか。テラ様から行くように言われてきました。」


「ヒエー。よみがえったー。キャー。」


その声で俺が死んじゃいます。イース勘弁してくれよ。という前に女神イースは顔が真っ青になって卒倒しそうになっていた。死なないでねイースと思いながら、腕立て伏せから、ひょいと立ち上がりながら、宙に浮いたイースをお姫様抱っこした。


でも、頭の中にイリヤとサキがドロップキックしているのが浮かんだが、気にしないでいよう。それにしても、以外に軽いイースの憑依した人間?いや猫耳あるやん。違う妖狐ってやつか?俺も憑依したのがドラゴンニートだから・・・ありかもな。このバトルロワイヤルは、異種格闘サバイバルマッチって奴か。


「おい女神イース。お前、この戦いなめてるのか。この場にいれば殺されるぞ。」


「いきなり、お姫様抱っこなんて・・・私・・・初めてなんだからね。って何で怒ってるのよ。でもこの感覚は・・・ミコトなの?」


「ケイスケと呼んでください。イース。それより、ここにあるアイテムをすべて持って安全な場所に拠点をつくるぞ。」


「野営でもするの?こんなデスゲームはあっという間に終わらせましょう。二人ならすぐよ。」


「勘違いするなこのゲームは最後の一人に生き残るか、全滅しないと終わらないゲームだぞ。万が一、俺たちみたいに、他の者が徒党を組めば一巻の終わりだぞ。」


「私には女神の力があるから大丈夫よ。」


「甘いな、本来の体でもなく、ましてや他の者の情報がないまま戦うのは愚の骨頂だぞ。俺を信じろ。」


納得できないのか、うだうだしながら、つぶやきながら、めぼしい物を集め移動をしようとしたとき、イースが倒れた。イースの足に石を巻き付けたツタが、巻き付いた。次の瞬間、威嚇しながら重そうな石をもってやってきた。隻眼の一人の小さな女の子ってドワーフ?ウサギ耳とはちがうか?何者?


あっ、こけちゃったよ。そう思っていると、イースが足に絡みついたツタをほどきながら言った。


「その子は大丈夫だよ。もう3回目だしね。ケイスケを敵と勘違いしたみたいね。この子ったら、なんかいつも私を助けてくれるのよ。仲間になりたいみたいなのよね。」


「なんでだ?」


「始まって直ぐに、ここにある物資をめがけて戦いがあったのよ。そのとき助けてあげたのよ。それから、私はここで陣取って戦っていると、もの陰から助けてくれていたのよ。」


「そうなんだ。でも、敵かも知れんぞ。いいわ、そのときはその時よ。とりあえずこの布で血を止めてあげて。」


さすが女神様、優しいですな。こんな戦いの中でも・・・こりゃ、少し教えてあげたほうがいいよね。テラもそう思って、俺をよこしたんだろうしね。一肌ぬぎますか。俺の嫁たちには見せたくないがね。


俺は倒れている幼女に近づきすかさず、手刀を素早く放ち気絶させた。


「倒れた拍子に気絶したみたいだ。暴れると面倒だから、手足を縛って応急処置するからな。薬箱から少し薬品をもらうぞ。」


イースに俺はそういうと、消毒用のアルコールに解熱剤を溶かし、患部を手当てした。少し痛かったせいか、目覚めたが、着付け薬と言いながらアルコールと鎮静剤をのませた。


「あれあられ、目が回る・・・うひうふあへ・・・」


幼女はあっという間に寝てしまった。このときを待ってしたといわんばかりに俺は、アルコールで火炎瓶を作り、支給品のマッチから火を着けて、あさり終えた支給品に火を放った。


火はみるみる燃え上がり、闘技場の真ん中にキャンプファイヤーの如く燃え上がった。


爆音も轟かせた闘技場を背に、俺とイース、そして、おんぶされた幼女3人は、闘技場をあとにしながら、森の中に入っていった。

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