第7話 女神達の賛歌
「・・・最後に女神降ろしって、しらじらしいわよ。って早く何とかしてよー。」
そのまま、消えた女神イース。悲劇のヒロイン狙っているからって・・・
あーあ、刺激のありすぎるハネムーンって、と思うこの頃・・・・
妻のイリヤもサキも中指を立てながら舌を出す始末・・・
とりあえず手でも振っときますか・・・・ハハハ
話しは遡る事・・・女神達のガーデンパーティの後、女神たちは新たな英雄譚の花となるヒロインになるべく、さまざまな異世界の運命を調べ始めていた。
そして、婦神たちは、勇者や英雄といった者たちが、ここ以外の死後の世界にやってきていないか調べ始めている。本当に神様ってすごい能力を持っているものだ。
閻魔コウキも助力を貸し出そうと、異世界勇者リストというものを出した。
さすがコウキ、仕事は完璧だな。
それに、婦神達も、そのリストを見て驚嘆していた。
ここにいない女神が、かかわっていない勇者には◎をつけたうえ、すべての勇者にかかわった女神や神をチャックしてある。
うーむ、抜かりない仕事だ。
「ちなみに、波線を引いている勇者は第302の死後の世界に現在います。そして、リストのIDに▲がついているのは、死ぬ間際に闇落ちする可能性があり死後の世界にさえこれない可能性があります。今、女神の誰かが助ければ・・・惚れてしまうでしょうね・・・次に□で囲んだ・・・・・」
できる上場企業の営業部長クラスだな・・・女神や婦神を虜にしてやがる・・・恐るべし・・・
そういえば、これから、コウキが俺のマネージャーやるっていってたけど・・・俺、働かされるな、間違いない。
そんなことを思っていると、シュレが俺の耳元で囁いた。
「勇者や英雄っていうのは、ご主人様のように、レアアイテムをもっているんでしょうね。先ほどのアイテム販売で神蔵魔法バックの私も、少し身が軽くなったので・・・リストが気になって・・・」
「そうか、シュレ。でも、安心しろ。お前には他の勇者には持つことさえできないUR以上のアイテムをまた集めてやるからな。もし、見つからない時でも、俺が創ってやるからな。」
横にいた妻も互いに胸をなでおろしていた。
「なーんだ、少し焦っちゃった。また、異世界に宝探しの冒険するなんて言うかとおもっちゃったわよ。」
「ハネムーンが宝探しならまだましだけど、旦那様はトラブルに巻き込まれやすいから心配しましたわ。」
妻たちは俺がトラブルキャッチャーとして認識しているらしいが、俺自身そのつもりはない。しかし、運命ってやつは残酷だ。俺をこき使いやがる。こき使うのは妻だけでたくさんである。まったく。
そんな感じで、イリヤはサキは死後の世界を満喫するのをあきらめて、どこの世界にハネムーンしようか俺を挟んで盛り上がっていた。
俺にしてみれば、ここで結婚式という名のマリッジオペラや披露宴みたいな晩餐会や舞踏会そして2次会にファッションショーが出来たのであるから十分である。
しかし、女の欲望は尽きることがないらしい。いい女というのはそういう生き物らしい。
そして、女神&聖女は刺戟的でセクシーである。
そのとき、美しき女神テラが婦神達に耳打ちして回っていた。何やら、悪だくみいや神巧みしているな・・・いかん、神のやる事に悪意はないはず。
でも・・・うれしそうに、手お振りながら俺に微笑みかけている。
毎度のことか・・・そういえば、あの顔を見たときには、下界に降りていたっけな・・・そんなことを思っていると婦神が続々と消えていった。
思わず、俺は立ち上がり、テラに聞いてしまった。
「後の始末・・・いや違うのよ!何かあれば助けて・・・うっ、アマミコにはいつも助けられてばっかりだけど、私以外の美しい女神たちに何かあったとき助けてあげてほしいなーてね。エヘ。」
「エヘって、正直に言ってくださいテラ様。下界に降りたときはテラ様の加護をいただいたおかげで、英雄神になれた御恩があるのですから。」
そう、何を隠そう、以前、俺は輪廻転生を繰り返す人間として地上に降りるはずだったが、地球神アースと女神テラの力により民を導く存在となり神となったのだ。
冒険者がランクが上がると貴族扱いになるように、人間は人生を歩む中で神に近づける可能性がある。でも、神々の寵愛を受けるようになれば神になることができるのである。
そして俺は地上に降りる前から、寵愛を受けておりたったことがあるのだ。
神は地上に降り立つと人心から秀でた能力を認められて◎◎神と呼ばれる。
俺は英雄神と呼ばれたのだ。
人々の祈りや願いそして信仰により、神の力は増大する。
女神テラは少し嬉しそうに話した。
「闇落ちして、死後の世界にこれない勇者を死神の代わりに、救い導いてあげれば、すぐに勇者に会えるかもっていったのよ。」
「さまよう霊や地縛霊になった勇者を導く女神の物語か・・・さぞや死後の世界で受けるオペラになるでしょうねって!!それって確実にやばいって!あの世にこれないっていうのは、未練や情念だけでなく、恨みつらみ、憎しみ嫉み・・・妖怪や悪魔も絡んでいる案件ですよ。魔王あたりが出てくれば目も当てられないですよ。まったく!」
「なんかあれば、アマミコが助けてあげてよね。でも、大丈夫だとおもうよ。あの百戦錬磨の婦神達であればね。死霊も竜王も泣き出して逃げちゃうかも。もし、そんなのがアマミコに近づいたら、私が握りつぶしてあげるからね。」
その会話でイースやサキに限らず、女神たちはおびえきってしまった。
しかし、シュレだけが、分身をしてテラにお辞儀をしながらお茶を運んでいた。
「お美しい女神テラ様、もし、婦神様のお手を煩わせるのであれば、よろしければ我が分身たちをお使いください。呪われた魂でもこの神蔵魔法バックであるこのシュレの分身を使えば、死後の世界に導けます。」
シュレはやはり、呪われた勇者の魂より、アイテムを狙っていると見え見えだったが、この死後の世界に連れてくれば、呪われた魂や霊でもアイテムに封印したり、監獄にあたる世界に封じ込めることも可能である。
シュレの言葉は女神テラを喜ばせるどころか、涙を誘ってしまった。
「なんて良い娘なの。自らも数多の戦地に向かいたいというこの気概。やさしいのですね。さすが、アマミコの従者といえる魔法バック。英雄に近づく下賤な女どもに聞かせてやりたいわ。あくまで、あなたたち妻たちのことではないですよ。」
サキとイリヤは嫌味の一つも受け取らず、平然とお茶を飲んだ。
後が怖そうだ。
しかし、サキとイリヤはテラに優しく言い放った。
「テラ様、お気を使わないでください。わかってますよ。テラ様も私もイリヤも、婦神たちに何か何かトラブルがあれば、すぐいける心構えをしてますわよね。ましてやここでのんびり、婦神が消えても平然としてませんわ。」
「そうそう。テラ様はよっぽど刺激を求めてますわね。少し毒ですわ。あまり、友神を思い過ぎてでケガをなさらないでください。私たちもご協力します。シュレの分身をお好きに使ってください。」
俺は肝の据わった妻たちを見て安堵した。胸をなでおろしたのは女神達でもあるが、あくまでも婦神達にしてやられたとようやく気付くのであった。
そして、女神の一人がコウキに聞いてきた。
「他のあの世でも、他の異世界に住む勇者たちの情報は同じかしら。」
「他のあの世と呼ばれる死後の世界は、それぞれ若干ですがシステムが違うところもあります。詳しく言うと、この死後の世界で管轄している下界で運命にない死に方をした者を死神を問うさず勧誘して、他の管轄している下界に送り込んだり、他の管轄のあの世から無理やり呼んだりすることがあるので・・・リアルタイムでは異なるといえるでしょう。」
女神は怒ったように言い返した。
「システムが違うってどういうことよ。あの世はあの世でしょう。」
閻魔コウキ困ったように説明した。
「人間以外の獣人やエルフ、魔物もいる世界もありますし、時間移動がある世界ではパラレルワールドまで制御する運命を決める機関も存在しますし・・・人間がつくったようなゲームみたいな・・・時間を巻き戻し生き返らせるシステムもあったりするので・・・」
「まあいいわ。でも、みんな、出し抜かれたままでは納得いかないわよね。何かいいアイデアとかないの!」
殺伐としだした女神をおさめるように女神テラは口を開けた。
「あんたたちは、将来有望株の新たな勇者たちと冒険して来たら!いい経験になるわよ。ロマンスも生れちゃったりしてさ。」
「総都合よく、私たちのお眼鏡にあういい男・・・じゃない。良い勇者がいるわけないわよ。」
「だったら、創れば・・・勇者を!女神としてね!」
「テラ様・・・そういっても、むやみに召喚や転生することは、他の者の運命をかえることにつながります。」
「だから、神のやり方で創るのよ。私が教えてあげるわ。」
女神テラはここにいた女神達と俺たちすべてにみせた。それは、意識の中に映し出す映像の如く、幻影を映し出した。
滅びようとしている星のかけらを集めて作った小さな島ともいえる12個の塊が一か所に集まっていく。それぞれの星のかけらともいえる陸地には生命体が一つ。それが一つの大きな島になり中心には闘技場がそびえている。しかし、12個の生命は死にかけていた。
「滅びゆく星の最後の生命よ。もし、生き延びることができるならば新たな大地をやろう。それは、最後まで、生き延びた種族だけだ。武器と食料が欲しければ中央にある闘技場まで来い。悪魔の信託を授けよう。それを用いて、大陸に眠っている武器や食料そして、お前たちが必要としているものを与えよう。時間には限りがあるぞ。大地が崩れていくからな。」
悪魔のお告げとばかりに空が輝き死にかけた12個の生命は蘇った。
このような幻影をテラから見せられた。女神テラはため息交じりに女神達に語り始めた。
「神々が去った滅びゆく星・・・悪魔に魅入られた星の末路よ。悪魔は悪運ともいえる最後に残った優秀な体を最後に手に入れようとするのよ。神にあだなす悪魔が欲しがる強靭な最終形態ともいえる、その星の最終進化した体。悪魔が欲しがるほどの体なら神が依代にすることも可能ともいえるよ。ある邪神たちはこの光景を見ながら賭け事をするそうよ。誰が生き残るかをね。神が見捨てた者達の末路・・・神々が文句いく筋合いはないけど、もし、この者が女神に助けを求めたらどうしたらいい。その者が未来の勇者になれる器だったらといった方がわかりやすいよね。このアマテラは私が助けたのよ。こんなに素敵な英雄神はそうはいないわよ。私のコレクションの中でも随一よ。」
女神イリヤも聖女サキは、ちょっと悲しそうに俺を見つめた。それとは対照的に女神たちはやる気にみなぎっていた。それらの反応とは別に、女神イースは口を尖らせた。
「ママがアマミコのことを息子みたいな者って言ったのはそういうこと。ふーん。私だってさ・・・だから女神イリヤの時も・・・嫉妬しちゃうわ。」
それを聞いて、テラはイースに近づいき腕を組んだ。
「今ではね、神が主催する選ばれし種族間バトルもあるんだからね。悪魔が主催する汚らわしい生き残りゲームに、こんな可愛い女神なんか行かせれないんだから。ウフフ。でも、そういえば、今もそのゲームである種族が死ぬ寸前ともいえる最後に女神降ろしをしようとしてたのよね。可愛い娘にも旅をさせろってね!いってらっしゃい。」
足元から消え変えていく女神イース。
「ママ本気?最後に女神降ろしって、しらじらしいわよ。って早く何とかしてよー。」
そのまま、消えた女神イース。悲劇のヒロイン狙っているからって、女神テラったら凄すぎ。
あーあ、刺激のありすぎるハネムーンって、と思うこの頃だが、行かなきゃまずいよね。
妻のイリヤもサキも中指を立てながら舌を出す始末。お前たちもつれていくけどね。
とりあえず手でも振っときますか。
他の女神たちは、すっとぼけたように、コウキの渡したリストからこの勇者、なんて言いながら、うすら笑いしながら、イースの件はなったことにしようとしていた。ハハハ
小走りになりながらも、それぞれ女神達はおのおの消えていった。
俺もこれ以上、巻き込まれないように妻たちの中に入りハネムーンの話しを始めようとすると、女神テラもついていくといわんばかりに話題に入ってきた。
「今は緊急事態よ。女神イースが凶悪な悪魔の巣ともいえる、デスゲームに行ってしまったのよ。アースには連絡つけるから、一緒に行きましょう。」
「あのー。テラ様俺たちは、結婚したばかりで、ハネムーンに行こうかと・・・」
「娘の女神イースのことは心配じゃないの。」
「それは・・・テラ様がお送りになったのでは・・・」
・・・・
・・・・
・・・・
無意味な会話が続くと察知した妻たちが一言。
「テラ様は余程のドMな女神さまですね。」
「いやドSです。間違いない。娘まで悪魔に差し出すですから。」
「刺激が欲しいなら一緒に行きましょう。あたしたちもちょうど刺激がほしいとこだったから。ウフフ。」
異世界ハネムーンの最初は悪魔のですゲームに決定してしまった。
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