第七話 パーティー
パーティー。
それは冒険者にとって、命を預けることもある仲間でもあり、手に入れた宝を分け合う、仕事の同僚でもある。
様々な理由や巡り合わせで組むこともあれば、適当であったり、自分の意志で組むこともある。
ユラトは、どんな人たちと組むことになるのだろうか?
そのパーティーメンバーと共に挑む、森の冒険で得るものは何か?
信頼か?
多くの富?
それとも目的のハイエルフの国の発見か?
まずは、パーティーメンバーが集まるところから始めよう……。
ガイン達が森の中へ入っていった後、ユラトは再びパーティーを集める為に番号を叫んでいた。
「17番の番号を持っている方いますかー!」
だが、誰も現れなかった。
(まだ、誰も来ないや……)
そして、しばらく頑張ってみるが、時間だけが過ぎて行く。
少し叫びつかれたユラトは、皮袋に入った水を飲みながら休んでいた。
(ふう……こりゃあ、気長に待つしかないのかな?)
すると森の入り口から、早朝から森に入った冒険者の一団が現れた。
先頭にいる男が嬉しそうな顔をしてウッドランドの町に入ってくる。
その男はここで番号を叫んでパーティーが集まるのを待っている人の中に知り合いがいたようで、その者に向かって叫んでいた。
「おい!新発見があったぞ!」
叫ぶのを中断し知り合いと思われる冒険者がその男の近くへ歩み寄った。
「ん、どんな発見だったんだ?」
男は顔を綻ばせ自慢げに話した。
「実はな、西の方で大きな地下洞窟を発見したぜ!」
その言葉を聞いたユラトや周辺の冒険者達は驚いた。
(地下洞窟!そんなものがあるのか……)
男は話を続けた。
「規模もかなりのもんだ、だからギルドに報告して他のパーティーにも応援を頼もうかと思ってる。お前のところのパーティーなんてどうだ?」
「俺のところは後一人来れば揃うんだ、揃ったらメンバーに聞いてみる。だからそれまで応援要請はしないでくれ!」
男はしばし考え、それから話し出した。
「……そうだな、後一人ならすぐに集まりそうだな……よし、いいぞ、お前のところと組んでやろう」
「そうか!ありがたい」
そう言って肩を抱き合い親しげに話し合っていた。
ユラトはそのやり取りを見て少し羨ましく思った。
(俺も地下洞窟を見てみたかったな……だけどまあ、あの森に入れば他にも何かを見つけることがあるかもしれないから……とにかく今はパーティーが集まるのを最優先で考えるか……)
冒険者は聖石を使い、黒い霧を払うと払った場所に確認の証であるホークスアイを埋めるまで、その場所は聖石を埋めた冒険者達が独占して良いことになっている。
しかし、その場所に非常に強い魔物や、先ほどのように広大な洞窟など、その冒険者達だけでは手におえない場合に応援を呼んだりすることがある。
多くの場合は冒険者ギルドで応援の要請をしたり、知り合いに頼んだりと、彼らは自由に募集していた。
また緊急の場合には『マナフラッグ』と呼ばれる魔法を使うことがある。
この魔法は周囲の冒険者達に救助や支援を頼むときに使う魔法だった。
この魔法を感知した冒険者は、すぐにその場所へ向かうこととされている。
ユラトは休憩を済ませると再び番号を叫んでみた。
「17番の番号を持った方いますかー!」
すると、後ろ側から声をかけられた。
「17番のパーティーの者だ」
ユラトは直ぐに後ろを振り返った。
(―――お、来た!)
後ろを見ると、そこには紙を持ったウッドエルフの男がいた。
(あ……ウッドエルフ!)
ユラトは旅の仲間が、ようやくやって来てくれた事に喜ぶと、やや力みながら話してしまった。
「ど、どうも!俺、ユラトって言います、よろしく!」
そのウッドエルフは特に表情を変えることなくユラトに名を告げてきた。
「私の名はレクス・ミルウッドだ。レクスと呼んでくれ」
その様子をみたユラトは落ち着きを取り戻し、挨拶をし直した。
「わかりました、レクスさんですね。俺は、ユラト・ファルゼインといいます、俺のこともユラトって呼んでください、よろしく!」
2人は軽く握手を交わした。
そしてレクスの事を聞こうかと思ったその時、ユラトの持っている紙に書かれた番号と同じ番号を叫んでいる者の声が聞こえた。
「あの~……17番の番号のかたー……いませんかー」
小さな消え入りそうな声だったが、ユラトの近くにいたためにすぐにユラトはその者の元へ駆け寄る。
「17番の番号を俺も持っています、こっちに来てください。他にも持っている方がいます」
小さい声で話ていた者はユラトより背の低い年下の女の子であった。
「あ、どうも……わかりました……」
そして、ウッドエルフのレクスのいるところへ女の子を連れてくる。
すると女の子は挨拶をしてくる。
「あの私はリュシア・ヴァベルって言います。だからリュシアって呼んでください」
「分かったよ、リュシア。俺はユラトって言うんだ、よろしく!」
「私はレクスだ」
「えっと……ユラトさんにレクスさんですね、わかりました。よろしくお願いします」
そういうと律儀にお辞儀をしてきた。
それを見たユラトは先ほどの自分を思い出し、もう少し力を抜くようにと助言した。
「まあ、これから冒険をする仲間だし、そんなに固くならなくていいよ。俺もさっきまでは君と同じだったけどね」
それを聞いたリュシアは「わかりました」と短く答えた。
その後、彼らは無言で他のパーティーメンバーを待つことになったが、いっこうに後の2人はやって来る様子が無かった。
(来ないな……確か……ミランさんから聞いた話だと俺のパーティーは5人だったから、あと2人のはず……)
そしてユラトは空を見上げた。
―――ピィィィ!
黄色と濃い緑色をした大きめの鳥がウッドランド上空を円を描くように旋回していた。
薄い雲が少しあるだけで天候は探索に最適であった。
他のパーティーは既にメンバーが揃い、森へ入って行った。
あとはユラトのパーティーだけであったため、彼らはその場に留まり待つことにした。
暇であったのでユラトは、ぼんやりと2人を眺めていた。
(俺の旅の仲間……か……)
レクスと名乗ったウッドエルフは肩ぐらいまである髪にオールバックの髪型で右の長い耳に小さなピアスをいくつも付けていた。
彼は皮鎧にフォレストグリーンの腰までしかないマントを装備していて、背はユラトより高いが体格は少し細く、背中には柄の部分がぼんやり光る直槍があった。
先ほどから何度かユラトは話し掛けてみたが簡潔に答えるばかりで、あまり話すことは好きではないようだった。
答えたのは光る槍の部分のことで、どうやらユグドの木で出来た柄らしい。
外壁のために集められた石の所で目を閉じ腕を組みながら背中から持たれかかっていた。
そしてリュシアと名乗った女の子は歳はユラトよりも若く、背はユラトより低く、ショートボブの髪型でふわっとした厚みのある生地のローブを着ていて細かい刺繍がたくさん施されていた。
手には武器と祈りに使うための光の神をかたどった彫刻を施されたメイスを持っていた。
装備品は高価そうであった。
話を聞くと、クラスは『クレリック』であると言っていた。
クレリックは光の神の加護を受け主神とし、教会で光の神の教えを説き、人々を光の道へ導く役割の者を言う。
また光の魔法の扱いにも長け、怪我や毒の治療等を行うことが出来る。
くりっとした目で少し幼く愛らしい容姿をしていたため、冒険者には見えなかった。
ユラトは少し不安になった。
(この子……ほんとに冒険者なのか?んー……まあ俺も人のこと言えたもんじゃないけど、大丈夫なんだろうか……)
そして、そろそろ日が傾こうかと言うときに ようやく2人の冒険者が同時に現れた。
「どうやら俺達が最後みたいだな」
「そうらしいね、遅れて悪かったね、アンタ達」
そう言うと2人はユラト達のいる場所まで近づいてきた。
一人は中年の女戦士でもう一人も中年で魔法使いであった。
女戦士の方は蘇芳色(すおういろ 黒味を帯びた赤色)の鎧を着ていて赤褐色の肌に腰まである真っ白な長い髪を後ろで束ねていていた。
戦士というだけあってユラトよりも背や体格はよく、若かりし頃は美しかったであろう面影を残した、分厚い情熱的な唇を持った女だった。
男の方は背丈はユラトと同じぐらいで、つばの広い青緑の帽子をやや斜めにかぶっていた。
痩せ型、目が少し釣り目で魔法使い達が良く着ているローブを着ていて、手には青い石がはめ込まれたロッドを持っていた。
レクスが遅れてきた2人に冷たく言い放った。
「随分遅れているな、人間は約束も守れないのか?」
それを聞いた女戦士は軽い笑い声を上げ謝ってきた。
「はははっ、そうだね、悪かったよ。だけど、ちょっと緊急の野暮用ができちまってね」
ユラトは気になったので聞いてみることにした。
「野暮用?」
その時、魔法使いらしき男が話に割り込んできた。
「おい!まずはここを離れようぜ……日が暮れちまう。説明は歩きながらでもできるだろ」
「そうだね……ああ、そういやまだ名前を名乗っていなかったね。あたしの名はジルメイダ、ジルメイダ・バルドさ!」
男の方も名乗った。
「俺の名前はダリオだ。ダリオ・ジレスト」
ユラト達も2人に名を告げた。
そして、これから仕事に向かうと夜になってしまうため、ユラト達はウッドエルフの村へ行き、そこで一晩過ごしてから早朝に森の探索をすることになった。
全員がウッドランドの町を出て、村に向かって歩き出した。
しばらく歩くと、ジルメイダが先ほどの話の続きをし始めた。
「あたしらがラスケルクの港に着いたときに『シーサーペント』って魔物が現れたのさ」
「海の魔物か……」
シーサーペントは海に生息する魔物である。
大きさは様々で小さい物だと蛇ぐらいのものもいるが、大きなものだと、船と同じぐらいの大きさになる場合もある。
姿はいくつか種類があるようで、大きな口にたくさんの鋭い牙があり、固い鱗に覆われたウツボのような姿のものや蛇のような姿である場合もある魔物だった。
彼女は話を続けた。
「それで、あたしとダリオ、それから急遽、ラスケルクにいる冒険者達でそいつらと戦う事になったのさ」
ジルメイダの隣を歩くダリオが話に入ってきた。
「しかも小さいのから大きいのまで大量に現れやがってよ、ラスケルクの港で大暴れ…大変だったぜ、全くこっちはこれから仕事だってのによ……」
「そんなことがあったんですか……」
「まあ、それでなんとかシーサーペントどもはなんとか倒したんだけどねぇ……だけど死者や怪我人もそれなりに出たみたいだよ」
「大きいシーサーペントは、あの『ラグレス』の野郎が倒しやがったがな……あいつは化物だな……」
話を聞いていたリュシアが疑問を口にする。
「ラグレスって誰ですか?」
それを聞いたダリオは驚き、リュシアに厳しい言葉を浴びせた。
「お前……知らねーのかよ!……冒険者だったら知っとけ」
消え入りそうな声でリュシアは謝った。
「す、すいません……あんまりそういうの興味なくて……」
ユラトは聞いたことがあった。
「確か、名前はラグレス・オリュム……東側の出身でギルドも東の冒険者ギルドに所属していると聞いたけど、こっちに来てるのか……オリディオール最強と言われる戦士……」
オリディオール島最強と言われる『剣士』はユラトがアートスの町で見た、ゼグレム・ガルベルグ。
そして、『戦士』はラグレス・オリュムと言われていた。
ゼグレムは西のラーケル地域出身の英雄でラーケルの者達にとっては誇りでもあった。
それと同じように東側のマルティウス地域出身であるラグレスも当然、東側の誇るべき英雄であった。
ゼグレムは高い技術をもった技と魔法で戦い、ラグレスは強靭な肉体とそこから発せられる力を武器に戦う。
この2人が戦ったら、どっちが強いのかは誰にも分からない。
この議論を開始するとオリディオールの島民達はゼグレム派とラグレス派に分かれて終わりの無い議論を展開させてしまうため、普通の者は、この話題には触れることはあまりしない。
この世界の剣士と言われるクラスは剣術と魔法を扱うことが出来る者を言う。
そして更に魔術や剣術のレベルを高めた者を魔法剣士と言ったり魔法戦士と呼んだりする。
主に魔法よりの者を魔法剣士と言い、肉弾戦よりの者を魔法戦士と呼ぶ。
また、これらの総称で剣士と呼ばれることもあるようだ。
そして戦士は、魔法を使わない純粋な近接戦闘クラスのことを言う。
魔法が使えないので、マナサーチが使用できないため、戦士は基本パーティーを組んで冒険をすることが多い。
ジルメイダは気になったことがあったようで、そのことをリュシアに聞いてきた。
「そういや、リュシア。あんたヴァベルって名前、もしかしてあのヴァベルの一族の者かい?」
リュシアは少し間をおいて答えた。
「……はい、そうです」
それを聞いたダリオは少し驚いていた。
「ほぅ、お前……あのヴァベルの者か」
ユラトはその名前をどこかで聞いた事があった。
「さっきは気が付かなかったけど、そうか……ヴァベル家……確か、一族ゆかりの塔を探しているのだったかな?」
リュシアはそれにすぐに答えてきた。
「はい、正確には『ヴァベルの塔』と言われるものです」
ジルメイダがリュシアに質問をしていた。
「その塔に何があるんだい、凄いお宝でもあるのかい?」
「そこに光の神『ファルバーン』が封印されていると聞きました」
それを聞いたレクスは呟いていた。
「光の神はまだ目覚めていないのか……」
その呟きを聞いたダリオが、今現在の神の状況についての説明をしていた。
「光の神どころか、まだお前等ウッドエルフには知らない者が多いのかもしれんが、この世界の神は俺達人間が確認している限りでは、大地の神イディスと娘の森の女神ミエリ、そして一部の光と闇にも属していない、僅かな神々しか目覚めていないんだよ」
ジルメイダがその説明に更に付け加える。
「だから、今のところ我々人間が神の加護を受けられるのは地母神イディス様と僅かな神々だけってことさ」
オリディオールの人々は、イディスのことを女性の神であり、この大地を産んだと言われているため、地母神と言ったり、大地神と呼んだりしていた。
神が目覚める、或いは封印が解かれることによって、この世界の神の影響力が増すのである。
神の影響力とはイディスの場合であれば大地の神であるために大地から栄養やマナを吸収できるため、草木は黒い霧の中でも一年中枯れることは無い。
また人間達も魔法を使用するときに加護を受けることができる。
加護とは魔法を発動した時に加護を受けると魔力の消費を抑えることが出来たり、威力が増したりすることが出来るのである。
だから、今のところ一番強い魔法は大地系統の魔法が強いことになっていた。
他の属性の魔法は使用することは出来るのだが、まだ本来の威力を取り戻してはいないのが現状のようだ。
また、本来ある威力並みに魔法を使うには、それなりの魔力の消費が必要だった。
リュシアは話を続けた。
「それで私達一族は代々、光の神ファルバーンを信仰してるんです。そして、なぜかファルバーン様が復活していないにもかかわらず、僅かですけど光の加護を得ることができるんです……だから絶対にこの世界のどこかにヴァベルの塔があると思っています。それで……私達一族は一定の年齢に達すると塔を探し出す旅にでなければならないんです……ほんとはこういう事好きじゃないんですけど……仕方なくって感じで……あ、でも全くないって訳でも……」
それを聞いたダリオは呆れた様だった。
「仕方なくって……お前なぁ……見たところ冒険もあんまりしてなさそうだが……どうなんだ?」
リュシアはローブの端を握りながら、すまなさそうに答えた。
「あの……実は……今回が初めてなんです……すいません」
それを聞いたジルメイダがやや諦めたように言った。
「まあ、最初見たときからそうなんじゃないかって思ってたさ。あとユラトも初めてかい?」
ユラトはそれに答えた。
「いや、俺は初めてじゃないですけど、まだこれを入れて2回目です……」
それを聞いたダリオは頭を抱えた。
「くそっ、ギルドめ!2人も初心者を押し付けやがって!」
ジルメイダもこれには参っているようだった。
「初心者は1人だと思ってたんだけどねぇ……これじゃ今回はあんまり儲けられそうに無いねぇ……」
リュシアはそれを聞き、ローブの端をきつく握ると、少し強い口調でジルメイダとダリオに向って話し掛けていた。
「け、けど、やる気はあります!足を引張らないようにしますから!」
ユラトも同じように決意を込めて言っていた。
「俺も頑張ります!」
2人の発言を聞いたダリオは、ため息をついた。
「はぁ……全く……ガキのおもりかよ……ジルメイダ……こりゃあ、やめたほうがいいんじゃねーか?」
(似ている……か……それにこれはもしかしたら……あいつの……)
ジルメイダは少し考えると真剣な表情になり、ユラトとリュシアに話し掛けてくる。
「あんた達の気持ちはわかったよ、だけど、こればかりは、まあ2人ともわかっているんだろうけど、お金だけじゃなくて命もかかってるんだからね!アタシとダリオの指示にはちゃんとしたがってもらうよ、いいね?」
ジルメイダは、ユラトとリュシアの目を交互にしばらく見つめていた。
そして2人は、「はい」と力強く答えた。
そして、ジルメイダは話を続けた。
「それはそうとアタシのことはそんな畏まった話し方しなくていいさ、もっと砕けた話し方でいいよ」
2人はそれに答えた。
「わかったよ……ジルメイダ、よろしく!」
「うん!よろしく!」
二人の姿を見たダリオが面倒くさそうに話した。
「俺様のことはちゃんと敬意を持って話し掛けろよ」
「はい、わかりました。ダリオさん」
「よろしくお願いします」
そのやり取りを見ていたレクスが呟いていた。
「人間は色々と大変なんだな……」
その呟きを聞いたジルメイダが、にやりと顔に笑みを浮かべ、レクスに話かけていた。
「レクス、あんたはなかなか使えそうだね、期待してるよ!」
レクスは鼻で笑って答えた。
「フッ……森は我々ウッドエルフの世界だ、人間なんぞに遅れはとらん」
それを聞いたジルメイダは満足して軽い笑い声をあげると、ダリオにも決めるように言った。
「ははっ、いい返事だ!ダリオ、あんたも決めな。アタシの気持ちは決まったよ、このパーティーで頑張るよ!バルガの名にかけて!」
ダリオは少し考えた。
(このウッドエルフはいい動きしそうだな、なら3人いればなんとかなるか……そうなら……)
ダリオは諦めたように話す。
どうやらジルメイダには弱いようだった。
「チッ、わかったよ……ジルメイダがそういうならやってやるよ……」
バルガと言う名称を聞いたユラトは思うことがあったのでジルメイダにそのことを聞いてみる。
「ジルメイダってひょっとしてあのバルガ族?」
ジルメイダは、当然のようにその質問に答えた。
「そうさ、この肌の色に真っ白の髪といえばバルガ族しかいないさ」
「そうだったんだ……」
バルガ族とはオリディオール島中央ゾイル地域北部の山間部にいる少数民族である。
古代の壁画に描かれた狂神の姿がバルガ族の特徴に似ていた為、狂神の生まれ変わりとも言われている。
赤褐色の肌、真っ白い髪。
そして強靭な肉体を持っている。
そのため、聖石の元になるタイガーズアイの鉱山で働く者も多い。
「よし!それじゃ大体の自己紹介も済んだし、ウッドエルフの村へ急ぐとしようか!」
ユラトのパーティーはウッドエルフの村へ向かうため、森の奥へ更に進んだ。
辺りは降り積もった落ち葉の香りが漂っていた。
また所々にくるぶしぐらいまでの高さの草も生えていた。
森の中は静かでユラト達が踏みしめる落ち葉の音と、たまに吹く緩やかな風のせいで揺れる木の葉の擦れる音、その二つがこの辺りの音と言われるものであった。
ユラト達は無言でしばらく歩いていた。
そして、いつの間にか日が沈み、夜のとばりが下りた頃、今までとは少し違う雰囲気の場所が見え始めた。
リュシアがその光景を最初に発見し、皆に聞いていた。
「……なんですか……あれ……木が光ってる?」
リュシアが言うように、ユラト達の目の前にはぼんやりと黄緑色に光る木が生えていた。
それも、辺り一面に。
レクスがそれに答えた。
「これは、聖なる木『ユグドの木』だ。光っているのは聖なる力の証だ。この光が黒い霧から我々の村を守ってくれている」
レクスの言葉にユラトが少し目を見張り呟いた。
「これがユグドの木なのか……暖かい光だ……」
この辺りのユグドの木はまだ若いようで背丈はユラトとほとんど変わらないくらいの大きさだった。
しかし、更に奥に進んでいくと徐々に大きなユグドの木が見えてきた。
しかも木の周りに何かが飛んでいた。
黄色い光を放っていて、小さな羽虫のようにも見える。
それを見たダリオがレクスに聞いていた。
「おい、ありゃあ……ひょっとしてフェアリー(妖精)か?」
レクスが表情を変えることなく答えた。
「そうだ、光の妖精の一つ『スプライト』と言われるフェアリーだ」
スプライトは光の妖精の一つである。
羽虫のような姿で能力も特になく、害を与えることも無い、聖なる場所を好みユグドの木や神聖な泉などに生息する光の妖精種である。
そしてレクスが先のほうを指差し、誇らしげにパーティーメンバーに話し掛けた。
「……あそこが俺達ウッドエルフの村、『ウディル村』だ!」
ユラト達はウッドエルフの村『ウディル村』へとたどり着いていた。
村の中は夜であるにもかかわらず、黄緑色に光る苔とスプライト達がいるおかげで幻想的な光に包まれ、昼間ほどではないが明るかった。
そして村の周りにはびっしりと苔の生えたユグドの木があり、その内側にはユグドの木と同じように村を囲むように川が流れていた。
また、その川は村の中央にある湖へと繋がっていた。
川の周辺には白い小さな花が固まって咲いている。
村の中はそれなりの広さがあるようだ。
見えるだけでも、家が数十件以上はある。
また、村の中央の湖のほとりに苔の生えた特別大きなユグドの木が2本生えていた。
そして、その木を覆うように『ディスキース』と呼ばれるツル性の植物がその木にたくさん張り付いていた。
成長することで葉が大きくなり、やがてそこに空洞ができ、そこからも根が張り出し、そこに水や養分を溜め込む貯水嚢(ちょすいのう)と呼ばれる部分が出来る。
この部分の水を飲むと魔力が回復し易くなる成分が含まれていると言われている。
ディスキースは、発光する小さな淡い水色の花を咲かせ、その花から出る強い光と甘い香りに誘われたスプライト達がたくさん集まっていた。
そして大きな2本のユグドの木の間に家があり、レクスの説明によると、そこには族長が住んでいるということだ。
湖の水深はあまり深くはないようだ。
ウッドエルフの子供達が湖に入って立っていても腰から肩の辺りまでしかない。
無邪気に笑い声を上げながら遊んでいた。
子供達が湖に波紋を作るたびに湖に咲いている人の手のひらを広げたような形の水草の花が揺れていた。
夕飯が近いのか、大人のウッドエルフが子供のウッドエルフを迎に来ているのが見えた。
そして辺りには畑もあり、オリディオール島には無い作物がいくつか実っていた。
ウッドエルフ達の家は色んな所に建てているようで、村の中にいくつか生えている大きなユグドの木の枝の辺りに器用に木を組み上げ、家を建ている者や木の根元に大きな空いている空間があって、そこに家を建てていたり、ユラト達人間と同じように地面に家を建てている者など様々であった。
どの家も建てられてから年月が、それなりに経っているらしく、家の周りに苔が生えていたり、つる草が絡み付いていた。
ユラトは自分が思っていたよりも大きな場所であったので驚いていた。
(結構広いんだな……もっと小さい場所を想像していたよ……あっ!あれは!)
ユラトはある場所に気づいた。
そこは、何頭ものユニコーンが木の塀で囲まれた場所に放し飼いされていた。
ユニコーン達は見事な白いたてがみを揺らしながら走っていたり、軽く角を突き合わせじゃれていたりしていた。
ユラトはその光景をしばらくぼんやり眺めていた。
(へぇ……人間もウッドエルフも、そして馬とユニコーンもすることはあまり変わらないんだな)
すると、ダリオが叫んできた。
「おい、ユラト!早くしろ、置いて行くぞ!」
「あ、すいません!すぐに行きます!」
ユラト達はウッドエルフ達が冒険者のために用意した宿屋へと向かった。
ユラト達は ウッドエルフ達が冒険者のために用意した宿屋兼冒険者ギルドへ着いていた。
建物自体は族長がいくつか持っていた倉庫を貸し出しているらしい。
レクスが入る前にそう説明していた。
二階建ての簡素な作りの建物だった。
一階は料理を楽しんだりする場所とギルドの情報を掲示する場所や聖石の受け渡しなどが出来る場所になっていた。
そして二階は冒険者達が宿泊できる部屋になっている。
その建物の一階で大きな丸い木製のテーブルを囲みユラト達は明日のことについて話し合っていた。
他のテーブルにも冒険者がユラト達と同じようにパーティーメンバーでテーブルを囲み料理を頼んだり、お酒を飲みながら明日の探索について色々話をしていた。
各テーブルには、ウッドエルフ達が作った料理や飲み物等が運ばれ、それを口一杯に頬張り、冒険者達は美味しそうに食べていた。
ウッドエルフの料理は香草がたくさん使われていたため、部屋の中は香草の良い香りと冒険者達の声で満たされていた。
また、飲み物の方は絞りたての赤葡萄果汁に香草や木の皮などで香り付けされたワインなどがあった。
フレーバード・ワインと言われるワインである。
どうやら葡萄もたくさん収穫できる場所があるようだ。
ユラトは葡萄果汁を美味しそうに飲みながら話を聞いていた。
程よい酸味とまろやかな甘味があり、僅かに何か爽やかな花の香りを加えられた葡萄果汁だった。
(美味しい……そして香りもいい……こういった物もすぐにウッドエルフの特産品として、オリディオール島にも流通するんだろうな……楽しみだな!)
そして、香草と一緒に蒸し焼きされた鶏もも肉を一かじりすると地図を広げ、ジルメイダが説明を始めた。
「……いいかい、みんな、明日は早朝から探索を開始するよ!今あたし達がいるのはここ、ウッドエルフの村だ。そして、ウッドランドはここ。ウッドランドから北東にあるのがこの村だ。さっきダリオがギルドから貰ってきた最新情報が書かれた紙によると、ウッドランドから西の方と北西方向で新発見があったらしい。西のは大規模な地下洞窟で北西の方は古代の聖堂が発見されたらしい」
それを聞いたリュシアがジルメイダに質問をした。
「あの、古代の聖堂って何の神が祀られていたんですか?」
その質問にダリオが答えた。
「残念だが、お前の望むファルバーン様じゃねぇみてえだ。恐らく『炎の神フレムド』じゃねぇかってことらしいぞ」
しばらく無言で足と腕を組んで座っていた、レクスが呟く。
「森の中に炎の聖堂があるのか……」
ギルドから貰った資料を見ていたジルメイダがメンバーに話し掛ける。
「なぜ、フレムドなのかは、聖堂で炎の神像があったのと新しい火の魔法が発見されたからみたいだね」
それを聞いたユラトは興味と好奇心から、すぐにジルメイダに質問していた。
「どんな魔法?」
「どうやら、支援魔法ってやつらしいね……名前は『ファイアーエンチャント』って書いてあるね」
ダリオが更に付け加えるように、その魔法について知っていることを説明していた。
「この魔法はどうやら、武器に炎を纏わせることができるらしいぞ。まあ、あとは実際に使ってみないとわからんな……」
ユラトは、それを聞いて嬉しく思った。
(この森での戦いなら、かなり使えそうだ……)
ジルメイダが紙を見ながら話していた。
「魔法訓練場に登録されることが決まってるらしい」
リュシアも少し嬉しそうだった。
「じゃあ、たくさんの魔法使いさん達が使う魔法になりそうですね。そうなると探索もしやすくなりそう!」
ダリオがやれやれといった表情で呟いた。
「まあ、近々行くことにするか……しかし、面倒なこった……新しいものが、きっとこれから一杯入ってくるだろうからな……この歳で対応していくのは一苦労だぜ……」
それを聞いたジルメイダはダリオの肩を叩き、檄を飛ばした。
「なに言ってんだい!あんたもまだまだいけるだろ、そんなこと言うにはまだ早いよ!」
ダリオは再びやれやれといった表情をしていた。
ジルメイダがワインの香りを軽く嗅ぎ、一気に飲み干すと説明を再開する。
「……まあ、そこでだ、今のところ多くの冒険者達はさっき言った場所辺りと、この村から北の方に多くの者が行くみたいだ。昔の地図によれば、どうやらハイエルフの国はウッドエルフの村から北西方向にあったみたいだね。だからあたし達はそこは避けて冒険者の少ない東へ探索に行こうと思うんだ」
なぜ東に行くのか、ユラトはわからなかったのでジルメイダに聞いていた。
「なぜ東に?俺達も北か北東辺りでもいいんじゃない?」
「東はほとんど手付かずだからね。そうなると聖石を使ってもすぐにこの村に帰ってこれるだろ?ユラトとリュシアはまだ、冒険者としては半人前だ。だから、朝早くから夕方までは探索。それから、夜にはこの村に帰ってリュシアはダリオと魔法の修行、ユラトはあたしが鍛えるよ。そうやって一日でも早く戦力を揃えるためってことさ。それに、昔の地図はあてにはならないさ」
ラスケルクがあった地域は、昔の地図では海になっていた。
また、オリディオール島から東の地域には大陸があった。
だから、冒険者たちはハイエルフの国は必ず北西にあるとは思っていなかったが、とりあえず聖堂や洞窟など色々見つかっているのと「ひょっとしたら一致する場所もあるのかもしれない」という思いもあり、少しでも可能性の高いところへ向おうと言う事で向っているに過ぎなかった。
西側を大方調べ終わったら東側にも冒険者達は、すぐに来るだろう。
この村からの距離が遠くなり、場合によっては1日では帰れないことも当然想定される。
そうなると野営し、夜の森で過ごさなければならない事態になる。
初心者1人なら守る自信はあったが、2人となると少し厳しいだろうとジルメイダは判断したのであった。
そうなる前にジルメイダは、ユラトとリュシアの2人をある程度、連携の取れる人材にしておきたかった。
そして、実はジルメイダにはそれ以外にも理由があった。
それはこの仕事を受ける前にあることを占ってもらおうと有名な占いの館へ訪れていた。
そこはオリディオール島中央、ゾイル地域の南にある。
島で一番大きな森があり、そして、その森の中に湖があり、そこに館はあった。
そこで教えられたのは、「……新大陸の東の方に強い運命と魔力を感じる。そして、そこへたどり着くことで新たな道が開けるだろう」と言う事を言われたのであった。
ジルメイダはその後、エルフ発見の報を聞き、自分の探しているものがそこにあるのだと確信し、チャンスがあれば東へ行きたいと思っていた。
だが仕事で行く以上、東に行くことが無理な場合もある、そのときは諦めようと思っていた。
しかし、ユラトとリュシアの2人が来たことでこの2人を鍛えながらなら、東にへ行けるだろうと、彼女はそう考えたのであった。
そして、若手を鍛えることと両方が出来ることも満足していた。
(ひょっとしたら、このメンバーで集まることがそうなのかもしれないね……)
ユラトはシルドナの町でデュランと見た2体の遺体の事を思い出していた。
あのときの悔しい思いを忘れてはいなかった。
(どんな難局も乗り切れるような冒険者になりたい……学校で習ったことだけじゃ実際は対処し切れなかった……自分で自己完結できるぐらいには最低でもなっておかないとな……そうしないと俺の呪いなんて自分で解けることなんてできないはずだ!)
ユラトの心は決まった。
「……分かった。それでいいよ。ジルメイダ、よろしく!」
ユラトの返事を聞いたジルメイダはうれしそうだった。
(ふふっ、ちょっと顔つきが変わったね……いい表情だ。何かこの子なりにあったのかね……)
ジルメイダは満足げに答え、ダリオにも協力を求めた。
「まかしときな!ダリオも悪いけど、やってくれるかい?」
ジルメイダとは対照的にダリオは気だるそう答えた。
「……ちっ、しょうがねぇな……ガキんちょのお守りは好きじゃねぇんだがな……けどまあ確かに戦力はあればあるほどいいからな……」
渋々やることに決めた彼はリュシアを睨むように見て、話かけた。
「おい、リュシア!てめえは俺が、きっちり鍛えてやるからな!」
それを聞いたリュシアは、驚きと恐怖の入り混じった声で答えた。
「―――は、はい!よろしくお願いします!」
リュシアは返事をしてから、少し考えていた。
(思わず返事しちゃったけど、ここで、鍛えてもらった方がいいよね……そうじゃないとファルバーン様にも会えないし、お母さんの頼みも果たせない……)
リュシアの母の頼みとは、母の姉、つまり叔母を探し出す事であった。
リュシアの母の姉のエリスは、ヴァベル家の中で一番、光の血を受け継いだ人だった。
ヴァベルを率いる者は最も光の恩恵を受けた者でなければならない決まりだった。
だから次期ヴァベル家の当主になるのはエリスのはずだった。
しかし、リュシアの母が丁度、結婚式を挙げる前日に冒険に出ていたエリスは帰ってこなかった。
リュシアの母、ソフィアと叔母のエリスは中が良く、妹の結婚を心から祝福してくれていた。
そして、もし女の子が産まれたら『リュシア』という名前を付けて欲しいとソフィアに言っていた。
これはエリスとソフィアが子供が産まれたら、お互い子供の名前を付け合おうと約束していたからであった。
彼らはヴァベルの人脈を使い、色々手を尽くして彼女を探してみたが結局見つけることはできなかった。
冒険者として一流だったエリスは、魔物にやられるはずがないと人々は口々に言っていたし、ソフィアもそれを信じていた。
そして姉を見つけることができないまま、ソフィアはその後、女の子をお腹に宿した。
突然いなくなった姉を思い、その約束を果たそうと、ソフィアは産まれてくる女の子にリュシアと名づけたのだった。
リュシアは、母からその話を聞いて育った。
聞いた話だと、意志の強い美しい女性だったようだ。
そして、母は叔母に会えないまま、病気で他界した。
リュシアは母を失った悲しみが落ち着いた時に、叔母を探し出す事も自分の目的にしようと決めていた。
母がずっと叔母に会いたがっていた事を伝えたい。
また、どうして居なくなったのか、その理由を知りたいと心から思っていた。
(お母さんの為にも、ここで頑張らなきゃ……がんばろ!)
リュシアは両手を握り締め、ここで冒険者として頑張ってみようと決意するのであった。
そして、彼らのやり取りを見ていたレクスはジルメイダに自分はどうすればいいのか聞いてきた。
「……俺はどうすればいいんだ?」
「レクスあんたも付き合ってくれるかい?」
「……そうだな、森から帰ってくる確率も増えるだろうからな……いいだろう」
「そうかい、ありがとよ!」
「ありがとう!レクスさん」
「フッ……気にするな、これもハイエルフを探す為だ」
そしてレクスがジルメイダに他には発見がなかったのか聞いてきた。
「他には新情報とやらはないのか?」
情報が書かれた紙に目を通しながら、ジルメイダは答える。
「そうだねぇ……あとは先行していた他のパーティーが見つけたこの森で出会ったモンスターの情報ってのもあるね……えっと、何々……マンドラゴラってやつにキラービー、それからジャイアントスパイダーそれにワイトってのが今のところ発見された魔物達ってところだね」
ジルメイダが説明した以外の情報には、新しい植物の発見が多く記載されていた。
森であるため、それなりの数の新しい植物が見つかっているようであった。
そして、今度は森以外の情報についてもジルメイダは見ることにした。
すると、何か見つけたジルメイダはにやりとし、ユラトに向かって話し掛けた。
「ユラト!あんたのことも載ってるよ!『ブラックアニス』ってハッグを見つけたらしいね!初めての仕事だったんだろ?初めてにしては上出来じゃないか!少し見直したよ!」
ジルメイダが見た紙には新発見のモンスターのところにブラックアニスと書かれていて発見者の名前の欄に、ユラト・ファルゼイン、デュラン・マーベリックと2人の名前が記載されていた。
それを聞いた、リュシアはユラトを尊敬の眼差しで見つめ、ユラトに話し掛けてきた。
「初めての仕事で新発見なんて、凄いです!ユラトさん!」
ユラトは少し照れくさくなり、無言で頭をかいた。
その様子を見ていたダリオは気に入らないようだった。
ユラトに対し顔を横に向け、片手で葡萄酒を飲み、少し赤くなった顔でけちを付けてきた。
「……けっ!どうせもう一人の冒険者がかなりのやり手だったんだろ!」
「いえ……2人とも今回の仕事が初めてでした……」
それを聞いたレクスとジルメイダは「ほう」っとほぼ同時に呟いていた。
ダリオはそれを聞くと少しの間無言になり、その後小さな声で呟いた。
「……運が良かっただけだろ、お前もその仲間もな……調子に乗るんじゃねぇぞ!」
ユラトはダリオの言う通り、運も良かったと思っていた。
「ええ、ダリオさんの言う通り、運も良かったと思います。(色んな運があったのかもな……)」
そのやり取りを見ていたジルメイダは軽くため息をつき、やれやれと言った表情で話し出した。
「ダリオ、認めるところは認めてやりなよ。……ったく、あんたはいつもそんな調子だね……。まあ情報はこんなもんさ、あとはユラトからブラックアニスとの戦闘の話を酒の肴にして今日は終わりにしようかね!」
そうして、パーディーメンバー達はユラトの初仕事の話を聞いた後、明日に備えるため早々にベッドに潜り込んだ。
こうしてユラト達のパーティーの1日目は終わった。
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