第61話 今どきの本屋事情
このサイトにお集まりのみなさん、よく聞いてください。
『小説は売れません』
わたしは某本屋で働いている者ですが、
本屋の店頭でよく売れてるものといったら、
雑誌、漫画、コミックス、ラノベ、エロ本、そして小説の順です。
ぶっちゃけ、小説はエロ本にも敵いません(涙)
本屋で売れる小説といえば、
ネームバリューの利いた人気作家の本だけ。
テレビや映画でシリーズ化された作品も人気があります。
文学賞を取ったり、マスコミで話題になったり、
タレントが書いた小説なんかは、特に注目度が高いです。
小説の愛読者といえば、主に団塊の世代の老人たちですが、
彼らは年金暮らしのため、かなり節約生活をしいられています。
そのため本屋で小説を買うより、図書館で借りて読む人も多いようです。
新書だってリクエストすれば、図書館が取り寄せてくれますから。
ちょっと前の本なら、ブックオフにいけば安く売ってるし、
ポイント貯めるのに、アマゾンや楽天で注文する人も多いでしょう。
だいいち、今の若者たちは小説を買って読んでくれない。
彼らはスマホやiPadから、電子書籍を読んでいます。
紙の本なんか『資源の無駄使い』だ、なんて言われちゃう時代なのです。
ああ、紙の本の文化は
本屋といっても、実のところ雑誌屋なんですよ。
だって雑誌買わないと、大好きなアイドルの顔がじっくり拝めません。
じゃあ、なぜ本屋の棚にはたくさん小説が並んでいるのでしょうか。
それは単に本屋としての体裁を保つためかもしれません(笑)
実は、本には『返本制度』というものがありまして……。
立ち読みしたって構わない。汚されたって構わない。
売れない本は、ぜ~んぶ出版社に返せるんですから――。
まあ、そうはいっても売れそうもない本は、初めから発注すらしませんがね。
そうそう、最近はBL小説なんかも人気がありますよ。
うちの本屋の新人なんですが、BL好きの腐女子がおりまして。
その子はネットで人気のBL小説をリサーチして、本の発注をかけていますが、
あそこの本屋はBLが充実しているとTwitter情報で、遠方からも買いに来てくれる。
おかげで以前よりBL小説がよく売れるようになりました。
大手出版社も最近ではBLを意識した作品を展開し始めました。
アニメ『おそ松さん』が、わずか5ヶ月で70億円もの
経済効果を生み出していたんですから、腐女子たちは熱いぞ!
いろんなニーズに応えていかなければ出版業界も生き残れません。
こう見えても、本屋の仕事は肉体労働なんですよ。
本は紙なのでずっしりと重く、棚に並べるのにも力が要ります。
だから台車に載せて荷物を移動させるんですが、
通路で立ち読みして、道を塞いでいる客がいて邪魔でしょうがない、
ほんと足で蹴飛ばしたくなります。
それから、お年寄りの問い合わせは困ったものだ。
本のタイトルも作家の名前も分からないで……
テレビで紹介していたとか、新聞の記事に書いていたとか、
こういう話だと、いくら口で内容を説明されても、
本屋の店員が本全般に詳しいわけではないのです。
タイトルか、作家名、せめて出版社くらい分からないと
こっちもパソコンで検索のしようがない。
それと、コミックスを万引きしたヤンママさん、
子連れで万引きなんて、絶対にやめてください!
万引きするような親が、子どもに躾けができるんですか?
こんなバカ親をみてると、日本の将来が不安になってきます。
最近では、町の小さな本屋さんがどんどん減って、
チェーン店で大型店舗の本屋さんが増加しています。
実際、大型書店ほど暇つぶしで立ち寄るのに最適な場所はありません。
うろうろしながら新刊の雑誌や漫画を立ち読みできるし、
本屋の中にある、お洒落なカフェでティータイムも楽しめます。
店内はCDショップ、ゲーム、DVDレンタル、キャラクターくじ、お菓子、雑貨、
果ては携帯ショップまで包含していて……
多目的化され過ぎて、本屋自体の存在が希薄になっている店舗もある。
いったい何を売ってるお店なんだろうか、って思うくらい。
あしたのジョーに、『本屋のあしたはどっちだ?』と訊いてみたい。
あっ! このギャグ、ちょっと古過ぎて分からないかなぁ~?(苦)
いいですか、みなさん。
大事なことなので、もう一度いいますよ。
『小説は売れません』
それでもやっぱり本が好き!
紙の本でしか伝わらない
小説が好きだからこそ本屋で働いています。
だって社内割引で本が安く買えるのは、本好きにとって有難いですから~(爆)
※ この話は大型書店に勤めている知人から聞いた話に基づいて創作したものです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます