第33話 不倫⑥
メル友の夏姫にこのことを聞いてみた。
彼女は明るくて気さくで、変な垣根を作ることなく会話をすることができる。もちろん性的な話題もいっぱいした。
サバサバした性格なのでメールと現実生活の使い分けがきちんとできている。親友のように仲良く会話できるが、決して会ってみようとかいう下心を彼女は持たない。
「女にも性欲はあるよ。私も寝る前に過激な漫画を読みながら一人でいじっちゃうこともあるしね。ただ男の場合の、やりたいとギンギンになるのとは違う気がするな。どちらかというともやもやといった感じかな」
包み隠さず話せるのもメールだからということだろう。
独身であるとはいえ普通の会話で一人でいじる話は、いくらオープンな夏姫でもしないはずだ。
そうなるとヒナも性欲があるはずだ。自分に求められているのであろうか。
祐一は多少自意識過剰と思いながらも、仲良くなったメル友のことを考えていた。
ヒナと一緒にカラオケボックスに行った。
密室な空間が心地よい。親密さが増している二人は、コの字型に置かれたソファーで向い合せに座ることなく隣同士で腰かけた。
カバンをそれぞれ間に置かなかったため二人の距離は近い。
今日のヒナの格好はヒザくらいまでのスカートをはいている。白いシャツの上に紺のニットを重ね着している。隣に目線を落とすと太ももが見えた。
ズボン姿が多いヒナなので、やはり女性のスカート姿は良いものだと感じた。これは良い酒が飲めるぞと心の中での楽しみを見つけて、インターホンで飲み物の注文をした。
お互い数曲歌ったところで一時間が経過した。
二人でカラオケというものは交互に歌っていくものだから休まるときがあまりない。選曲に迷っているフリをして少し休憩時間を作った。
「スカート履くのって珍しくない?」
「たまに履くよ。遊びに出かけるときは動きにくいのでズボン系が多くなるだけで。・・・それに狼さんが一緒ですから狙われないようにしないとね」
最近のヒナは冗談も言ってくれるようになった。
メールでのやりとりだと相変わらず短文が多いが、会って話す分には違和感はあまり持たない。
「えー。こんな紳士な狼さんはいないはずなのに」
「あはは。そうですね。ユウさんは紳士ですから太ももを見たりしませんものね」
「げっ、ばれている」
祐一は少しオーバーなリアクションをとってヒナの笑いを誘った。笑い終わると少しの静寂が訪れた。
一呼吸の後、ヒナが口を開いた。
「脚、見たいですか?」
ヒナは真っ直ぐ祐一を見つめる。少し挑発的な彼女の視線に祐一は先ほどまでとは違う空気になったことを感じた。
「うん。見たい」
何て答えようか迷いつつも正直に答えた。
「見ていいよ」
ヒナから許可が下りたことで堂々と見つめることにした。
痩せ型である彼女にしては太もも部分の肉付きはけっこうある。足首はきゅっと狭まっており綺麗な脚だ。
祐一は落としていた視線を横に向けヒナの顔を見た。ヒナの目はとろんとした高揚感に浸っているものであった。
祐一の胸の奥のからキュンとしたものが込みあがってきた。
「スカートの中も見ていい?」
慎重に聞いてみた。
「いいですよ」
ヒナの息づかいが少し乱れてきた気がする。
祐一はスカートを二本の指でつまみ、ゆっくり上に持ち上げた。そこにできた隙間に顔を横にして覗き込んだ。
先程以上に太ももが見えた。もう少しスカートを持つ指を上にあげてみる。そして太ももの付け根の部分に視線を移動させた。
そこには白いレースの生地に水色の刺繍が入った下着が見えた。肉付きの良い太ももに挟まれてスカート内の温度は高く感じる。
祐一の心拍数がどんどん高くなっていく。このままではやばい。今なら引き返せるはずだ。
そんな葛藤と戦っている祐一の頭上からヒナの吐息交じりの声が聞こえた。
「ここからどうしたいですか?」
今までの話や現在のヒナの口調から、祐一が何を言っても断らないことは確信できた。
「・・・中が見たい」
言ってしまった。もう後戻りはできないことを祐一は覚悟した。
「いいですよ」
ヒナの声が、祐一の理性を脆弱にさせる合図となった。
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