第16話 相談②
メル友とは、数か月メールするとお互い惹かれあって、そのまま出会って肉体関係を持って、どちらかの都合で離れていく人達ばかりというイメージがあった。
もちろんそういう人もいるだろう。
でも実際は普通の恋愛と同じく、少しやりとりしたら考え方が違うと嫌われ、相性が合っても、メールがしばらく続いた後に飽きられて去られ、今回のように愚痴を聞くだけの存在で終わってしまう、けっこう都合の良い存在なのかもしれない。
ここは割り切って、自分も不純な行為に特化した相手だけを探していこうかと思うこともあったが、それは求めているものとは少し違う気がした。
それだったら風俗に行った方が簡単であるだろうし。そもそもそういう女性には応募する男性が殺到して、顔写真を公表していない自分が選ばれるわけがないと思えた。
結局、三日後にサトルから雪子にメールが来た。
本気で好きだからキスしたのに、雪子からメールがこなくて失恋のようなショックでメールが出来なかった。もうキスしなくてもいいから返事が欲しいというような内容だ。
祐一がこれを聞いたときは、キスしなくてもいいなんてありえないと思ったが、雪子はそのまま受け取ってしまう。
サトルにもうキスとかしてこないでと言っておいて、二人の付き合いは再開してしまった。
これは自分の必要性は果たしてあるのだろうか。祐一の頭の中にこの考えが浮かんだ。
多分いろいろと言ってみたところで時間の問題で不倫するであろう。
なんだか雪子は心の隙間を埋めるために男性にすがっているだけのような気がする。もしその隙間を埋めることができれば防げるかもしれない。やはり不倫をしたという重荷を背負って生きていくのは辛いことであろうから。
とりあえず雪子が聞いてくる間はちゃんと答えようと思った。
こんなことを考えているうち、ふと今の状況を客観視してみる。またメリットのないことで悩んでいて、なんだかピエロみたいだなと小さく笑った。
祐一は不倫に対して否定的な見方だ。
ただ世の中には結婚後に本気で好きになる相手に出会うこともあるであろう。理想としては離婚をした後に恋愛をすればいいと思うが、それなりの理由があって、不倫をしてしまう者もいる。
それはまだ自分が不倫をされる方側でなければ理解はできる。
それとは違う、好きではないけれど寂しさのせいにして不倫をして後悔する人は好きになれない。
雪子は後者に思えた。
今ならまだ大丈夫であろうが、本格的な不倫をしてしまったら一生後悔しそうに思えた。
それも雪子自身が選んだ道なのだから深入りをする必要もない。ただ、せっかくこうして話すようになった相手なので、できることはしていきたいと思った。
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