≠2
―次の日
ついに長い授業が終わり、放課後になった。待ちに待った部活見学。早速慎と野球部に行くことにした。芝のあるグラウンド。田舎ならではの広さだ。
マウンドで投げさせてもらえるということだったので、俺は一球投げさせてもらった。投げた瞬間、自分でも感覚が違ったのがわかったが、何よりも3年生の正捕手が球を後逸してしまった。
「おいおい、なんてゆう球投げるんだよ。140kmは出てるぞ。」
「はぁ。」
俺にもよくわからなった。監督の目に止まった様で、
「どうだ、入部するんだろ?」
「まぁはい。」
「球種全部投げてみろ。」
俺は今まで超遅球投手だったので、変化球は4つ持っていた。もしかしたら受験勉強しながらランニングと筋トレを欠かさなかったのが効いたのかもしれない。
「まずはカーブ!」
久しぶりの慎のミット。しかし慎は首をかしげた。
「次はスライダー。」
まだ納得しなかった。この後も、フォーク、チェンジアップと投げたが慎はなんとも言わず、監督がストレートを要求したのでまた投げた。
とにかく球速だけは早くなったのは確かだったが、俺にもしっくりこなかった。監督は俺たちに明日から練習に参加するように命じて俺たちを帰らせた。
何なんだ・・・・・・。そうすると慎はこう言った。
「回転が足りないんだよ。球威はないし、コントロールがめちゃくちゃだ。」
何だよ、いきなり・・・・・・慎はすべてを見透かしていた・・・・・・
「ランニングをもっと増やして、シャドウピッチングをすること。じゃあな。」
そう言うと慎は一人で帰っていった。なんかやな感じだな。
「お前、すげぇな!あんな球投げてたっけ?」
「なんだ、明か。お前こそ素振りしてないと、センターなんか夢のまた夢だぞぉ。」
「なんか今日いつも以上に冷たいね。」
「別に。」
俺は野球を楽しめればいいと思ってきた。が、この時初めて、甲子園で勝ってやる・・・・・・そんな気持ちが心の中に芽生えた。
Memory 大田ココア @cocoa_log
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Memoryの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます