第20話〝ゴールドスミス″

ドグ:「ゴールドスミス、金細工師の物語が、お金というモンスターの始まりです。

ゴールドスミスが、金を加工する仕事のために、加工する前の金や、加工後のコインを安全に保管するための重厚な金庫を保有していたことを知った、仲間や街の人たちが、安全な彼の金庫に金を預けるようになりました。

金を預かっている証として、預り証を発行したことで、紙幣が誕生します。

それから彼は、金を担保に、紙幣を貸し出すことを始め、これが銀行家のはじまりとなり、さらに大胆な発想で、無からお金を創り出す仕組みを考案し、銀行業を営むようになり、莫大な富を築くようになりました。


その後、その方法で生み出すお金の量に規制をかけることで法律化することに成功し、国ではなく、民間企業がお金を創り出す仕組みのまま、いつしか、お金の性質が変化し、かつては、価値を表していたものが、現在では、負債を意味するようになりました。


言ってしまえば、ただの紙きれ。

そんなものに、命さえも犠牲にするほど、重要視する仕組みが確立されるようになったのです。

そして、お金を無から生み出す側は、とてつもない富を築くことになりました。


次第に、お金で価値が判断される仕組みが確立できたことで、お金でコントロール出来ることが増えていきました。

お金をたくさん得るほど、仕組みまで創り出すこともでき、この世界を思い通りにコントロールするチカラを少しずつ得るようにもなりました。


戦争は、なぜなくならないのか?

戦争により、儲かる人たちがいるからです。


なぜみんな、お金を欲しがるのか?

お金が生きる上で重要だと思うような世界にしてきたからです。


今の世界にあるものを、お金という視点でみると、今まで不思議だと思っていたことが、理解できることも、見えるようにもなります。


そして、この世界全体を思い通りにするチカラを、彼らは、LEOと呼ぶようになりました。


くしくも、この世界の表現者のチカラと同じだと言わんばかりに。


この世界を思い通りにコントロールするために、最初は、純粋にお金のチカラのみで行なおうとしていたのですが、彼らは、この世界の法則を知ってしまった。


彼らは、この世界の法則を知れば知るほど、人々の思いのチカラを恐れるようになりました。


そのチカラで、今のお金が必要な世界を変えられては困る。


もともと人は、思いのチカラで何でも実現することができるのだ。

精神性を高め、心の使い方を正しく学べば、何だってできるのだ。

それを、知られては困る。


しかし、彼らは、あることに目をつけた。


人々が願うような【不安】を与えればいい、願うようにし続ければいいのだと。


うまく、【不安】を利用し、コントロールする術を得ればいい、時代に応じたやり方に進化させていこう。


そして、精神性を高めることに、目を向けることにならないほど、人々を熱中させたり、堕落させることに影響を与えるものには、儲かるご褒美を与え、憧れさえ抱くようにしてやろう。

規制は、ゆるめて、排除させないようにしておこう。

そのような世界を築きあげていきました。」


ガタガタ…

ジラは、話を聞き、その恐ろしさに膝が震え、青ざめていました。


ジラ:「…私が以前から抱いていたことが、見えたような気がします。

全て、疑問に思ってきたことが、今の話につながるわ…


なんてことなの!


ある意味…人類を家畜化してるってことよ!」


ドグ:「憤慨する気持ちは、わかります。

でも、今までなら、自分のチカラでなんとか防ぐことができる可能性が十分あったのです。


余地が残されていた。


ところで、彼らのこのシステムの、コントロール状況の判断指標は、何だと思いますか?」


ジラ:「えっ?…わからないわ…」


ドグ:「意外なものです。

しかし、心の法則を知っていると、理解できる。


それは、天気予報です。」

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