第3話

「ドルドル!無事で良かったのー!」

無事に引き上げた杖に頬擦りをして、ウットリとする変態紅魔族。

それの先を岩の隙間に、かけて水中から這い上がった事は黙っておこう。

水を含んだ服をギュッと絞って、手軽な木の枝に掛けて乾かす。日が出てないから、乾いても臭そうだな。

紅魔族には、変人が多いと聴くが、その通りだ。杖に名前を付ける……のは愛着があるからいいとして、流石にキスの雨はどうかと思う。

矢羽近くの矢柄に、紐を結ばせる。

「そいや、お前、同族裏切って魔王軍に下ったんだっけ?」

俺が質問すると、奇妙な笑い(中二クサい)を浮かべる。

「貴様に話すことなど、無い。これでも、半分は悪魔と化してるのだ」

話聞きたければ、契約しろってか?半分悪魔って特殊すぎない?

「ササキミヤビ、今回は見逃してやる。だが、次、会うときは仲間を引き連れてくるのだ。首を洗って待っていろ」

マントをはためかせ、森の中に消えようとする。

さて、次会うときは、仲間を従え、交戦する相手を逃がす?

答えはノーだ。。

群団、相手取るの疲れるし、何より、ストーカー増やしたくない。

キメラ型悪魔は仮だけど、この女は地の果てまで追尾しそう。

射的スキルを機動。

縄を括った、矢を彼女に向ける。因みに鏃はよく刺さる尖ったもの。

狙いは、決め台詞を吐いて、小さくガッツポーズしてる哀れなみるるっぺちゃんの横幹に矢先が、刺さるように設定。

「『バインド』」

放たれた矢は、弧を描くという非現実的な動きをして、対象をグルグル巻きにし、予定通りの的に鏃が見えなくなるまで、深く潜る。

縄が体を締め上げる間、声も出さずに呆けて、幹に顔面を強打した紅魔族の裏切り者は、鼻血を流しながら啖呵を切った。

「ここは普通、援軍相手取るのにレベル上げ、スキル強化に励もうと、意気込む場面なのだ!なんで、縛り上げるの!?それと、血を拭いてください!女の子として恥ずかしいのだ!!」

「質問か頼みごと、どっちを優先すればいい?」

「鼻血をふいてくだはい!」

「了解。頭に血を上げると止まりにくいぞ。だから、冷静に冷静に」

「ワザとやってるのだ!私が、短気なのを利用して!!」

……お前が短気って、存じてません。

交渉材料は手に入れた。次は、キメラ女と対談して魔界に導いて貰おう。

血を拭って、矢から縄を外し、みるるっぺの杖に彼女を移す。

杖を肩で担ぐと、何だか仕留めた猪を運んでる気分だ。

「わ、私を食べても美味しくないのだ!悪魔より畜生なのです!」

「誰が、喰うか。俺は鬼か。それに、男が女を食うのは別な意味だぞ」

「変態、変質者、性欲魔!助けてくださいのだ!オーカーサーレールー!!!」

「てめっ!人が親切に教えてやっただけなのに!大体、グラビアアイドルみたいな、胸の女は興味ないんだよ!スレンダー系のお姉さんが、好みだ!判ったからロリ牛乳!」

「す、すすすす好きで胸が大きくなったわけじゃないのだ!紅魔族は、魔力が並以上に、溢れてる影響で発育がよくなるのだ!」

「その割には、背丈は全くだなぁ」

「ば、馬鹿にして!!」

猿みたいにキーキー叫いて、脚をばたつかせる。それが、背中に当たって痛い。

つーか、明らかに威力増してきてる。

俺は垂れた蔓を引き千切って、バインドで足までも拘束した。

「そこまで、やりるのだ!?」

「言葉、変になってるぞ。背中、紅くなってませんように。あ、俺さ。魔法軍と同盟組みたいから、お前を交渉材料として使うから」

「や、止めろ!私の立場が危うくなるのだ!」

「その時は、手を組むの成功すればだが、俺の配下にしてやるよ」

「同盟の意味わかってるのか!?」

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この素晴らしい魔王軍部下に祝福を!? 馬流 @jadjad

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