第1話

………………無事に頭が飛ぶことなく転生できた。おお!本当にファンタジー世界なのか!

住民の衣装も、街並みも中世ヨーロッパ風だ!科学的な物質もない。道を通るのは自転車、バイクでも車でも無くて、徒歩か馬車だ。

流石に凝視しすぎるとあれなんで、移動しよう。確か、ドラ○エとかだと、教会に行けばいいんだよな?でも、他のゲームもそんな、感じなのか?

あ、仲間うちでオンラインやる奴居たな。

ギルドがどうとか、愚痴ってたよな。人多すぎて、キャラ速度遅くなるって。

ギルドに行けば、いいのかな?

心配になってきたし……あ、片手直剣持ってるトサカ頭に聴いてみよう。

「すみません。ギルドの場所は何処でしょうか?」

「お、おお。可笑しな格好してるなと、思ったら、やっぱり新参者だったか」

可笑しな格好、改めて自分の服装の確認。

コミフェに出向いた時の黒無地Tシャツに、黒Gパン。……服装は自分で調達かよ。

だから、三千エリス……あ、ここの通貨らしいが、1エリス=1円と一緒だよね?

一銭とじゃないよね?

「は、はぁ。遠い国からここに……」

「そっか、そっか。さぞ、長旅だっただろうよ。ようこそ、駆け出しの冒険者が集まる『アクセル』へ!ギルドまで、案内してやるよ!丁度、クエスト終えて、報告に行くところだったんでな!」

こ、声馬鹿みたいに、デケぇ。細い体つきなのに、厳ついおっさんみたいに野太いぞ。

「そんじゃ、お願いします」

「お願いします~?馬鹿野郎!同じ冒険者として、働くんだ!俺に敬語なんぞ、使うな!」

「う、うっす!」

友好的な男性だ。

気が楽でいいけど、テンションに着いていけなそうだ。

佐々とギルドに着いて、この人と離れよう。千エリスくらい渡してな。

ギルドに向かうまでに、冒険者としての手続きがあるというので説明して貰った。

何というか、就活みたいだ。

就活は金取らねぇか。しらんけど。

登録手数料をまず、支払う。

次に履歴書みたいな用紙に、個人情報を記入して、それから冒険者カードという、証明書を貰う。

次に、受付横に設置された水晶に手をかざして、ステータスを基準に職業を決める。

簡単なのか、面倒なのか、よく分からないシステムだ。

冒険者ギルドと安直で、分かりやすく、初心者でも容易に、見つけられそうな場所にあった。

…………なんか、一人、歩いても良かったかも。男より女に声かければ……………通報されそうだからアウト。

「ここだ、ここ!」

「ありがとな、えーと……」

「ルイジアナだ。それじゃ、俺の案内はここまでだ。いい冒険者生活を願ってるぜ」

手を降りながらギルドへ入っていった。………か、格好いいな!

俺もいつか、あんな風に………。

「ぐぼはっ!?」

………あれ?ルイジアナが、今、ギルドから叩き出されたような。つか、宙を舞ってたよな。

何故か、俺の後ろで地面に伸びてるルイジアナをつつく。触ると反応がある限り、生きているようだ。

……ギルドってギャングの集まりなの?

入口に目線をもどすと、鬼が居ました。

眉間に皺を寄せて、美人な顔が台無しだぞ。

羞じらいなく、大きく股を開いて、ズシズシと鳴ってはいけない音。

通行人も横切ろうにも、横切れず。女が過ぎてから脱兎の如く去る。

命は惜しいので、道を開けます。

女はガッ!と男の顔を鷲づかみして、ズルズルと引き釣り始める。

……………………………………………え?

「全く、駄目亭主が。畑をほったらかしにして、サンマが腐ったらどうするのよ。」

……………………畑、サンマ?サンマの養殖餌を腐らせる事だろうか?

クルリと突然、奥さん(?)が打って変わった屈託のない、笑顔を振りまいて、謝罪を入れる。

「皆さん、お騒がせしました。家の亭主ったら副業のソードマンに2週間も、費やしまして……つい、怒ってしまいました。今度、お詫びを駄目亭主の稼いだ賞金で、しますわ」

………………………………………………決めた。

異世界でも、俺は独身でいよう。

学生だから未婚に決まってる云々ではなく、俺は現実の女は恐怖の対象である。

もう一つ、異世界の女性も変わりないと認識したという訳で、俺は独身を貫く。

仲間には無論、欲しいけど。

哀れに瀕死となったルイジアナに念仏(南無阿弥陀仏を幾度も繰り返しただけ)を届けて、ギルドに入る。

おお、これが異世界のギルドなのか。

酒場と併設してることで、クエスト終了後すぐ、飯にありつける訳か。

料理の匂いを嗅ぐだけで腹がふくれそう。

あ、あの唐揚げ美味そう。

「いらっしゃいませ!お食事なら、空いているお席へ。クエストや冒険者カード作成は、右奥の受付へ」

ウェイトレスさんが、気持ちいい挨拶をしてくれた。

あ、スカートもう少し長ければいいな。短すぎると、目のやり場に困る。

俺は迷うことなく、受付へ言った。

受付は三つあり。その内の一つは何故か、長蛇の列が。

疑問に思いつつ、人のいない黒髪、貧乳の受付嬢へ。

チラリと見てみると………………万乳引力の法則か。金髪、巨乳。男にとって、ロマンらしい。

だが。俺は目前の黒髪、貧乳が好みなのだ。牛乳などに興味ない!

「あの、冒険者、ひっ!?」

「うう、あ、ありがどヴ、ごじゃいましゅ!!最近、冒険者さんたちが、全然、寄ってくれないので、お給料が…………ビエーン!!」

か、感動のあまりに泣き出した!?

視線が痛いけど、追い詰めたの貴方達だから!

枯渇してたの、今まで、ヤバい。保護欲立ちそうなんですけど、この人、俺より年上っぽいけど、童顔で俺の好みに直球なんだよ。

五分前に掲げた誓い早くも崩れそう。

つーか、他の冒険者、巨乳も良いけどよ、周りの女性も考えてやれよ。

皆が好きで慎ましいんじゃないんだよ。

遺伝的、成長的理由で仕方ないんだ。

皆違って皆いい!金子みすゞもそう述べている!!

「ぐずっ、取り乱しました。本日はどのようなご了見で」

「あ、冒険者になりたくて、でも、どうすればいいか判らなくて」

ルイジアナが教えてくれたこと、黒髪姉さんの涙目で忘れちゃいました。

ごめんなさい。次合ったら、愚痴聴きますので。

「では、まずは登録手数料が千エリス、かかりますが……」

「お金は大丈夫です。」

袋から千エリスを渡す。

プルプル震えてたけど、まだ、浸ってたの?

「それでは、続いてこちらに、生年月日、お名前、身長、体重などを記入してください」

そいえば、ここの文字は日本語で良いのだろうか?

用紙の文字に目を通すと、何語かわかりませんでした。

どうしよう、右から生年月日、名前って順番になってるってわかんねえよ!………………うん?

読めてる?問題解決。アクア様、貶してすみませんでした。

ご無礼をお許しください。

項目に沿って必要事項を記入していく。文字も手が勝手に頭に思い浮かんだ通りに、スラスラと動くので、楽ちん楽ちん。

提出するとお姉さんは、デスクの中からポイントカード的な物を出してきた。 

「本来、私たちはステータスの視覚、知覚は不可能です。いつレベルが上がったか、自分のスキルは何項目あるのか。けれど、知らなければ、モンスターに立ち向かうのは正直、格好悪いです。明らかにモンスターより怠っているのに、正面からぶつかるのは愚の骨頂です。只のアホです。死んだ方がまし」

……このお姉さん、結構、辛辣。

横列の冒険者さんたちも、冷や汗ダラダラ流してるよ。

「レベルが上がれば、ポイントや特典もまれに発生します。それを教えてくれるのが、この冒険者カード。常日頃、形見はなさずに、持ち歩き、モンスターと戦いレベルを上げていってください」

ニコリと笑うが、うん、前半は完全に私怨入ってたよね。家族が、悪落ちか天寿全うしたの?

「それでは、カードには先程の個人データを入れてます。受付横にある水晶の下にカードを敷き、触れてみてください。カードに数値が記載されるので、それに応じた職業につけます。」

言われた通りにセットして、水晶に触れる。

水晶から蒼白い砂が溢れて数字を、ツラツラと表していく。

「ふむ、筋力、運、魔力は平均ですね。生命力と器用度は平均以上、ええ!!敏捷性は、トップクラス!?」

よっしゃ!これで、野山を駆けられる!しかも、前よりも速く!

「この数値ならば、『盗賊』『アーチャー』が該当しますね。」

「アーチャー、弓兵か」

遠方から相手を真っ先に射ることのできる、チョットした狡い職業。

主役ではなく、影に潜み、静かに獲物を待つ…………。

中二臭いけどいいかも。

「それでは、職業『アーチャー』に登録しますね。能力値が上がれば、他に転職可能なので頑張ってください。冒険者佐々木みやび様、私、ミサは全力でサポートさせていただきます。」

にこやかな笑顔をくれる受付嬢さん。

「ありがとうございます。早速なんですが、武器などは……?」

「それでしたら、農業クエなどで、ご自分でお金を貯めて購入してください」

……………………………思いのほか、ハードワークぽいです。

そいや、魔王討伐どうしよう。女神様の口ぶりからすると、他にも転生者は居そうだし。

任せるか!俺は、この世界を満喫する。

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