宵町森事件 ①
そんな感じで、いつか空飛ぶことを夢見る~この、退化した人類の羽根でも空を飛べる!(かもしれない)部は活動している。
生まれた時はただ背中に何となく付いているだけの羽根を、自在に操れる様になる様にトレーニングをひたすら積み重ね、気が付くと鳥の羽の様に動かせる様になって~それで飛べればイイんですが、飛べない。
飛べないと分かっていても、人は挑戦する事を止められない生き物なので、挑戦し続けるのだ。
その日の放課後、部室に向かおうと1年棟の廊下を歩いていた所、玄関手前にある職員室のドアが少し開いたままになっている事に気が付いた。
実はどうもそのドアは、以前から立てつけが悪い様でしょっちゅう少し空いてしまうドアなので特に気にも留めていなかったんですが、その日に限ってはやたら気になって仕方が無くなったのだ。
「
私の聞き間違いでは無かったら、そう聞こえた。
え?今、そんな事本当に言った?
「
「分かってますよ、警部。しかし、事が事だけに・・・・まさか我が高の生徒がそんな事になるとは思いもよらなかったのでつい・・・・。」
桐生先生が悲痛な声で警部と呼んだ男に話す声が聞こえた。
「我々も、目下の所原因究明と、付近で目撃者が居なかったか聞き込み捜査をしている所です。彼がどうしてあんな事になってしまったのか?その真実を明らかにして見せます。」
警部と呼ばれていた男はそう言うと、静かに桐生先生の元から立ち去ろうと職員室のドアの方向に近づいてきた。
って、私!盗み聞きしちゃったヨ!?
バレないように、近くの掃除用具入れの影に急いで隠れると、息をひそめた。
警部と呼ばれた男は、さっきまで誰かがそこに居た気配を感じたのかどうかは分からないけど、それでも何事も無かったかのようにその場を去って行く。
完全に玄関から去った後、私は掃除用具入れの影からため息をつきながら廊下に戻った。
ヤバい。
ヤバいヤバイヤバイやばいヤバい!!
何か、聞いてはいけない事をマジで聞いてしまった。
こりゃイカン。
私一人の脳みそでは煙が上がってしまう。
しかしコレを誰か~あの部活の誰かに話すのは駄目だ!
~と、一人で脳内会議していた私の肩が、ふいに叩かれた。
ポンポンと叩かれ、私は振り向いた。
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