有村果南の場合 ②

「果南ちゃん、遅~~い!!」


駐輪場に自転車を置いて、部室のある部室棟までの距離を計算に入れてなかった事が誤算だった!


学校に着いた時点ではギリギリセーフだったんだけど、駐輪場から部室までの距離がある事をスッパリ!忘れていたお陰で、うっかり5分の遅刻になってしまったのだ。


「有村!遅いぞ!!今月に入ってもう2回目だぞ!」


と、熱い、暑苦しい熱意満々のヤル気の顧問、東海林雪正しょうじゆきまさ略してユッキーと部員は呼んでいる~先生が、私の遅刻回数を高らかに宣言している所が、ちょっと嬉しそうでムカついたのは言うまでもない。


で、さっき到着が遅い事を教えてくれた子は、幼馴染の副島冴絵そえじまさえちゃん。


私はもうずっとサエちゃん!って呼んでいつも小学生の頃もずっと一緒に学校に行っていたんだけど、2年前に隣町にあるマンションに引っ越しちゃってから~は、一緒に学校に通えなくなっちゃったけど、でも友達なのは変わらない。


部室に入ると、気だるそう~に男子二人が私の顔を見て、

「おいコラ、遅刻2回目!さっさとしたくしろよ」

とか、

「有村さんって寝坊多いよね~」

とか言って来て、ちょっとイラっとしたけど、確かに遅刻したのは事実なのでココは一つ我慢しておくことにした。


因みに口の悪いヤツは、弓木海斗ゆみきかいとで、鋭い指摘のおっとり系兄さんは、この部の創設メンバーでただ一人の3年生、夏目淋太郎なつめりんたろう先輩。


私とサエちゃん、そして弓木海斗以下は、夏目先輩と呼んでいるんだけど当の本人は、夏目先輩じゃなくてリンちゃんって呼んで☆と言って来るので、しょうがなく今はリンちゃん先輩と呼んでいるのであった。


こうして、退化した人類の羽根でも空を飛べる!(かもしれない)部の早朝練習が始動しようとしていた。


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