もし人類がデフォルトで、羽根の生えた生物だったら
梢瓏
第一章 鍛えれば、いつか空も飛べるだろうか?
有村果南の場合 ①
「果南、今日は早朝練習があるんじゃなかったの?」
と言う、母の声で目覚めた私は、意識がもうろうとしたままベッドの宮に置いてある時計に目をやった。
?!
や、やばい!!
あと30分しか無い!!
ウチから学校まで自転車で超速で急いでも20分はかかるのに、今起きて着替えて準備する時間なんて5分少々しか無い!!
・・・・・・
けど、行かなきゃ!!
と言う事で、頭はボサボサ、目の下にはクマがあるけどとりあえず制服を着た私は、カバンを背負って出かける事にした。
「果南!羽根が引っかかってるわよ!」
母がリュックをイマイチ上手く背負えていない事を注意してくれたけれども、そんな事は今は気にしていられない!!
私はそのまま自転車に乗り、超速で学校までペダルを踏んだ。
自転車で走りながらで悪いんだけども、この状況を知りたいって人に軽く説明すると、私達人類にはもともと羽根が生えていて、背中にちょこんと鎮座している。
骨格的には、肩甲骨から腕の様な骨が形成されていて、その先に鳥の羽根の様な構造の第3・第4の腕が生えている~感じである。
って、これは、人体と言う本に書かれていた受け売りだけれども。
だったら~羽根が生えているんだったら、スイ~っと飛んで学校に行けばイイんじゃないの?とか思っちゃうでしょ?
いやいやいやいやいやいやいやいや~~~、それが無理なんです。
かつては空も飛べた、空も支配していた人類なんですがね、すっかり退化しちゃって今も空を飛べるのは天皇家とか貴族とか選ばれた人達だけ~って。
何か、理不尽だよね~。
とか言っているうちに、ほら!学校着いちゃったよ!
因みに私が早朝練習する部活の名は、退化した人類の羽根でも空を飛べる!(かもしれない)部・・・・と、ちょっとこのご時世、ナニ言ってんだお前ら?的な立ち位置の部活なんですが、若者が夢と希望を持たずしてどうする!と言う顧問の先生の熱い熱意のお陰で、何とか成り立っている~そんな部活です。
本当に飛べるかわからないけど、可能性に懸けたい!!
ので、私は今日もがんばりまっす!
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