第8日目:Ⅱ【学祭マジックと花言葉】
【2時間目】
私に告白してきたのは帰宅部の男子だった。
同じクラスの男子で、学級旗の係でよく話した。
学級旗の色塗りをしていて、外が暗くなり、いっしょに帰ったことがあった。
私は、何度も勘違いを繰り返してきたから、もしかして。とか、“もしも”告白されたら。なんて考えないようにしていたが、今回は勘違いじゃ無いようだ。
彼は、花言葉の鈴蘭として名を馳せていた。
花言葉に詳しく、喋ることは花言葉で代用するような奴だった。
ルックスは悪くなく、イケメンの部類に入ると思う。それは、私には似合わない。
どうせ、学祭マジックの効果だ。すぐに別れることになるだろう。私だけでなく学校中がそう思っていたに違い無い。
私達は、学園祭の次の日からそこそこ楽しい日々を繰り返し、それなりに良い関係を築いていた。と、私は思う。
何かが起きたら、切り込みの入ったロープのように直ぐに切れてしまうようなものだと思っていた。
しかし彼は、その切れたロープをもう一度つなぎ直そうとするような人だった。
(%)
芸術棟が燃えた日、美術室に最後までいた私は、真っ先に疑われた。
そりゃそうだろう。疑われる人なんて私くらいしかいない。
でも、彼は信じてくれた。
芸術棟が燃えた次の日、私が部屋にこもっていると、LINEでカキツバタの写真が送られてきた。
カキツバタの花言葉は「幸せは必ずくる」
彼は次の日も、そのまた次の日も、花の画像を送ってきた。
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