第5日目:Ⅰ【タイムマシンと信長救出】
【1時間目】
掃除も終わり、僕は美術室に向かう。
ガヤガヤとした校舎内。僕はこの空気が嫌いではなかった。美術部も、先輩のおかげで同じような雰囲気で、僕はそういうところに惹かれたのかもしれない。
あの時に戻りたいな。と思う時は何度もある。それは、実現しないからこそ思うことなんだろう。
タイムマシンが多様化されたら、あの時にいってあそこを直してこよう。あの時も直してこよう。
なんて言って、「あの時に戻りたいな」なんて思わなくなるんだろう。
「やり直せる人生なんてつまらないじゃない」
昔、読んだ話に書いてあった通りだ。
人生は一度きりだから。だから。
なんて考えていると美術室に着いてしまった。
多分、今日は昨日作ったタイムマシンを先輩が自慢してくるのだろう。まあ、嫌いではないけど。
「来たな!裕平!」
後から来た浩介先輩が言う。
「出たな!先輩!」
このやりとりも来年、いや、12月にはもう出来なくなるのだ。そう考えると、名残惜しい。
「で、先輩。アレは本当に使えるんですよね。」
何故か悪の組織みたいな会話が始まった。
「あぁ。アレか。当たり前だ。」
「早速ですが先輩。使ってみてもいいですか。」
「何に使うんだ。」
「信長ですよ。信長。」
ここで先輩のテンションが元に戻った。
「は。おかしくなったのか?お前。」
「いや、信長って本能寺の変の後行方不明じゃないですか。」
「それで、俺たちが助けようと。」
「そうです!元々行方不明なら、時空に歪みも起こんないんじゃないかって思って。」
「命掛けだよな。」
「はい。」
「やろう。」
「本当ですか!てか、アレどうやって使うんすか。」
「乗る。行きたい日を叫ぶ。降りる。本当は作るのに3時間以上かかったけど、途中から異次元の方でやってたし、1時間くらい戻ってきたんだ。動作確認はしてある。」
「じゃあ。」
「行くか。」
ここから僕たちの短い壮大な旅が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます