第5日目:Ⅱ【信長と命】
【2時間目】
タイムマシンに乗り、2・3分もしたところで僕らは江戸時代最後の下克上とも言われる、本能寺の変の現場に着いた。
もう光秀が攻めてくるとわかった後なのかすごくざわついていた。
「信長さん!」
僕は声を上げる。
「無礼者!どこから来た!」
僕たちは信長さんのお付きの人に抑えられた。
「俺らは怪しいものじゃない。未来の国からはるばる信長様を助けに来たのだ!」
先輩は空に手をかざすようなポーズをとりながら言う。
「信長様。どうしましょう。」
信長のお付きの人が言う。
「そなた達。未来の国から来たと言ったな。」
信長さんは真剣な顔で言った。
「はい。」
「面白い。私はこの後どうなるのだ。未来のことを知っているのなら答えられるだろう。」
「はい。明智の兵によってこの本能寺は焼かれてしまいます。私達の世界では、信長さんは自害したと言われています。しかし、首が見つかっていないため、本当かどうかは分かっていません。」
「そうか、私は死んでしまうのか。」
信長さんは現実を噛みしめるように言った。
「だから…。だから、僕らは信長さんを助けに来たんですっ!」
「未来の国に行けば、光秀は来ないしな。」
「未来の国か。面白い。着いていこう。」
「良いんですか、信長様!」
お付きの人はとても驚いたようだ。
無理もない。天下統一を目指している信長さんが別の世界に行くとしたら、それは信長さんが夢を諦めるということになる。
「あぁ。良い。どうせ死ぬのなら未来の国を見てみたい。」
信長さんの顔は明るさを取り戻し、声も心なしか楽しそうだった。
「では、行きましょうか。」
僕らは信長さんをドラム缶に乗せようとする。
その時外が急に騒がしくなり、暗かったはずが明るくなっていた。
「そう思ったが、歴史は変えてはいけない。私はここに残る。火が回る前に、そなた達は早く帰れ。」
「でも」
「早く行け!」
信長さんはとても真剣な顔をしていた。
信長さんの気に押され、僕らは元の時代に帰った。
元の時代に帰ると月が昇っていた。
「俺たち、かっこ悪かったな。」
「でも、何も知らないで死ぬより、よかったかもしれないですよ。」
「そんなもんかなぁ〜。」
「また、お前達か!」
その時、日直の先生にまた見つかった。
「やべ。裕平走れ!」
その後、教科書の内容が少し変わってたことに、僕らは気付くことはない。
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